北京市内に設置された監視カメラ=9月(共同)




 【北京共同】中国スパイ行為の定義を拡大した改正反スパイ法が施行されて10月1日で3カ月。スパイ摘発を担う情報機関の国家安全省は、全国民にスパイ行為に関する情報を通報するよう呼びかけている。習近平指導部が重視する「国家安全」を守る方針に沿った対応だが、改正法で何が違法行為とされるか不透明なままで、恣意的な運用への懸念は強まっている。

 「防諜には全社会の動員が必要だ」。国家安全省は8月1日、通信アプリ、微信(ウィーチャット)の公式アカウントへの初投稿で、全国民にスパイに関する情報の密告を奨励した。


 密告奨励は、一般市民にスパイ行為の通報を義務付ける改正法に基づく措置。創立から40年を迎えた国家安全省が自ら情報発信を行うのは「異例」(中国政府筋)だという。電話やインターネットで通報を受け付けるとし「貢献した個人や組織を表彰する」と強調した。


 改正法はスパイ行為の定義を拡大し、「国家機密」に加え「国家の安全と利益に関わる文書やデータ、資料、物品」の提供や窃取なども違法行為とした。