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高校生のための「現代世界」政治経済編8

第七章 世界経済の現代史

 世界経済の現代史を見てみましょう。
 第二次世界大戦が終わる直前の1944年7月に、アメリカのブレトン・ウッズで開かれた連合国国際通貨会議で国際通貨基金協定と国際復興開発銀行協定が作成されました。(この、1944年という年号に注意してください。この時点でアメリカは、日本の敗戦を確信し、戦後体制の立案に取り掛かっていたのですから、翌年8月に落とされた原爆は何のためのものだったというのでしょう。)この協定をブレトン・ウッズ協定、この協定にもとづく機構をブレトン・ウッズ機構と言います。
 国際通貨基金(IMF)の目的は、為替の安定を図ることで世界貿易の拡大を目指すものです。その他、加盟国の経済成長や完全雇用の実現などのお題目もありますが、要するに自由貿易の促進が目的です。したがって、その背後には当然、世界的資本家たちがいたでしょう。その目的を達成するために加盟各国は基金(当初110億ドル)の割り当て額を出資し、金1オンス=35ドルの合衆国ドルを平価(金で表示された通貨価格)基準として、為替相場の変動を平価の1%以内に抑えることが義務づけられました。平価が変動しそうになると、各国は基金から外国通貨を買い入れて変動を避けるわけです。
 国際復興開発銀行とは、いわゆる世界銀行で、各国の出資金を資金として、戦災国や発展途上国への融資を行います。
 1945年12月には、アメリカによって、自由貿易促進のために関税(輸出入にかかる税金)やその他の貿易障害を取り除く「貿易と関税に関する一般協定(GATT、ガット)」が提唱され、1947年に調印、48年から発効します。もちろん、これも自由貿易で儲けようという世界経済支配層が作らせたものでしょう。
 1949年、顕在化してきた東西対立(資本主義国家と社会主義国家の対立)によって、ココム(対共産圏輸出統制委員会)が作られ、52年にはチンコム(対中国輸出統制委員会)が作られます。
 ヨーロッパでは、1950年頃から欧州全体を経済共同体とする動きが現れ、それが後のEEC(ヨーロッパ経済共同体),EC(ヨーロッパ共同体),EU(欧州連合)へと発展していきます。
 IMF体制によって、ドルは世界で唯一の金と交換可能な通貨として信任され、世界の機軸通貨となりました。しかし、1960年頃になると、アメリカはヨーロッパ各国や日本に追い上げられて貿易収支が悪化し、国内的にはインフレーションが進行した上に、共産圏との対決のために拡大を続けた軍事費による政府財政悪化などもあって、金とドルとの交換が不可能になることが明らかになってきました。
 そして、1971年8月15日(日本の敗戦記念日でもあるところが皮肉です。アメリカの経済的敗戦?)、ニクソン大統領は金とドルとの交換を一方的に停止する声明を発表し、世界を驚かします。これがいわゆるニクソン・ショックです。
 これ以降は、世界の為替市場は変動相場制になるわけです。つまり、IMF体制とは、為替の固定相場制のことです。
 本来なら、この時点で、世界の基軸通貨がドル以外のものに変わっていても良かったのですが、やはり軍事大国アメリカへの信頼のせいか、その後もドルは世界の基軸通貨であり続けました。
 1973年、産油国の産油制限と石油価格引き上げによって、世界は経済的にも社会的にも混乱します。これがいわゆるオイルショックです。石油はあらゆる産業に影響し、石油の騰貴はあらゆる物価の騰貴につながると日本人が初めて知ったのは、この時です。日本では物価が異常に上昇し、狂乱物価と言われました。
 その後、1985年のプラザ合意では、「アメリカの貿易赤字解消のために」各国が協調してドル安へ導くことが決定され、85年2月には1ドル=263円だったものが、88年には1ドル=120円にまで円高が進みます。これは日本の輸出企業の生命を絶ちかねない政策でした。(要するに、85年時点である商品を単価1ドルのドル建てで契約していた日本企業が、仮に88年に1ドルを支払われたならば、54パーセントの損失を蒙ったわけです。日本の企業を守るべき日本政府がプラザ合意に嬉々として従ったことは驚くべきことですが、日本がアメリカの属国であることを知っている人間には、驚くべきことではないでしょう。その働きによって、当時の竹下蔵相は、後に総理大臣の地位を貰います)                  驚いたことに、日本企業はこの試練に耐えて、アメリカに対する貿易黒字をなおも拡大し続けます。結局、アメリカの貿易赤字はアメリカ自身の産業空洞化に原因があり、為替相場をいじる程度では解消できなかったわけです。
 そして、レーガン時代に貿易赤字と財政赤字の双子の赤字が最大になったアメリカは、次のブッシュ(親の方です)政権時代にも赤字を解消できず、民主党のクリントンに政権が渡ります。
 クリントン時代に、アメリカは奇妙な繁栄をします。アメリカの産業自体は特に向上してもいないのに、国民の間に株式投機熱が広がり、また、世界各国からもアメリカに資金が流れ込んで、好景気になるのです。その原因の一つは、得体の知れない「IT革命」という言葉でした。IT、つまり、情報技術の革命によって、アメリカのこれからの産業は発展するという、根拠の無い期待感が、アメリカへの投資を生んだのです。日本のバブル崩壊によって投資先を失った世界の資本が、争うようにアメリカに流れ込みました。アメリカ自体は何一つ生産しなくても、世界から金が流れ込んでくるのですから、アメリカ人全体としては遊んで暮らせばいいわけです。(IT技術自体は何も生産するわけではありませんから、結局はコンピューターが社会全体に広がれば、それで需要は終わりです。しかし、その当時は、アメリカの繁栄がいつまでも続くような錯覚にみんな陥っていました。)

注)「IT技術自体は何も生産しない」について補足すると、IT技術は「生産性を高める」つまり、効率化を行うから、生産したのと同様だ、と見ることもできるが、それによって労働者の人件費カットが必ず生じるので「一企業としては裕福になるが、社会全体としては貧困化が進む」というのが適切だろう。投資家にとっては企業の収益率が高まればそれでいいので、IT革命が進行する米国企業に投資することは必ずしも間違いではない。

 まるで夢のような状態ですが、借りた金はいつかは返さなくてはなりませんから、アメリカのこのITバブルも2000年頃には終わりました。そして、現在、ブッシュ政権は、アメリカの軍隊を使って、世界を支配下に置き、ローマ帝国の再現をしようとしています。つまり、世界の奴隷化です。他の国は働いて、アメリカがそれを自分の物にすればいいという、実に立派な、「男らしい」考えです。俺は喧嘩が強いんだから、何も他人に頭を下げて商売をしなくてもいい。欲しいものは力で奪えばいい、ということです。西欧文明の歴史を考えるなら、世界を再び十九世紀の植民地時代に戻しただけのことですから、何も驚くには当たりませんが、さて、では日本はそういう国とどのように付き合っていくか、難しい判断を迫られています。これまではジャイアンに対するスネオの役割で無事に生きてきましたが、いつ自分がジャイアンに殴られることになるか分からないのですから。
 その答えは? それは分かりません。私には答えがありますが、それは私の答えであって、それを他人に強制する気はありません。めいめいが自分の頭で考えてみてください。

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