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「或る時」

「おもかげ」から、或るドイツ詩人の「ある時」の文語訳を、時間が無いので30分で口語訳してみる。(今訳し終わって、どういう詩か分かった。最後の一句が素晴らしい。)
詩人の名はエドゥアルト・フェラント、詩の原題は「Einst(いつかあるとき)」である。


 或る時

墓場の前にふたりは立った
接骨木(にわとこ)の花は匂い
夕暮れの風に草葉はそよぐ

乙女はささやく声も細く言う

私の身がこの世を去った後
詠んだ歌だけが残り
あなたは広い世に取り残され
共に語らう友もなく
思い寝の夢に私を見たなら
接骨木の花と薔薇の花が
囲んだ墓場を訪ね来て
緑の草葉を寝床にし
匂い良い花の一束を
私に向けて手向けてくださるなら
馴れた足音に私は目を覚まして
静かに忍び寄って
心を隔てず囁きましょう
共に世にあった時のように
過行く人々のことを思うでしょう
接骨木の花を静かに
緩やかに揺らす夕風だね、と
生きた世にいるように何事も
聞かせなさるなら私もまた
夢見たことを語りましょう
その時互いに心が静まり
目を覚ました星に気がついて
「さようなら」と、とても静かに言いましょう
あなたは元気を取り戻し夕暮れに
帰りなさるでしょうあなたの家に
私は再び花の底に











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HN:
酔生夢人
性別:
男性
職業:
仙人
趣味:
考えること
自己紹介:
空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
それだけで人生は生きるに値します。

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