私の別ブログの記事だが、その中の「生活の技術」というジャンルの記事の一部である。
わりと有益な内容だと思うので、ここにも載せておく。
私は、減量のためには、胃袋自体を小さくしなければならないと思っている。(これを知らない人が多いが、胃袋のサイズは、食生活の習慣によってわりと簡単に小さくなるのである。)胃袋が大きいと、どうしてもそれに見合った量の食物を摂取する。ところが、中年以降の人間は、若い頃からの習慣で、自分の体に必要な量以上の食物を摂取しているのが普通なのである。言い換えれば、消化能力は低下しているのに、胃袋のサイズは若い頃のままで、毎日毎日、余剰の栄養分を体に蓄積していくわけだ。これが肥満の根本的原因である。ちなみに、私は食事コントロールの基準は「カロリー」という目に見えない正体不明の存在よりも、あっさりと「重さ」で計算するべきだと考えている。もちろん、カロリーが少ないことが分かっている食物を利用するのはいい事である。
私の場合、経験的に言って、まる一日食事をしなければ、おそらく1キロほど体重が減る。ということは、1日に1キロ以上の食事をすれば、その分は体重が増加するわけである。200グラムのステーキはなかなか食いでがあるものだ。ならば、1食を300グラム以内に制限することは十分に可能だろう。つまり、試合を前にしたボクサーのように、常に自分の摂取する食べ物や飲み物をグラムで計算していくのである。まあ、そこまで神経質にならなくてもいいが。私の場合は簡単で、一食に御飯(米)を1杯だけなら現状維持、2杯食えば確実に体重オーバーである。1回だけならまだいいが、三食そうだと、その度に100グラム、200グラムと増加していくことになる。しかし、食事の際に、御飯1杯だけで済ませることができるか。ここが問題のポイントだ。
胃袋が要求するだけの食物を摂取している限り、肥満は避けられない。減量は、常に胃袋が要求する以下の食物量で食事を終えるという、「空腹感との戦い」なのである。
では、それはどのようにすればいいか。ここに秘策がある。それは、満腹感は糖分の摂取で容易に得られるという事実である。
毎回の食事は、腹八分で終わり、その代わりに、食事の最後を甘いデザートで終えることで、満腹感を作るのである。それがケーキなら、「ケーキ・ダイエット」ということになる。満腹感を胃袋の膨張で作らず、甘味の摂取で(心理的・生理的)満腹感を作り出すのが、無理のないダイエットの秘策である。(糖分は炭水化物などとは異なり、即座に血液に流れ、脳に「これで十分だ」という信号を送る。これが糖分による満腹感である。血糖値は、したがって、食後どれだけの時間が経過しているかで大きく異なる。糖尿病やその前駆症状は、いつまで時間がたっても血液中の糖分が無くならない状態である。)
もちろん、ケーキ類を、腹が膨れるほど食えばどうしようもない。甘味を利用して摂取カロリー全体を減らすという目的からは逸脱してしまうことになる。ケーキばっかり食っていれば、ダイエットどころか、あっという間に糖尿病になるだろう。糖分は、通常は大量には摂取できないために、実質的なグラム数では、たいした量にはならない。しかし、絶えず糖分を摂取していると、常に血液の中に血糖が大量に存在しているわけだから、糖尿病に向かってまっしぐらということになる。私は、「食後に甘い物を摂る」ことを勧めているだけで、四六時中甘い物を食えと言っているわけではない。
カロリーがゼロであるという蒟蒻を毎食食うというのもいいが、これは(それが続くかどうかは)料理法次第である。単なる想像だが、カロリーが少なく、ビタミンやミネラル、繊維質が多い食物と言えば、切り干し大根や干瓢などの乾物類、あるいはワカメやヒジキなどの海草類ではないかと思う。食事の中から炭水化物を減らし、そうした乾物や海草類を増やすのが、健康に良い食事ではないだろうか。
さらに、水分の摂り方にも工夫がある。水分だって、むやみに摂っていては体に悪い。特に、コーヒーや酒が好きな人間は、水分を摂りすぎる傾向があるから、自己コントロールする必要がある。では、どのような工夫があるか。それは、まず、我々が水分を摂る時、常に必要以上の量を飲んでしまうという事実に目を向けることである。本当は、コップ3分の1、4分の1で口の乾きは抑えられるのだが、コップ1杯の水があるから、それを全部飲んでいるだけだ。しかも、夏場には、冷たい飲料の喉ごしの気持ち良さだけのために、必要以上の量を飲んでしまう。それを避けるには、コップやカップ1杯の飲料を、時間をかけて飲むことである。つまり、5分、10分に一回くらいの割で一すすりずつ飲むことだ。そうすれば、1杯のコーヒーで1時間、2時間もたすことができる。熱いコーヒーでなければいやだ、という美食家は、ダイエットなどやめることだ。机の上に置きっぱなしでは、飲料に埃が入るなどというのもナンセンスである。我々は四六時中、鼻や口から埃を吸い込んでいるのである。コーヒーの埃ごときが何だと言うのか。
さて、腹八分目の食事を続けていると、ごく短期間で、体重は減ってくる。食わなければ、体重が減るのは当たり前であり、ダイエットができないのは、腹一杯食っているからなのである。このダイエットを始めて、しばらくすると、一回で食える食事の量そのものが減ってくる。これは、胃袋が小さくなったということである。こうなると、体重は低い水準で安定してくる。つまり、ダイエットにほぼ成功したということだ。もちろん、この段階でも、かつての「腹が膨れるほど食いたい」という欲望を退けるのは簡単ではないし、また正月やクリスマスなどで外食の機会が多くなると、大食いをすることもある。その危機を乗り越えて、食事そのものに対する欲望が少なくなれば、完全な成功と言えるだろう。
以上が、「胃袋を縮小することでダイエットをする」という方法である。