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右手のやることを左手には知らすな

IT技術者で神秘思想家のKAYさんのブログから一部転載。
以前に彼の「社会批判者批判」の文章を批判したことがある(ああ、面倒臭い文だ)が、彼は有益な発言をすることも多く、「お気に入り」ブログの一つである。そういう意味では南堂氏などと同様だ。時々、考えが私と正反対の文章を書いたりするが、逆にそういうことがきっかけとなって私は自分の考えが何なのか発見できたりする。だからこそ私にとっては有益だとも言える。森鴎外流に言えば、「師」ではないが、帽子を取って頭を下げる相手である。
下記の文章は、面白い内容だ。つまり、話を拡大すれば、権力による弾圧や禁止には「表向きの理由」と「隠れた理由」がある、ということだ。たとえば猥褻物への弾圧や禁止は、それ自体は世間の同意を得やすい。しかし、それを認めると、そこに「グレーゾーン」が生じ、多くの表現への弾圧が可能になるのである。
権力はこの手法で庶民を縛ることを常に画策している。いや、庶民だけではない。
小沢裁判が、あれほど薄弱な根拠で小沢を強力に縛りつけた例を間近に思い出せるだろう。
権力がその気になれば、庶民などいつでも監獄にぶちこめるのである。法律の運用はそういうものだ。したがって、庶民自ら、自分の自由を制限する法案に賛成してはいけないのである。「マイナンバー法案」などもおそらく庶民を縛る最悪の法律になるだろう。そのほかにも、いろいろ庶民を縛る法律を官僚たちは常に発明し、工夫し、おためごかしの名前(法案名)で正体を隠すことを画策しているのである。


(以下引用)


漫画等で、児童を対象とした性的描写を禁止する法律を政府が施行しようとすることに対し、日本の財産たる漫画文化を創造した著名な漫画家達が異論を唱えた。
その中で、永井豪さんが、「僕は『ハレンチ学園』で世に出たが、そんな法律ができたら、この作品は出せなくなる」と言われていたのを覚えている。
『ハレンチ学園』は、小学校を舞台に描かれたギャグ漫画で、永井さんが言われる通り、性的な描写が多いと言われる。とはいえ、これは半世紀近くも前の作品(1968年連載開始)で、近年の漫画の過激な性描写に比べると大人しいものかもしれない。
だが、永井さんは、当時、学校やPTAから、「人格を否定される」ような糾弾を受け、テレビでは、「真面目な番組」に引っ張り出され、晒し者にされながら辱められらたようだ。
当時の映像が残っているなら、社会暴力とはどういうものかを示すために、是非、DVD等で販売していただきたいものであるが、昔とはいえ、一般PTAの方々も映っているだろうから、そうもいくまい。つまり、当時は正義の立場だと思い込んでいたような人々は、実際は、現在の専制国家も顔負けの暴力を振るっていたのである。
また、永井さんは、後に、大体でこんなことも述べている。
「『ハレンチ学園』での私への迫害振りは凄かったが、不思議なことに、同じような作品の『あばしり一家』は全く非難、批判されなかった。それで分かったが、『ハレンチ学園』は、教師というものを馬鹿にしたことに対して、学校や教師が攻撃してきただけのことなのだ」
当時は、教師はひどく威張っていたらしい。実際、立派な先生も多かったのだと思うが、教師の権威は高く、教師の影を踏むこともはばかられる風潮であったようだ。
『ハレンチ学園』では、奇怪で、誰が見ても馬鹿にされるような教師達を沢山登場させ、「偉い」教師の権威を否定したことが攻撃された真の理由であり、「猥褻」というのは、取ってつけた理由に過ぎなかったというのである。多分、ほとんどその通りと思う。

ところが、今日では、その「本当に問題されるべきことでなかった」漫画の性描写を、本当の問題にしようとしているのだ。
とすると、ここで鋭く考えなければならないことがある。
永井さんの言われることが本当なら、昔、永井が糾弾された理由は、「猥褻さ」ではなく、「権威の否定」だった。
つまり、今回も、他の問題がいくらでもある中で、政府がわざわざ、漫画の性描写をスポット攻撃する真の目的は他にあるということだ。
そこを良く考えて、問題に対応しなければならないのである。







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酔生夢人
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職業:
仙人
趣味:
考えること
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空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
それだけで人生は生きるに値します。

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