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一人、そしてまた一人が加われば

明日は朝から忙しいので、今日は明日の分まで、ということでもう一つ記事を掲載する。

「In deep」というブログの大震災前後の記事をここ数日読み返している。このブログは宇宙から内的宇宙(精神世界)まで、広く深く考察しており、超一流の哲学的内容を持っていると私には思える。世界の自然災害など、現実的問題についての知見も広く、海外記事にも詳しいので、私から見れば、ある種「知的超人」という印象すらある。しかも、他者に対して、非常に優しい。ネット世界には、面白い記事を書く人はたくさんいるが、彼は単に記事が面白いのではなく、「本物の賢者」と言っていい一人だろう。

下記記事は、現代日本社会の持つ本質的欠陥を明示していると私は思う。そして、そういう、「社会システムからはじき出された人々」への無視や差別は、システムの中にいる人々同志の冷酷なサバイバル、足の引っ張り合いと表裏をなしている。弱者や敗者を冷酷に見棄てる社会は、今、福島の原発被災者、東北や関東の津浪被災者を見棄てている政府の所業と相似形なのである。そして、そういう社会を作ってきたのはあなたたちであり、私たちなのだ。
魯迅の「故郷」の最後に、「希望を言うなら……」で始まる一文がある。身分や階層の無い、友愛に満ちた社会をこれから我々は作っていかなければならない、という趣旨の言葉だ。そして、有名な「思うに、希望とは道のようなものである。最初は道など無い。歩く人が多くなれば、そこが道になるのだ」という言葉(これは記憶による引用だが)で作品は終わる。
3.11はもしかしたら新しい国家、新しい社会を生みだす契機になるのかもしれない。人々が政府に頼らず、縛られず、お互い同士で助け合う社会、あるいは政府が本当に国民を幸福にするための組織であり、官僚が本物の公僕であるような社会が作れるのではないだろうか。
そんなのはただの夢想だと言われるかもしれないが、すべての偉大な達成は、最初はすべて夢想から始まったのだ。

歩く人が多くなれば、そこが道になるのである。


(以下引用)

ちなみに、とても素朴な質問なんですが、夜働いている女の子(特に接待業)の多くが、どうして夜働かなければならないかわかりますか? 給料だけなら普通のOLさんなどよりはるかに低い場合もある夜のお仕事をしなければならない理由。それを考えてみたことはあるでしょうか?


ここに「冷たい日本の社会システムの正体」といったものがあります。



枠からこぼれ落ちた人間は救済されない日本の国家システム


「日本の進学率」なんていう言葉があり、それはたとえば、義務教育就学率は100%、高校への進学率も97.5%になどというニュースにもあらわれているように、非常に「無自覚」に数字が使用されます。


上のような数字は本当なのかもしれないですが、しかし、「現実とはそぐわない数字」だということもまた事実です。

たとえば、夜働いている女の子たちにとても多い学歴のひとつが「高校中退」なんです。

この「高校中退者」の潜在数は男性も含めて、ものすごいものがあるはずなのですが、それについては公共では語られない。そして、彼ら彼女たちがどういう学歴を背負わされるかというと、「中卒」、つまり中学校卒業なんです。


中卒という学歴が就職という条件について、どれだけ不利なものかおわかりでしょうか。「私は好きな仕事に就きたいの」などという絵空事が通じる世界ではないんです。「高校中退」という、あまりにも多い現実が、ちゃんと表社会で語られてこなかったために、多くの人々が「社会で何もできない状態」に置かれることになっています。


高校中退にもいろいろな理由はあるにも関わらず、これを救済するシステムは基本的にありません。「大検」という非現実的な受験制度はありましたが(今は廃止されたらしい)、この「大検」も、それ自体は卒業資格でもなんでもなく、「大学を受ける権利を得た」というだけになる何の意味もない「冷たい制度」です。

そして、この「高校中退者」がどれだけ多いことかは、陽の当たらない多くの社会を知ると、いくらでも知ることが出来ます。


日本という国家・・・・・少なくとも多くの人々が完璧な社会システムや高学歴を持つ国だと考えているこの国には、


「ザルからこぼれ落ちたものを助けるシステムはない」


という冷たい現実があります。


しかし、この冷たい現実はあくまで「日本国家が冷たい」ということで、日本人も日本人システムも冷たいわけではないことも私は知っています。

夜の街だけではないですが、多くの「救済」はいわゆる立派な人々が誇りを持って歩いている世界ではなく、「その裏側にある世界」でおこなわれていて、そこにはダメな部分も非常に多いけれど、基本的には「日本国家が標榜している実態」よりは、はるかに暖かくて居心地のいい世界があります。そして、この「裏側にある世界」は、そこにいない人からは見えません。


私は、他にも様々なアンダーグラウンドな生き方をしている人々を見てきましたが、立派な人々が眉をひそめるような仕事や生き方をしている人は、「国家に見捨てられた代わりにお互いに救済」していました。

戦後に始まった日本の制度は、「ザルからこぼれ落ちた人たちは日本人ではありません」という国家体制となりましたが、ザルからこぼれ落ちるたくさんの人々たちは、すでに国家から離れて、日本国の日本人ではなく、所属のない「単なる日本人」として生活していたように思います。

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