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「小蓄、履、泰、否」の占断

9:小蓄(風天小蓄)【○○× ○○○】「小さな停止、小さな蓄積」

願望は通る。だが、まだ待つべき時期であり、実力を蓄積し、準備を十分にすべきである。

*この卦がなぜ「小蓄」とされるのか、易経の解説書は屁理屈としか思えない理解不能の説明だけなので、私は無理に解釈せずにおく。まあ、易経の本文だけ書いておく。「小蓄亨 密雲不雨 自我西郊」で、読み下しは「小蓄は亨(とお)る。密雲雨降らず。我が西郊よりす」となっている。密雲があるが、雨は降らない。やがて西の方から降るだろう」くらいの意味か。つまり、問題解決のカギやいい知らせは西から来る、ということかと思う。下卦が乾であり、卦は下から上に情勢が進むとされるので、陽が伸長する卦である。しかし、上卦の一番下が陰なので、それに邪魔されて少し手間がかかる、という感じらしい。

10:履(天沢履)【○○○ ×○○】「足でふむ。履(ふ)み行う」

虎の尾を踏むような大きな危険に遭遇するが、無事に済む。願望は通る。

*これも、この卦がなぜ「虎の尾を踏む」ことを示すのか、理解しがたいが、卦の主爻は三つの陰陽の爻のうち数が少ないものとされる(上下の真ん中の爻、つまり第2爻と第5爻も地位的な意味では上下それぞれの中心なので、分かりにくい。)ようで、この場合、下卦の主は最上部にある陰爻である。その目前にあるのが陽爻だけの乾(天)の卦だ。つまり、剛強であり、高い地位にある存在に擬せられる。柔弱な身で高位剛強な存在を前にするのだから、危険そのものである。つまり、虎の尾を踏むような経験だ、ということのようだ。しかし、下卦の「沢」は喜ぶ意味があり、剛強な存在の気持ちを和らげ喜ばすので、無事に済む、というわけである。

11:泰(地天泰)【××× ○○○】「通じる。太平(泰平)の時」

小人が高い地位にいて我が物顔でいた時は行き、優れた人物がふさわしい地位につく。吉であり、願望は通る。

*上卦が地で下卦が天なのがなぜ「泰」なのかについては前に書いた。陰が退潮し、陽が伸長する時である。

12:否(天地否)【○○○ ×××】「塞がる。暗黒時代」

小人が力を伸ばし、君子が逼塞する時である。こういう時に正義を信じて頑固にふるまうのは破滅的行為である。

*上卦が天で下卦が地という、それぞれにふさわしい地位にあると思われるこの卦がなぜ「否」なのか、ということも前に書いたが、要するに、時とともに各爻はそれぞれ上の段に進むと思えばいい。すると、上卦はどんどん陰爻に侵食されていくわけである。
一見泰平無事ですべてが充足しているように見える時こそ、退廃や衰退に向かっているという、易の「変化こそ不変の真理である」という知恵を明確に示すのが、「地天泰」と「天地否」のふたつだろう。
原文では「不利君子貞」、つまり「君子の貞に利あらず」と書かれていて、これを見ても「貞=正」という解釈は一面的すぎることが分かる。これは、「たとえ正しくても頑固な態度は不利益を招く」と解釈すべきである。君子なのだから、その行為自体は「君子の取るべき正しい態度」に決まっているが、それは時として危険そのものだ、ということだ。






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空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
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