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貧困の固定化と、社会的移動の低下は日米とも同じ

「孤帆の遠影碧空に尽き」というブログに引用された、米大統領選についての立命館大学教授中本悟の文章を孫引き引用する。

トクヴィルの『アメリカの民主主義』は名著である、とかねてから聞いており、或る時、ブック・オフで文庫本の後篇だけ見つけたので買って少し読んだが、確かに名著であるなあ、とは思った。しかし、こういう堅い本は、なかなか通して読むだけの気力が無くて、その後篇さえ読まないうちに引っ越しなどにまぎれて本も行方不明になった。
ついでながら、私は「新古書店問題」が著作家に経済的悪影響を及ぼしていることは知っているし、またブック・オフの背後に怪しげな新興宗教がいるらしいという噂も聞いてはいるのだが、何しろ貧乏人には新刊本はあまりに贅沢品であるので、仕方無くブック・オフをしばしば利用していた。しかし、京都に来てからは、ブック・オフは一軒も見たことがないのはなぜだろうか。
閑話休題。(「それはさておき」と訓読するらしい。馬琴あたりが愛用しそうな偉そうな漢語である。まあ、まさしく「閑話」にすぎない話を転換する場合にはぴったりの語ではある。)下の記事に書かれた内容は、「アメリカの民主主義は終わった」というようにまとめることができるだろう。そして、もちろん、それは日本でも同じである。いや、日本では「第二次大戦の敗戦の後に親切なアメリカから貰った」民主主義を本質的に理解することもなく、民主党政権が民意をまったく無視して好き放題にやる、という状況に至ったのだが。



(以下引用)


フランスの政治思想家にして政治家でもあったトクヴィルは、1831年に建国後の若きアメリカを旅して、かの名著『アメリカの民主主義』を著した。その冒頭に、「合衆国滞在中、注意を惹かれた新規な事物のなかでも、境遇の平等ほど私の目を驚かせたものはなかった」と述べ、この若きアメリカの「境遇の平等」が民主主義を発展させ、政府と社会を動かす原動力になっていることを喝破したのだった。

この「境遇の平等」すなわち「機会の平等」は、長らくアメリカン・ドリームを実現してきた条件であった。貧困の固定化と社会的移動の低下は、アメリカン・ドリームとアメリカン・デモクラシーを危うくするものである。ドリームとデモクラーシーによって、アメリカは1930年代の大不況を乗り越え、福祉国家を誕生させた。また1960年代には、「福祉国家」によっても救済されなかったマイノリティを救済し、社会統合を進めてきた。

中間所得層問題は、中間所得者と自認する人々をめぐる有権者の票争いだけではない。いかにして、中間所得者層を再興し、アメリカン・ドリームとアメリカン・デモクラシーを蘇らせるのか、そのゆくえを象徴する問題なのだ。【10月8日 http://www.sekaikeizai.or.jp/active/article/1008nakamoto.html】



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