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略奪競争社会から平和共存・共生社会へ

「和田秀樹ブログ」より転載。
念のために政経用語のおさらいをしておくと、

社会主義:資本主義を批判し、生産手段の社会的所有に基づいて、人間の平等を可能にする未来社会の建設をめざす理論と運動のこと。(山川出版「政治経済用語集」より)
共産主義:資本主義社会をこえ、生産手段の共有と生産力の高度化により、階級も搾取もない理想社会の実現をめざす思想。(山川出版「倫理用語集」より)

とあり、ほとんど区別がつかない。それどころか、山川出版の政経用語集には、「共産主義」の説明すらない。(2007年版である)
そこで、国語辞典に頼ると、「共産」とは「財産を共有すること」とある。(角川「最新国語辞典」による)実は、この国語辞書にある「共産」が、一番の問題点なのである。要するに、純粋な共産主義とは「私有財産を認めない」ものなのだ。したがって、現実的には実現不可能な思想であると言っていい。旧ソ連も中国もキューバも「社会主義国」であって「共産主義国」ではない。ただし、社会主義の理想とする「人間の平等」は、財産の平等も念頭にあるわけだから、いわば共産主義は社会主義のイデアのようなもの、社会主義は共産主義の現実形態と言えるだろう。
簡単に言えば、「生産手段の共有」までが社会主義、「財産の共有」まで行けば共産主義、という話になるかと思う。
これも山川出版の「倫理用語集」からの引用だが、「資本主義社会」の説明の中に、「資本主義は人びとに自由を保障するが、その自由の結果として、富者はいっそう富者になるが、貧者は貧苦の状態から脱却できず、社会経済的な不平等を生む。これは資本主義社会の欠陥とされ、19世紀末には、その克服が社会的課題となった。」とある。
その解決方法の一つが、国家による労働者の保護であり、労働組合や労働運動を国家が保障することであった。これによって労働者の生活水準はどんどん向上していったのである。それが20世紀後半にサッチャー、レーガンなどによって(当然、その背後に大資本家の姿があるわけだ。)先進国ではほとんど骨抜き状態になり、それとともに貧富の格差が巨大なものになっていったのはご存じの通りだ。つまり、世界は再び19世紀末にまで後戻りしてしまったのである。

私がしばしば自分を社会主義者だと言うのは、資本主義における「自由」とは強者の自由でしかなく、資本家が自らその欲望に歯止めをかけることはないと思うからだ。社会的弱者の立場に立てば、そうした「強者の自由」を無制限に認める社会は悪の社会であるとしか言えない。そして、庶民の大半は自分が社会的弱者であるにもかかわらずただ「自由主義」という名前の響きの良さだけでそれを支持しているのである。
前回引用した船井幸夫氏の予感によれば、この「残酷な資本主義」「歯止めの無い欲望肯定社会」は転機にきており、人々の多くは、多少は生活水準が落ちてもすべての人が幸福に暮らせる社会を望むようになってきているようだ。「社会主義」とか「共産主義」とかいう言葉のイメージだけで、その理念まで否定する無知な人間は、これからは少なくなっていくだろう。下記記事のように、基本的には資本主義社会を肯定している人間ですら、その欠点ははっきりと見えているのである。

(引用1)

さて、カダフィ政権が倒れたそうだ

3.11以降リビア情勢がほとんど報じられなかったことは、私の『精神科医が診た「外交敗戦」でも問題にしたことだ

ただ、こういうことがあると、必ず、共産主義だからダメという話になる

共産主義の国でも倒れた国というのは、ほとんど独裁がひどく、その上に、指導層と一般大衆に大きな貧富の差があったり、国のトップが大金持ちだったりする

リビアの場合は、昔は、カダフィは肩書きは大佐のままだし、テントのような家に住む姿が伝えられた

いつの間にか、変貌して、一族のリッチな生活が問題になっている

中国を含めて腐敗しない共産主義国は私も知らないが、腐敗する前に潰れた話は聞かない

実際、共産主義の国のほうが格差に怒りをもって立ち向かうだけましだ

資本主義の国では、負け組は努力不足だとされ、貧乏人が権利を求めると「ここは資本主義の国だぞ、それともお前は共産主義者か」と金持ちやマスコミに脅される(私なら「お前は共産主義か」と聞かれたら、「少なくとも貧富の差は嫌だ」と答えるだろう)

共産主義は言論の自由がないことになっているが、大衆レベルでは好きなことがいえるから、こうやって政権も倒れる

資本主義の国では、スポンサーの気にいらないことはマスコミに出ない

建前が民主主義で、一人一票もっているはずなのに、金持ちが富を独占していても、それが不利になる政権ができないようにするためには、洗脳装置が必要なのだ

テレビがその道具ということは、いつになったら一般大衆が気づくのだろうか?

(引用2)

2011-08-28 00:06:00
人件費カット、リストラという「公害」
テーマ:徒然記
昨日のブログの結論部分がわかりにくかったかもしれないが、私が言いたかったのは、企業というのは自社の利益を追求するためにはどうしても、人件費を下げようとする

もちろん、それに労働者の立場から対抗するのが労働組合であるが、実は、企業のほうも全社がそれをやってしまうと自国のマーケットが小さくなってしまうので、経営者の連合体のようなもので、それを監視して、自国のマーケットを小さくしないようなシステムが必要だということが言いたかったのだ。

経団連や経済同友会のような経営者の集まりの場合、自分の会社の利益だけ考えて、国益を考えない社長がバツが悪い思いをさせることはできるだろう

たとえば、公害などでも、昔は、それが許された。今だって基準の範囲内なら公害になるようなことをすることは許される。

しかし、そんなことをどの会社もやってしまうと、おそらくはかなりの公害が生じるだろう。だから、どの会社もモラルを大切にするし、イメージを大切にするためにクリーンを心がける

たとえば、人件費が安いから海外に工場を移転するということはどの会社も堂々と公言するし、そんなことをする人間がユニクロの柳井氏のように名経営者といわれる

しかし、発展途上国のほうが公害の排出基準が緩いのでコストが安くつくから工場を移転するという場合、そういう会社があるかもしれないが、少なくとも公言はできない

おそらくは非難が怖いからだろう

いくら輸出を増やしたいと言っても、国内市場をすてるほどの勇気のある会社はほとんどない

たとえば、北海道で原発が稼働することになったが、電力の安定供給のある北海道に工場移転をするとは、やはり今の国民の原発アレルギーがあるから言いづらいというところもあるのだろう。

今後の展開を見てみたいが、意外に企業だって、評判は気にするのだ

しかし、別の角度から考えると今のご時世、人が死ぬレベルの公害はほとんどない

福島原発でさえ、今後、有意に人が多く死ぬ、多くがんになるということが証明できるかは微妙なところだ。

しかし、リストラというのは、人々を自殺やうつ病にするリスクはかなり大きい種類の企業行動の一つだ。つまり、人が死ぬレベルの「公」害なのだ

人件費カットは、市場をシュリンクさせるし、国力を落とす

人々が企業にコストをかけてでも公害を出さないように求めるのなら、もっと大きな公への害である、つまり公害である、リストラや人件費カットを、大衆レベルで監視して、そういうことを平気でやる会社の製品は買わないくらいの強い態度に出ないと、人はかんたんも切り捨てられるし、日本の内需はどんどんしぼんでいくし、中国や韓国に品物を買ってもらうために頭を下げなければいけなくなる危険は大きい

この手の公害反対をなぜ誰も叫ばないのだろうか?


(引用3)


さて、私は資本主義の最大の弱点は、富の偏在が結果的に経済を週リンク(引用者注「シュリンク」の誤記か)させるということだと思っている。

年に100億円稼いでいても、そういう使えるものではない。

結果的に90億円くらいが貯蓄に回る

これでは経済が回るわけがない

子どもが可愛いというのは、人間の本能のようなものだが(動物でもそうだろう)、金持ちの場合は、自分が子どもが小さい頃、忙しさのために十分な愛情をかけられなかったことへの罪悪感もあって、よけい子どもに金を残したくなるようだ。

残念ながら自分の財産が配偶者を迂回して、子どもに届くので、子どもが財産を継ぐのは60代後半になってしまう

結果的に親から継いだ財産をほとんど使わずに、その子に継ぐことになる

かくして、富の偏在は、その何十年か先には、高齢者にばかり金がたまる(現在でも個人金融資産の6-7割は65歳以上が保有しているらしい)

こんなことで有効需要ができるわけがない

この手の人間の本能がある以上、金持ちはより強欲になるし、使いきれなくて、子どもに残したくなるということには変わりがないはずだ

本日も今回の民主党代表選挙に出る一人が、金融の量的緩和でデフレが脱却できると主張していた

私は、それは無理と思っている

いくら金が市中にあふれても、ブラックホールのように金持ちが吸い上げ、それを貯め込んでいる限りは経済は回らないし、貧しい人に金がない限りは、牛丼屋もビッグマックも値上げできない

資本主義の最大の弱点は、富の偏在をなんとかする機能をもたないことにある

慢性的な需要不足は、より貧しい、発展途上国への輸出頼りを招いて、よけいに国内労働力の買いたたきにつながる

デフレを止めるには北欧のように富の偏在を何とかすることだと思うのだが、どうだろう?


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