「ネットゲリラ」から転載。最後の「なぜ農業をするか」についてのブログ管理人野次馬氏の発言は、彼にしては珍しく偽善的な発言だなあ、と思う。崖っぷち社長ではないが、誰もが自分の利益、自分のエゴのために戦うのが世間であり、この資本主義の社会ではないか。
「アンタの作ったトマト、美味しいわぁ」と、客が喜んでくれる、その顔見たくてトマトを作るという、そういう、素朴な動機で作られる作物を食べたい。それが、農業の基本だと思う。
こういう考えで農業をやる人間が農業で生きていけるわけはない、と私は思う。そもそも、今どきの農業で、生産者が消費者の顔を直接見ることなどあるわけがない。「金のためではない」というような「精神主義」こそ、ネットゲリラ氏がこれまで嫌ってきた偽善ではないだろうか。そして、そういう偽善を偽善と知らずに好む人間(素朴な善人)は、この世界にはたくさんおり、そうした善人を美辞麗句で騙すことで悪は勢力を伸ばし、支配を強化してきたのである。(まさに「地獄への道は善意で舗装されている」のである。)
実は私は「偽善」そのものは必要だと考えている。「偽」とは分解すれば「人為」であり、無意識的な善ではなく、意識的に、努力して行う善が本来の「偽善」だったのである。そして、そのような「偽善(人為的善)」は褒めるべきものであることは言うまでもない。だが、悪を隠すための偽善は、巨大な害悪の原因であり、何よりも嫌悪すべきものだ。
そして、そうした虚偽に騙される人々にも、騙された責任というものがある。なぜなら、無知な人々が騙されることで、社会全体はどんどん悪化していくからである。TPP問題も、そうした「無知との戦い」になるだろう、と私は見ている。
ネットゲリラ氏の上記の言葉は、百姓は利益など求めるな、と言っているように私には聞こえる。他人(下の者)に正当な利益(農業補助金などはそうではないだろうが)の獲得を許さない姿勢は、この社会の上位層に蔓延する姿勢である。あらゆるブラック企業経営者の姿勢がそうであることは言うまでもないが、経団連も官僚もすべてそうなのである。
そして、「自分の利益のことを口にしたり、そのために戦ったりするのは恥ずかしい」という日本人的なシャイさが、日本社会の理不尽な「上による下からの搾取」を容易にしている。だから、私はネットゲリラ氏の言葉を否とし、崖っぷち社長の言葉を是とするのである。
下の記事の中の瑣末な問題を取り上げただけで話が終わりそうだが、こうした「他人に(または上の者が下の者に)無私・無欲を要求するという図々しさ」こそが、日本をどんどん悪い状態にしていると思うので、この問題はけっして瑣末だとは思わないのである。
もちろん、日本が現在直面しているのはTPPという「日本占領計画」といかにして戦うかという大問題なのだが、それについては無数の記事がネットに溢れているので、私が論じるまでもない。また、下記記事における「農業ギルド」のこれまでの陋習は批判されて当然であり、それを変えないと農業はTPPが無くとも死滅するはずである。
(以下引用)
自民の反対派はこれどーすんのかな
野次馬 (2013年2月23日 14:21) | コメント(29)
勝谷誠彦氏が、農協から頼まれて原稿を書いたんだがボツになったそうで、嫌がらせにその全文をネットで公開してます。全文転載可だというので、ここに転載します。
<言葉を紡ぐことを商売にしているので、私は用語には比較的厳格である。だからTPPという言葉に関しては、最初から怪しいと思っていた。TPPに懐疑的な人々はまずここから入ればいいと思うのだが、この協定の正式名称を英語で言える人も実は少ない。
正式には『Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement』である。これを霞が関はどう訳してきたか。言うまでもなく『環太平洋戦略的経済連携協定』だ。
英語が少しでもわかる人なら「あれ?」と思いませんか。Teans を英和辞典で引くとこう出る。<「越えて」「横切って」「貫いて」「通って」「...の向こう側の」>。これのどこをどう読めば「環太平洋」になるのだろうか。もし「環太平洋」ならばPan-Pacific にならなくてはおかしいでしょう。現にさまざまな団体や条約の名称はそうなっている。
言葉は真実を語る。つまり「太平洋のあっちとこっち」の条約なのである。もっとあからさまに言うならば「アメリカと日本の決まり事」なのだ。これは御存知のように、全体で扱う金額などのほとんどを日米が占めていることでもよくわかる。「アメリカに言われて従わざるを得ない命令」であることを誤魔化すために「環太平洋」などというデタラメな翻訳を役人はしたのだと私は思う。このことを霞が関の連中に指摘すると、みんな黙ってしまう。ホントだからだろう。
日本人は「みんな仲良く」に弱い。大東亜戦争の戦勝国の仲良しクラブに過ぎない国連に過大な期待をするのでもわかるように。「シンガポールも、ブルネイも入っていますよ。ここで経済大国の日本が欠けるというのは国際協調を国是としているプライドにもとりませんか」と言われると、日本人はついグラリと来る。日本の役人は外交で他国をやりこめられないくせに、自国民を騙す技術は天下一品なのだ。その結果が積み上がっている国家の債務であることは言うまでもない。
私はまずこの「すべてが嘘つきから始まっている」という認識を持つことが大切だと思う。あらゆる業界で横断的にだ。
この国は長年の利権談合共産主義によって、業界団体がタコツボ的にオノレの利権を守ることに慣れてきた。だから今回の国際的な詐欺にしてもすぐにそれぞれの事情を持ちだして来る。たしかにいずれも根拠のあることだが、こうなると互いの足を引っ張り合うのもまた、私たちの宿痾だと自覚しよう。
農業は特に国内の批判にさらされてきた。さまざまな問題はある。しかし、だからといって「外に放り出して鍛えてもらえ」というのは乱暴すぎる話だ。いま問題になっている体罰ではないが「根性を叩き直す」だけではなく、殺されてしまう可能性もあるのではないか。だが、他の業界の中には農業を目の敵にして、こういうことをしきりに主張する向きも目立つ。「自分はそう見られているんだ」という自覚と謙虚さはまさに「戦略的に」農業界は持った方がいい。
それには被害者面をやめることだ。もっと雄々しく立ち回ることだ。これが日本の農業界にもっとも欠けていた。さきほど体罰について書いたが、いまもうひとつの大きな問題として「いじめ」がある。さまざまな業界にとって農業って「いじめたくなる存在」だという自覚はありますか?数をたのみ、先生という名の政治家に可愛がられ、過保護な扱いをされているのに、外でケンカするとすぐに負けて泣いて帰ってくる。こんな子どもがいたら、よくないことではあるが、いじめたくなる奴も出て来ると思いませんか?
日本酒の本をたくさん書いている私は、長く酒蔵の方向から農業を見てきた。有名な産地の山田錦の蔵への割り当てが、いかに利権と談合にまみれているかも知ってきた。今や立場は逆転し、山田錦を蔵に「買ってもらう」時代になったのは慶賀の至りだ。
日本酒業界はこの農業界からの逆な「いじめ」に耐えてきた。自らを鍛え、昨年度はついに日本酒の出荷量は底を打ち、反転攻勢に立っている。「クール」な日本酒は今やわが国が誇る輸出産業だ。誰も守ってくれてはいない中、自助努力で復活したのだ。これはひとつの学ぶべきモデルではないだろうか。
農業だけではなく特に医療や保険など明らかにマイナスとなる部門は多い。極端な話、モノを書いて飯を食っている私の業界でも「日本語が参入の邪魔になる」として全部英語で発信しろと言われるかも知れないのだ。マンガみたいな話だが、あながち冗談だけではない。それほど「丸飲み」の約束というものは怖い。そんな「詐欺師」を相手にして、いま農業にもっとも必要なのは「ファイティングポーズ」なのだ。国民の同情を引いたり、脅したりすることではない。「こんなかわいそうな農業」ではなく「こんな立派な農業」を危機にさらすわけにはいかない、そう国民に思わせて欲しい。>
以上、転載でした。
おいら、日本の農業をダメにしたのは「補助金」だと思う。働かなくてもカネが貰える。いや、むしろ、休耕田で働かない方がカネになるとか、そんな事をやってりゃ、勤労意欲が薄れて当たり前だ。「アンタの作ったトマト、美味しいわぁ」と、客が喜んでくれる、その顔見たくてトマトを作るという、そういう、素朴な動機で作られる作物を食べたい。それが、農業の基本だと思う。作った作物が、市場に出せばカネになる。後は知ったこっちゃない、どこに運ばれてどこの誰が食うのか、ゼニになりゃ、知ったこっちゃない、しかも、その上に補助金ばかり欲しがって、あっちからもこっちからも「カネくれ」「カネくれ」と手ばかり出て来るので、世間では「千手観音」とまで呼ばれているのを、農業従事者さんは知ってますか? そういう、今までの農業のカタチに見切りをつけて、自分で作った作物を自分で直売所に持ち込んで、買って行く客の顔を見ながら、励まされながら、ゼニ儲けのためにアメリカが、中国が作る農産物と戦う。そこに、価格だけでない「価値」を見い出して、客が買って行く。それが商売というモノだと思うし、農業以外の分野ではみんな、そうして戦っている。カネ寄越せという話だけではなく、どうしたら戦えるのか、それを考えないと生き残れません。
「アンタの作ったトマト、美味しいわぁ」と、客が喜んでくれる、その顔見たくてトマトを作るという、そういう、素朴な動機で作られる作物を食べたい。それが、農業の基本だと思う。
こういう考えで農業をやる人間が農業で生きていけるわけはない、と私は思う。そもそも、今どきの農業で、生産者が消費者の顔を直接見ることなどあるわけがない。「金のためではない」というような「精神主義」こそ、ネットゲリラ氏がこれまで嫌ってきた偽善ではないだろうか。そして、そういう偽善を偽善と知らずに好む人間(素朴な善人)は、この世界にはたくさんおり、そうした善人を美辞麗句で騙すことで悪は勢力を伸ばし、支配を強化してきたのである。(まさに「地獄への道は善意で舗装されている」のである。)
実は私は「偽善」そのものは必要だと考えている。「偽」とは分解すれば「人為」であり、無意識的な善ではなく、意識的に、努力して行う善が本来の「偽善」だったのである。そして、そのような「偽善(人為的善)」は褒めるべきものであることは言うまでもない。だが、悪を隠すための偽善は、巨大な害悪の原因であり、何よりも嫌悪すべきものだ。
そして、そうした虚偽に騙される人々にも、騙された責任というものがある。なぜなら、無知な人々が騙されることで、社会全体はどんどん悪化していくからである。TPP問題も、そうした「無知との戦い」になるだろう、と私は見ている。
ネットゲリラ氏の上記の言葉は、百姓は利益など求めるな、と言っているように私には聞こえる。他人(下の者)に正当な利益(農業補助金などはそうではないだろうが)の獲得を許さない姿勢は、この社会の上位層に蔓延する姿勢である。あらゆるブラック企業経営者の姿勢がそうであることは言うまでもないが、経団連も官僚もすべてそうなのである。
そして、「自分の利益のことを口にしたり、そのために戦ったりするのは恥ずかしい」という日本人的なシャイさが、日本社会の理不尽な「上による下からの搾取」を容易にしている。だから、私はネットゲリラ氏の言葉を否とし、崖っぷち社長の言葉を是とするのである。
下の記事の中の瑣末な問題を取り上げただけで話が終わりそうだが、こうした「他人に(または上の者が下の者に)無私・無欲を要求するという図々しさ」こそが、日本をどんどん悪い状態にしていると思うので、この問題はけっして瑣末だとは思わないのである。
もちろん、日本が現在直面しているのはTPPという「日本占領計画」といかにして戦うかという大問題なのだが、それについては無数の記事がネットに溢れているので、私が論じるまでもない。また、下記記事における「農業ギルド」のこれまでの陋習は批判されて当然であり、それを変えないと農業はTPPが無くとも死滅するはずである。
(以下引用)
自民の反対派はこれどーすんのかな
野次馬 (2013年2月23日 14:21) | コメント(29)
勝谷誠彦氏が、農協から頼まれて原稿を書いたんだがボツになったそうで、嫌がらせにその全文をネットで公開してます。全文転載可だというので、ここに転載します。
<言葉を紡ぐことを商売にしているので、私は用語には比較的厳格である。だからTPPという言葉に関しては、最初から怪しいと思っていた。TPPに懐疑的な人々はまずここから入ればいいと思うのだが、この協定の正式名称を英語で言える人も実は少ない。
正式には『Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement』である。これを霞が関はどう訳してきたか。言うまでもなく『環太平洋戦略的経済連携協定』だ。
英語が少しでもわかる人なら「あれ?」と思いませんか。Teans を英和辞典で引くとこう出る。<「越えて」「横切って」「貫いて」「通って」「...の向こう側の」>。これのどこをどう読めば「環太平洋」になるのだろうか。もし「環太平洋」ならばPan-Pacific にならなくてはおかしいでしょう。現にさまざまな団体や条約の名称はそうなっている。
言葉は真実を語る。つまり「太平洋のあっちとこっち」の条約なのである。もっとあからさまに言うならば「アメリカと日本の決まり事」なのだ。これは御存知のように、全体で扱う金額などのほとんどを日米が占めていることでもよくわかる。「アメリカに言われて従わざるを得ない命令」であることを誤魔化すために「環太平洋」などというデタラメな翻訳を役人はしたのだと私は思う。このことを霞が関の連中に指摘すると、みんな黙ってしまう。ホントだからだろう。
日本人は「みんな仲良く」に弱い。大東亜戦争の戦勝国の仲良しクラブに過ぎない国連に過大な期待をするのでもわかるように。「シンガポールも、ブルネイも入っていますよ。ここで経済大国の日本が欠けるというのは国際協調を国是としているプライドにもとりませんか」と言われると、日本人はついグラリと来る。日本の役人は外交で他国をやりこめられないくせに、自国民を騙す技術は天下一品なのだ。その結果が積み上がっている国家の債務であることは言うまでもない。
私はまずこの「すべてが嘘つきから始まっている」という認識を持つことが大切だと思う。あらゆる業界で横断的にだ。
この国は長年の利権談合共産主義によって、業界団体がタコツボ的にオノレの利権を守ることに慣れてきた。だから今回の国際的な詐欺にしてもすぐにそれぞれの事情を持ちだして来る。たしかにいずれも根拠のあることだが、こうなると互いの足を引っ張り合うのもまた、私たちの宿痾だと自覚しよう。
農業は特に国内の批判にさらされてきた。さまざまな問題はある。しかし、だからといって「外に放り出して鍛えてもらえ」というのは乱暴すぎる話だ。いま問題になっている体罰ではないが「根性を叩き直す」だけではなく、殺されてしまう可能性もあるのではないか。だが、他の業界の中には農業を目の敵にして、こういうことをしきりに主張する向きも目立つ。「自分はそう見られているんだ」という自覚と謙虚さはまさに「戦略的に」農業界は持った方がいい。
それには被害者面をやめることだ。もっと雄々しく立ち回ることだ。これが日本の農業界にもっとも欠けていた。さきほど体罰について書いたが、いまもうひとつの大きな問題として「いじめ」がある。さまざまな業界にとって農業って「いじめたくなる存在」だという自覚はありますか?数をたのみ、先生という名の政治家に可愛がられ、過保護な扱いをされているのに、外でケンカするとすぐに負けて泣いて帰ってくる。こんな子どもがいたら、よくないことではあるが、いじめたくなる奴も出て来ると思いませんか?
日本酒の本をたくさん書いている私は、長く酒蔵の方向から農業を見てきた。有名な産地の山田錦の蔵への割り当てが、いかに利権と談合にまみれているかも知ってきた。今や立場は逆転し、山田錦を蔵に「買ってもらう」時代になったのは慶賀の至りだ。
日本酒業界はこの農業界からの逆な「いじめ」に耐えてきた。自らを鍛え、昨年度はついに日本酒の出荷量は底を打ち、反転攻勢に立っている。「クール」な日本酒は今やわが国が誇る輸出産業だ。誰も守ってくれてはいない中、自助努力で復活したのだ。これはひとつの学ぶべきモデルではないだろうか。
農業だけではなく特に医療や保険など明らかにマイナスとなる部門は多い。極端な話、モノを書いて飯を食っている私の業界でも「日本語が参入の邪魔になる」として全部英語で発信しろと言われるかも知れないのだ。マンガみたいな話だが、あながち冗談だけではない。それほど「丸飲み」の約束というものは怖い。そんな「詐欺師」を相手にして、いま農業にもっとも必要なのは「ファイティングポーズ」なのだ。国民の同情を引いたり、脅したりすることではない。「こんなかわいそうな農業」ではなく「こんな立派な農業」を危機にさらすわけにはいかない、そう国民に思わせて欲しい。>
以上、転載でした。
おいら、日本の農業をダメにしたのは「補助金」だと思う。働かなくてもカネが貰える。いや、むしろ、休耕田で働かない方がカネになるとか、そんな事をやってりゃ、勤労意欲が薄れて当たり前だ。「アンタの作ったトマト、美味しいわぁ」と、客が喜んでくれる、その顔見たくてトマトを作るという、そういう、素朴な動機で作られる作物を食べたい。それが、農業の基本だと思う。作った作物が、市場に出せばカネになる。後は知ったこっちゃない、どこに運ばれてどこの誰が食うのか、ゼニになりゃ、知ったこっちゃない、しかも、その上に補助金ばかり欲しがって、あっちからもこっちからも「カネくれ」「カネくれ」と手ばかり出て来るので、世間では「千手観音」とまで呼ばれているのを、農業従事者さんは知ってますか? そういう、今までの農業のカタチに見切りをつけて、自分で作った作物を自分で直売所に持ち込んで、買って行く客の顔を見ながら、励まされながら、ゼニ儲けのためにアメリカが、中国が作る農産物と戦う。そこに、価格だけでない「価値」を見い出して、客が買って行く。それが商売というモノだと思うし、農業以外の分野ではみんな、そうして戦っている。カネ寄越せという話だけではなく、どうしたら戦えるのか、それを考えないと生き残れません。
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