気まぐれに市民図書館から借りてきたのだが、穂村弘に「手紙魔まみ、夏の引っ越し(兎連れ)」という作品集があり、後書きを見ると、実際にまみという少女の作品集のようだが、あるいはそれは嘘で、全部穂村弘が作った歌かもしれない。しかし、それにしては、あ まり感心するほどの作品は無く、本の題名だけがいい、という気もする。まあ、変な少女の変な感覚を短歌とも何ともつかない短文にしたのを集めたものに見える。
ほとんどが短歌としては破調なのだが、ほとんど唯一「五七五七七」になっている作品があり、それが短歌としても、優れていると私には思える。まあ、この程度の感覚なら歌人を名乗る者なら無数に書いているのかもしれないが、私は現代短歌をほとんど知らないので、これがプロの目でどう評価されるかは分からない。とにかく、私は気に入った。
夜明け前 誰も守らぬ信号が海の手前で瞬いている
誰もがいつかどこかで見た情景で、その時に何かの感情を生じたと思うが、それが、その信号が「誰も守らぬ」ものであることから生じたものであることが的確に表現されていて、しかもその信号が「海の手前」にあることで、情景が完璧になっている。海という巨大な存在と、信号という小さな人工物(しかも、誰も守らない)の対比。我々の存在自体、この信号のようなものではないか。
次の作品は、穂村弘の作品として私は記憶していたのだが、どうなのだろうか。素人の作品には思えない。
「凍る、燃える、凍る、燃える」と占いの花びら毟る宇宙飛行士
ほとんどが短歌としては破調なのだが、ほとんど唯一「五七五七七」になっている作品があり、それが短歌としても、優れていると私には思える。まあ、この程度の感覚なら歌人を名乗る者なら無数に書いているのかもしれないが、私は現代短歌をほとんど知らないので、これがプロの目でどう評価されるかは分からない。とにかく、私は気に入った。
夜明け前 誰も守らぬ信号が海の手前で瞬いている
誰もがいつかどこかで見た情景で、その時に何かの感情を生じたと思うが、それが、その信号が「誰も守らぬ」ものであることから生じたものであることが的確に表現されていて、しかもその信号が「海の手前」にあることで、情景が完璧になっている。海という巨大な存在と、信号という小さな人工物(しかも、誰も守らない)の対比。我々の存在自体、この信号のようなものではないか。
次の作品は、穂村弘の作品として私は記憶していたのだが、どうなのだろうか。素人の作品には思えない。
「凍る、燃える、凍る、燃える」と占いの花びら毟る宇宙飛行士
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