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10秒で正しい判断をしないと2億円の請求

「ゲンダイネット」から転載。
私は、こういう自然災害時の責任者の判断は裁判になじまないと思う。つまり、裁判にかけるべきではない、ということだ。誰がこういう場合に、とっさに正しい判断ができるだろうか。できたとしても、それはただ偶然的な幸運で、結果的に正しい判断になっただけではないか。そして、結果的に間違った判断をしたことになれば、裁判にかけられ、2億円という法外な賠償金を請求される。どこの世界に、2億円を払える幼稚園経営者がいるか。
子供を亡くした親は可哀そうではある。だが、家族を亡くした人は無数にいるが、それが国や地方自治体を相手に裁判を起こすだろうか。明らかな国の過失である福島原発避難被害についても、住民はまだ裁判に訴えていない。その理由は、相手が個人なら裁判で勝つ可能性が高いが、国家(政府)相手では勝つ可能性がほとんど無いからだ。
こういう状況で、幼稚園に対して裁判に訴えるのは、弱い者いじめに近いと私は思う。金の取れる相手から取ろう、というだけだ。子供を亡くした親への同情があるから、誰も表だってはそれを批判はしないが、おそらく彼らに対して、悪口を連ねた手紙やメールがこれから殺到すると思うし、逆に私のこのブログにも「子供を亡くした親を批判する血も涙も無い人間だ」という批判が来るだろう。
被害者ならすべて善だということもないし、被害者の行動がすべて正しく、どういう行動を取っても許されるということもない。
私がそういう渡部昇一や曽野綾子みたいなクズ保守派的発言をするなど、普通なら考えられないが、この件に関しては、それが正直な感想である。


(以下引用)

東日本大震災 気になる裁判の火種
【政治・経済】 2011年8月11日 掲載


宮城県で園児の遺族が提訴

 東日本大震災の犠牲者をめぐってついに裁判が持ち上がった。宮城県石巻市の日和幼稚園の園児の遺族が、同園を相手に民事訴訟を起こしたのだ。
 遺族側の主張では地震発生から約15分後の3月11日午後3時ごろ、幼稚園は送迎バスに園児5人を乗せて帰宅させ、その途中、津波に巻き込まれて全員が死亡。犠牲者のうち4人(5~6歳)の遺族が、幼稚園の対応に問題があったとして計2億6680万円の賠償金を求めている。
「この幼稚園では“一刻も早く園児を保護者に返そう”と、2台のバスに子供たちを分乗させて出発。犠牲になった子供たちのバスは沿岸部に向かい、横転したうえに火災に巻き込まれた。一方、もう1台のバスは津波が来ると聞いて幼稚園に引き返したため全員無事でした」(地元関係者)
 今回の大震災ではほかにも裁判の火種になりそうな悲劇が起きている。
 そのひとつが福島第1原発で作業員2人が死亡した事故。地震直後、現場の当直長から4号機タービン建屋を点検するよう指示され、建屋の地下で津波の犠牲になった。津波警報が発令されていたのに2人を避難させなかった理由を、東電広報部は「屋内作業を制限するルールがなかった」と説明する。
 もうひとつ気になるのが岩手県大槌町の役場で起きた事故だ。地震直後に加藤宏暉町長が災害対策会議を招集。役場の駐車場に25~30人の職員が机やイスを持ち出して用意しているところを津波が襲い、加藤町長ほか職員・臨時職員40人が犠牲になった。地震警報が発令されているのに避難より会議を優先したとみられ、ある報道では遺族の一部が「いまだに公式な説明がないのはおかしい」と怒りをぶちまけている。
 何が原因だったのか。岩手県に問い合わせてみたが、「大槌町役場の津波事故についてはまだ事実を把握していません。避難を優先させるのは今後の課題ととらえてますが……」(総務部総合防災室)とはっきりしない回答だった。
「日和幼稚園の訴訟に触発されて、全国で裁判が起きる可能性は高い。再発防止のためにも法廷で真相を究明し、現場の判断が正しかったかを追及するべきです」(防災コンサルタント)
 まずは日和幼稚園の裁判に注目だ。
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