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死のうは一定 偲び草には何をしよぞ 一定語りおこすよの

年を取ると気が短くなるのは、自分にはもう後がない、と分かっているからだ。これまでは自分の将来のため、自分の家族のために我慢してきたことも、残る人生が後数年となれば、我慢などしていられない。
というわけで、最近の老人は言いたいことをズバズバ言う「大久保彦左衛門」風の老人が増えている気がする。それに対して若者が「左翼の糞ジジイ」などと言うわけである。現在の社会への不満を言えば、それは「現状を変えよ」という主張になり、それが保守思想の反対、つまり革新的思想、左翼的思想になるしかないのは当然だ。
では今の若者は社会の現状に不満は無いのかと言えば、不満だらけである。だが、その不満が、マスコミが韓流を煽るのはけしからんとか、公務員が高い給与を貰うのはけしからんとか、不当に生活保護を受ける人間がいるのはけしからんとか、実に情けない不満ばかりである。自分はほとんど税金も払っていない人間ほどそう言いたがるようだが。
それに比べれば、ネットで発言する老人は天下国家を高い次元から見て論じていて、聞くに値する発言をすることが多い。まあ、高い次元から見るのも当然で、本人たちが天国に片足がかかった状態なのだから。
まあ、それは冗談だが、飯山一郎御大に限らず、最近「戦う老人」が増えている気がするのである。私もその驥尾に付して、英雄たちの後ろから権力というモンスターにこっそり石など投げたりすることもある。
本澤二郎の下記記事は、現代のジャーナリズムに対して投げつけられた大きな爆弾ではないだろうか。ジャーナリズムの現場にいた人間の証言であるから、これは今後のジャーナリズムの在り方に大きな影響を与えそうである。彼もまた戦う老人だ。
それにしても、ここまでズバリと言うというのは、何か覚悟を決めたような感じである。
今回のタイトルは織田信長が愛唱した小唄だが、表記は不確かである。「偲び草」は「偲び種」の方が適切かもしれないし、「語りおこす」は歴史的仮名遣いでは「語りをこす」かもしれない。意味は、「死ぬことは決まったことだ。私が死んだ後、人が私を思い出す種には何をしようか。人は私をきっと思い出してくれるだろうよ」というようなものだ。信長は幸若舞の「人間五十年 下天のうちを較ぶれば 夢幻のごとくなり」を好んで舞ったことといい、若いうちから死を見つめて生きてきた人間かと思われる。それでいながら、あれほどの偉業を為したわけで、私の兄はそれを「明るいニヒリズム」と上手い表現をしていた。
まさしく信長の一生を象徴する言葉が、この小歌であり、その言葉通りに後世の人々は永遠に彼のことを語ることになったのである。
我々も「死のうは一定」と思い定めて、「偲び草」を為してから死にたいものである。


(以下引用)


2012年02月19日
本澤二郎の「日本の風景」(991)


<「言論の自由」を抹殺する日本型システム>

 言論の自由を日本国憲法は明文規定している。それを信じている人も、信じていない人もいる。かつて日本で仕事をしている中国人が「日本がうらやましい。汚職議員に警察・検察が襲いかかり、それがテレビで報道される。中国もそうありたい」とうらめしそうに語っていた。他方、新聞社の社会部長はせっかく掴んだ特ダネを、社長に押さえられて嘆いていた。たびたびだった。そのうちに日中合作映画「敦煌」(大映)を制作する場面で、電通がスポンサーになった。記者が特ダネをつかむと、犯罪人は電通に泣きつく。電通は、広告提供者の言い分に応えて、マスコミに圧力をかけ、特ダネを抹殺するのである。



<ありきたりのマスコミ界の内実>
 新聞社やテレビ、雑誌の世界では、特ダネを抹殺する場面など日常茶飯事なのである。今では、多くの日本人が知っている事柄の一つだろう。この場合、裏で金が動くことにもなる。腐敗の構造は、マスコミ界の心臓部に及んでいる。
 せっかく憲法がまともな約束を国民との間でしていても、肝心の言論界が金で動いている。憲法違反をしている。
 圧力をかける側も、それを受け入れる側も、それを平然と演じる。ジャーナリストもそれに慣れさせられている。悲劇の日本なのだ。こんな場面で、記者は辞表を突きつけて正義を貫こうとしなければならない。しかし、そんな正義派はほとんどいない。生活が正義の決断を押しつぶすのである。

 現役の政治部長時代、井上靖原作の「敦煌」が映画化することに、相応の貢献をしたことに誇りさえ抱いた。日中友好に貢献しているのだと信じて疑わなかった。従って日本最大の広告会社がスポンサーになったことを、内心喜んだものである。
 その背後の黒い関係など知る由もなかった。だが、今は電通の悪行を指摘することが出来る。電通の犯罪は限りないだろう。
<電通の犯罪的威力>
 電通に抵抗するメディアはまず、この日本に存在しない。広告を封じ込められると、新聞もテレビも経営できない。わかりきっていることを、電通は平然と実施する。密室談合である。
 犯罪もみ消しビジネスで潤う会社といえなくもない。言論の自由に違反する行為を厳罰に処する法律を作るしか方法はない。作らなくてはならない。だが、日本の議会はそうしない。彼らも電通の恩恵を受けているからである。
 電通を批判するマスコミも司法・行政・立法も、この日本に存在しない。その犯罪的威力は天を突く勢いなのだ。
<政府と一体の電通>
 電通の威力は、それが政府と一体であるという点にある。密室の強権発動がいとも容易に行われる。「権力の魔性」という言葉は、古くから用いられている言葉である。
 なかなか善良な政府はこの世に存在しない。悪しき権力は、彼らにとって好ましい世論作りに貢献しない言論を封じてくる。メディア対策の一番の方法は、搦め手から抑え込むのだが、その役割を担っているのが、今日では電通なのである。
 宇都宮徳馬はよく「民主主義がうまく機能するためには健全な言論と健全な議会・野党の存在が不可欠である」と断じていた。それゆえに彼は「マスコミの腐敗」に警鐘を鳴らし続けていた。
 彼の正論は、現在も全く存在していない。今日の悪しき政策というと、ワシントンの野望の一つであるTPP問題だが、新聞テレビはこれに批判を加えることはしない。出来ないのだ。
 電通の目を気にしているのである。こんな事柄を一般の日本人も外国の学者も、まるでわかっていない。
<不透明犯罪社会>
 先にチュニジアの革命家の発言を取り上げた。彼は日本モデルを学びたい、と再三口にしていた。彼は日本の真実を知らないからなのだ。
 真実は、不透明な日本社会といっていい。透明性のない日本である。封建時代よりは進歩しているだろうが、それ以上のものといえるのかどうか。不正な行為・不当な行為が活字をにぎわせるのには、体制にとって電通にとって不都合な場合に限られる。
 昨今のオリンパス事件などは、その一つといえるだろう。メディアが活躍する事件は、例外の事例と理解すべきだろう。電通の活躍によって、日本は不透明な社会にされてしまっている。
 外国の人権問題について鋭い報道をするマスコミは、しかし、日本国内の不正・腐敗を暴くことはしない。逆に、官僚政治を熟知するワルは、政治家だけでは安心できない。電通と結びついている霞が関とのパイプに日ごろから務めることになる。
 言論の自由を抹殺する行為を封じる厳罰法の制定が、まず不可欠なのだ。
<電通の黒幕は共同・時事?>
 筆者は時事通信が主催する内外情勢調査会の講師をしていたことがある。本音の政局論を展開していたら、いつの間にか排除された。時事が政府の加護にあることは承知していたが、それでも講演内容を偽装するつもりなどなかったからである。これは貴重な経験となった。
 ならば共同通信の講師を、と汗をかいてくれた友人がいたが、民意・日本国憲法を基礎にした筆者だとわかると、やはり起用してくれなかった。
 その理由を最近になって判明した。なんと電通の大株主は共同通信と時事通信だったからである。前者にはかなり衝撃を受けてしまった。というのも、筆者が勤務していた東京タイムズは、共同加盟社の雄だった。国際ニュースのほとんどを共同原稿に頼っていた。
 しかも、昔の共同にはしっかりした労働組合が存在していた。権力に屈しない原稿は、昔の朝日や毎日に匹敵していた。テレビのニュース報道もほとんどが共同頼みだった。この共同が全国の地方新聞に掲載されていたことで、国民の好戦的右傾化を抑止できた。その貢献は大きかった。
 以上のように思いこんできたものだから、共同が電通の大株主という事実にがっくりしてしまった。電通の悪徳を阻止できる立場を利用しない通信社だったことに。
 広告に無縁な通信社は、言論の自由を疎外しないという筆者の思いは、幻想でしかなかったのだ。電通犯罪の共犯者だった。
<NHKの衰退>
 広告と無縁なはずの公共放送NHKはどうなのか。
 先頃、NHK解説委員から「会長はJR東海の葛西の子分」との説明を受けてこれまた、驚いてしまった。葛西といえば、その筋で知られる右翼経済人だ。その手下の経済人がNHKのトップというのだ。
 ジャーナリスト経験者ではない、そんな金もうけの会長に言論の自由を口にする資格などない。
 昔のNHKにはまともな労働組合が存在した。イカサマ報道には労組が噛みついた。今は御用組合になってしまった。政治権力に弱いNHKなのである。NHK予算は政府と議会に握られている。平均年収1200万円という高額報酬によって、NHKの言論の自由を抑え込んでいるのだ。
<報道管制の日本>
 3・11以後のNHKは、メルトダウンの福島原発からの大量放射能の放出に対して「健康に被害はない」という嘘の情報を垂れ流し続けた。全国民が証人である。本当の証拠を隠した。
 東電批判は皆無だ。メルトダウンを2カ月後に公表した。他の新聞・テレビも同じだった。ここでも電通が活躍していたであろう。当時、官房長官の枝野は家族を海外に逃亡させた。今現在、経済産業大臣として東電の株主・債権者・メガバンクの救済に懸命である。この重大な事実さえ報道しないマスコミなのである。        2012年2月19日9時35分記

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