「櫻井ジャーナル」記事で、前半は「ネット知識人」(かつてのマスコミ知識人はもはやまともな知識人ではない。一般人の中にこそ真の知識人は多い。)には常識的内容なので割愛する。
記事後半はすべて面白い内容で、啓蒙的な記事でもある。特に、引用前半の「AIに奪われる仕事」は自分自身の仕事や自分の子供の進路についての示唆を与えるだろう。
(以下引用)赤字は夢人による強調。ただし、数字は職業全体がAI化される「確率」であり、仕事を失う人間の割合ではない。つまり、ある意味、その仕事の人口の「100%」が失業するわけだ。そして、ハラリという人間の存在と同様、この「研究」自体がDSの計画の一部かもしれない。
ハラリが引用したオックスフォード大学の研究によると、2033年までにさまざまな職業がAIに乗っ取られる可能性が高いそうだ。スポーツの審判は98%の確率で、レジ係は97%、シェフは96%、ウェイターは94%、法律事務員は94%、ツアーガイドは91%、パン職人は89%、バスの運転手は89%、建設労働者は88%、獣医助手は86%、警備員は84%、船員は83%、バーテンダーは77%、記録係は76%、大工は72%、監視員は67%などだ。日本でもバスを無人で走らせる実験が始まるようだ。
アルゴリズムよりも優れている仕事につけなければ人間は失業する。雇用されていても、変化についていけなければ職を失う。技術の進歩によって身につけた能力が役に立たなくなることも想定される。テクノロジーの進歩によって人口の大部分を必要としないくなるというわけだ。
かつて、イギリスではエンクロージャーによって共有地などが私有化され、土地を追われた農民は浮浪者や賃金労働者になった。労働者の置かれた劣悪な状況はフリードリヒ・エンゲルスの報告『イギリスにおける労働者階級の状態』やチャールズ・ディケンズの小説『オリバー・ツイスト』などでもわかる。
ロンドンのイースト・エンドで労働者の集会に参加したセシル・ローズは「パンを!パンを!」という声を聞く。その状態を放置すれば内乱になると懸念、植民地を建設して移住させなければならないと考えたようだ。つまり、社会問題を解決する最善の方法は帝国主義だというわけである。
ハラリは「有機的な領域から無機的な領域へと脱皮する」ため、人間より洗練された新しいタイプの機械人間の創造を考えているというが、彼を雇っているシュワブは2016年1月、スイスのテレビ番組でマイクロチップ化されたデジタルIDについて話している。最終的にはコンピュータ・システムと人間を連結、つまり人間をコンピュータの端末にするというのだ。
現在、世界の人口は約80億人と言われているが、AI、ロボット、端末化された人間で構成される世界に生身の人間はさほど必要ない。そこで西側の富豪たち、つまり私的権力は人口を削減するべきだと主張してきた。
2009年5月、マイクロソフトを創設したビル・ゲイツが音頭を取り、マンハッタンで富豪たちが秘密会合を開き、「過剰な人口」が優先課題であることで合意した。参加者にはデビッド・ロックフェラー・ジュニア、ウォーレン・バフェット、ジョージ・ソロス、マイケル・ブルームバーグ、テッド・ターナー、オプラ・ウィンフリーも含まれている。
テッド・ターナーは会合の前年、2008年の4月にチャーリー・ローズの番組に出演し、そこで人口が問題だと主張している。人が多すぎるから温暖化も起こるのだというのだ。ターナーは1996年に「理想的」な人口を2億2500万人から3億人だと主張したが、2008年にはテンプル大学で20億人に修正している。
ゲイツも人口を削減するべきだとも発言している。2010年2月に行われたTEDでの講演では、ワクチンの開発、健康管理、医療サービスで人口を10~15%減らせると語っている。「COVID-19ワクチン」で人口は減っているようだが、これは古典的な意味でのワクチンではなく、遺伝子操作薬だ。
2020年のWEFのパネルで「国連平和大使」のジェーン・グドールは世界人口を「500年前」、すなわち5億人に戻すよう呼びかけた。それが最適な数字だというのだが、その目標を達成するためには現在の人口の約95%を消滅させなければならない。
1798年に『人口論」を出版、人口削減を主張したトーマス・マルサスはイギリスのエリート層に大きな影響を及ぼした。「自然選択(自然淘汰)説」で有名なチャールズ・ダーウィンはマルサスの人口論やレッセ・フェールの影響を受けていたとも言われている。そのダーウィンの従兄弟にあたるフランシス・ゴールトンは優生学の創始者だ。
彼らの考え方に従うと、社会的な強者は優秀なのであり、弱者は劣等だということになる。そして人口を削減するためには劣等な人びとを処分するということになる。
セシル・ローズもそうした考えの持ち主で、彼は1877年6月にフリーメーソンへ入会した直後、に『信仰告白』の中で彼はアングロ・サクソンを最も優秀な人種だと位置づけ、その領土が広がれば広がるほど人類にとって良いことだと主張している。大英帝国を繁栄させることは自分たちの義務であり、領土の拡大はアングロ・サクソンが増えることを意味するというのだ。(Cecil Rhodes, “Confession of Faith,” 1877)
イギリスで生まれた優生学はアメリカの支配層へ広まり、イギリス以上に社会へ大きな影響を与えることになる。支援者の中心はカーネギー財団、ロックフェラー財団、そしてマリー・ハリマンで、優生学に基づく法律も作られた。
マリーは鉄道で有名なE・H・ハリマンの妻だが、ハリマン家は金融の世界でも有名。ハリマン家の銀行で重役を務めていたジョージ・ハーバート・ウォーカーの娘と結婚したのがプレスコット・ブッシュだ。プレスコットはウォーカーの下でブラウン・ブラザーズ・ハリマンやユニオン・バンキング・コーポレーションの重役を務めていたが、いずれもウォール街からナチスへ資金を供給する重要なルートだ。同僚のひとりにW・アベレル・ハリマンがいる。
そうした考えに引き寄せられたひとりがアドルフ・ヒトラーであり、ウクライナを支配しているネオ・ナチもその神話を信奉している。