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インドでの反原発運動弾圧

「毎日jp」からの転載。記事の存在は「東海アマ」ツイッターで知った。

インドやパキスタンはイギリスから独立した後もイギリス(欧米支配勢力)の間接支配を受けているというのが私の持論である。アジア・アフリカの旧植民地の政権のほとんどは旧宗主国の傀儡政権だろう。現代の世界はいまだに「帝国主義」であり、露骨な植民地支配から、現地人政権を使った間接的植民地になっているにすぎない。日本も第二次大戦後に米国に占領され、その後はずっと米国の植民地扱いなのである。サンフランシスコ平和条約での「独立」は、「間接支配」に変更したというだけにすぎない。
このインドでの反原発運動弾圧は「欧米の商売の邪魔をする者は殺す」というアングロサクソンの意思を示しているわけである。


(以下引用)



インド 「子供らのため阻止」 西部の原発建設予定地ルポ
毎日新聞 4月25日(月)1時51分配信


拡大写真
「フクシマの漁民はどうなっているのか」と詰め寄る漁師たち。ほとんどが18日の警察襲撃などの暴動デモに参加したという=インド西部のナテ村で2011年4月22日、杉尾直哉撮影

 世界最大の発電量となる「ジャイタプール原発」(総出力990万キロワット)の建設予定地、インド西部ラトナギリ地区。18日に起きた反対デモで住民1人が警察に射殺された現地を訪ねると、住民たちは、東京電力福島第1原発の事故に不安を募らせ、「子供たちの未来のために必ず阻止する」と言った。日本や米国など原発先進各国が本格参入を狙うインドだが、政府は「世界最大の民主国」をうたうだけに、原発推進策の見直しを求められる可能性が出てきた。【ジャイタプール(インド西部)で杉尾直哉】

 「ノーモア・チェルノブイリ、ノーモア・フクシマ(チェルノブイリ原発や福島第1原発のような事故はこれ以上ゴメンだ)」

 原発計画地の北方のタラプール。23日、市民ら約150人が集まり、インド政府の原子力推進策の見直しを求めた。地元マハラシュトラ州政府が「デモ禁止」を通告し、警察がうち100人を拘束した。しかし、被拘束者の中には元最高裁判事や元海軍高官らもおり、脱原発機運の多様な層への広がりに政府は衝撃を受けた。

           ◇

 ジャイタプール原発の予定地は、アラビア海に突き出した高台だ。周囲には特産品のマンゴー畑やココナツ林が広がり、良好な漁港が点在する。マンゴーやエビは日本にも輸出されている。

 政府によると、ここにフランスなどの技術で原子炉6基を造り、最初の2基を6年後に稼働させる計画だ。

 18日の抗議デモは、4月中旬、地元住民に通告なく重機やセメントなどの資材が予定地に持ち込まれたのがきっかけだった。福島第1原発から海に放出された汚染水や土壌汚染の問題が関心を集めており、予定地に近いマドバン村の農民らが工事を阻止しようと立ち上がった。

 参加者の中には女性や子供も多くいたが、警察が警棒で殴ったという話が周辺住民の間に広がり、漁師ら数百人が警察署を襲撃、車両に放火する騒ぎに発展。ナテ村の漁師タブレズ・アブドル・サタールさん(30)が警察に射殺された。

 タブレズさんの自宅では、男たち十数人が父アブドルさん(55)を囲み、悲しみに沈んでいた。アブドルさんは「息子は騒ぎを傍観していただけ。なのになぜ……」と声を震わせた。タブレズさんの妻はショックで家の奥に引っ込んだままだ。

 漁師たちは記者が日本人だと知ると、「フクシマには漁場はあるのか」「漁師は今どうなっているのか」などと質問攻めにした。リアズ・サルカルさん(41)は「福島第1(1号機)の出力は約45万キロワットだが、ここは1基で165万キロワット。事故が起これば影響は日本の比ではない」と言った。

 ジャイタプール原発では、冷却水をくみ上げる電力節約のため、高台を海抜7メートルまで掘り下げて設置する計画で、漁師たちは「(東日本大震災のような)ツナミには耐えられない」と訴えた。

 デモに参加したマドバン村の女性ランジェナさん(61)は、「私たちは、フクシマの事故とその後の悲惨な状況を知り、『これでインド政府も計画を見直すだろう』と安心していた」と話す。そこに突然、重機が入ったことで住民を動揺させ、混乱に発展したというのだ。

 ナテの警察署では住民によって窓ガラスが割られ、破壊されたパソコンなどが外に積み上げられていた。

 匿名を条件に取材に応じた警察幹部は、「我々は法と秩序の維持だけが目的。今後、同じようなデモがあっても今回のような混乱は招かない」と語り、デモの阻止に全力を挙げると強調した。

 別の農村に、今回のデモを主導した活動家(41)を訪ねた。「暴力的な運動で支持が得られるのか」と尋ねると、「我々はガンジーの非暴力主義でやってきたが、政府から無視された。今、彼らは我々を殺そうとしている。暴力以外に手段はない」と言い切った。

         ◇

 79年の米スリーマイル島原発事故や86年の旧ソ連・チェルノブイリ原発事故以降、世界に反原発の潮流が広がったが、21世紀に入り、欧米諸国で原発が見直され、「原発ルネサンス」と言われるようになった。特に米国のブッシュ前大統領が06年、「石油中毒」からの脱却を訴え、国内で凍結されていた原発新設を打ち出し、高成長国のインドと民生用原子力協定に合意したのが流れを作った。

 オバマ米政権もこれを踏襲し、インドは、フランスやロシア、日本からも「原発新市場」とみられていく。インドのシン首相は今回の騒乱の直前、「温暖化問題などを冷静に考えるべきだ」と述べ、福島の事故にかかわらず原発を推進する姿勢を見せた。

 しかし、当局がジャイタプール原発建設を強行すれば、混乱は全国に波及する可能性がある。今年2月、同原発に関するマハラシュトラ州政府主催の住民集会で反対を公言し、警察に拘束されたミリンド・デサイ医師(40)は、「原発ルネサンスはインドから終わりにする」と語った。

 土地収用を求められている地主2335世帯のうち、補償金の受け取りに同意したのはムンバイなどに住む70世帯のみ。計画地周辺に住む農家らは100%反対している。

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