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ギリシア政治経済情勢についての或る論評

「谷間の百合」ブログに、素晴らしい文章(同ブログ愛読者のコメントらしい)があったので転載させてもらう。これほどの知性と良識と「本物の」知識を持った人は、マスコミなどにはほとんどいない。まさに、野に遺賢あり、である。こうした読者がいる、というのも「谷間の百合」さんの人徳だろう。


(以下引用)



以下、「コメント」(by machidanooka)から転載。

財政基盤の弱いギリシャの国債は、欧米金融・投機筋の標的となり、たびたび財政危機に陥った。

政府(他国同様二大政党・財界・エリート層が握っている)は、そのつど欧米金融資本(ドイツ主導のEU,ECB,英米系のIMF)の財政支援を仰いできた。

この援助は緊縮財政と国有企業・国家資産の民営化(海外の投資家が国家資産を安値で買う)を条件に貸し出されるのだが、融資の半分は国債の金利払いに、残りの大半は国内銀行救済資金に充当され、ギリシャ政府と国民の救済に回る資金は一割強にすぎなかった。

つまり国民は緊縮財政を余儀なくされるが、融資の多くは米英などの投資家が以前に貸した資金に対する利払いとして投資家に戻ってくるという構図である。


こうした「援助」のスキームにノーを表明、左翼シリザと右翼の独立ギリシャ人党は「緊縮策を中止する」という一点で共闘し、選挙民はこれに賭けた。

左翼と右翼の提携は例がなく、議会と首相を失ったとはいえ司法・検察・マスコミは依然二大政党・財界・エリートの手中にあり新政権の前途は予断を許さない。


が、2大政党制(二党談合)の外側にいた勢力が政権を取り、従来の財政支援のスキームは結局のところ国民にはプラスしないと明言したことは、同じ問題を抱える南欧諸国に強いメッセージとなる。

首相に指名されてからもネクタイ着用などしないツィプラスは、(私などには胸のすく)果敢な動きを見せている。

曰くギリシャはNATOから手を引く。

EU理事会では、ロシア経済制裁の強化に反対した。

ウクライナ問題は米英・NATOの自作自演と知りつつ米英追随を断ち切れぬEU指導者たちに在って、ギリシャが初めてまともな見解を示した。


政権が最初に面接したのはロシア・中国大使だった。

これは、今後ギリシャは米英支配グループには属さず、ロシア・中国、Brics経済圏を重視するということだ。孤軍奮闘するプーチンに加勢する国が一つ増えた。


「借金国の分際で何を勝手いうか」今後はEUの実力者・独のメルケルとのつばぜり合いとなるが、ツィプラスは、独はナチ占領時の補償を実行していない。

現在ギリシャが負っているドイツからの支援額2540億ユーロをこれで相殺しようと先制パンチをかました。

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