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あなたには「長考できる能力」はあるか

*「徽宗皇帝のブログ」に書いたように、私のブログの更新は、今後は数日置きになる予定である。で、その理由は、下記記事にある「長考できる能力」の欠如を痛感しているからだ。思いつきの駄弁をネット上に書き散らすことへの反省も少しはある。まあ、しばらく修行のし直しをしたいということだ。とりあえず、下の記事は昨日のうちに書いたもので、ブログ運営方針の変更の一因である。

「井口博士のブログ」から転載。
世の中の政治経済が面白くない、こういう時だが、下の井口博士のように考えれば、何となく元気も出てくるようだ。もちろん、これは科学者以外の人にも応用できることであって、要は「考えることはタダだ」ということなのである。
何を考えるかは人それぞれだ。金儲けを考える人もいれば、将棋や碁の必勝の手を考える人もいる。女にモテる必殺技を考える人もいれば、色欲から解放されて悟りの道に入る方法を考える人もいる。そのどれであっても、大事なのは「長考できる能力」であり、実は、情報の洪水の中にある現代では、これが一番難しいのである。
たいていの人は15分も続けて同じ課題を考えることはできないだろう。考えているつもりでも、考えがいつのまにかあちこちにさ迷っているはずだ。まあ、受験を控えた学生ならば数学の問題などを1時間も考えることはたまにはあるだろうが、実は最近の数学受験術は「数学の勉強とは出題パターンごとの解法を覚えることだ」というのが主流であり、1時間も同じ問題を考えるのは「時間のムダ」というのが定説化している。つまり、「5分も考えて分からなければ、解答を見なさい」ということだ。受験勉強なら、このやり方は正しいだろう。しかし、それが習慣化すると、我々は一つの問題を長考する能力を失うことになる。(これは「受験勉強は『頭』を悪くする」、と言い換えてもいい)
実際、私もそうである。パソコンの前であれこれ情報を検索しているうちに気が付くと一日がなんとなく終わっている。昔はあれほど読書が好きだったのに、今では本を30分も続けて読むことが難しくなっている。いつもイライラして、もっと有意義な時間の使い方は無いか、もっと有益な情報は無いか、と考えている。
こういう状態は、まずはパソコンを捨ててしまわないと解消されないのではないか、とも思っている。筒井康隆が小説に面白さだけを求める人間を「快楽乞食」と言ったことがあったと覚えているが、現代の我々は「情報乞食」である。「我々」と書いたのは、もちろん、これは私だけのことではないはずだと確信しているからだ。

(以下引用)

この私の観点からすると、科学研究で何より大事な能力とは、「長考できる能力」であるということになる。何年でも平気で考えることができる能力である。これは、何年か前に私が朝日新聞の「私の視点」に書いたことである。

テレビを見れば分かるが、何かをすると時間の制限がある。だから、新聞と比べたら、テレビラジオには報道に制限がつく。これに似て、科学の場合も、大学や研究所の職員になると、自分が考える時間に制限がつく。だから、無限に時間をかけるかのような研究はやれないことになる。むしろ効率よく研究するために、だれもが関心を持っている問題だけに向うようになってしまうのである。したがって、学校の学者や研究者や先生になるには、「長考力」は不必要になる。いらないのである。むしろ、邪魔にすらなる。だから、ブレイクスルーができないのである。

ところが、アルバート・アインシュタイン、トーマス・エジソン、ルドルフ・ディーゼル、バックミンスター・フラー、岡潔、アンドレ・ワイルズ、などなど、初等教育としての、学校教育の有無は若干の差はあったとしても、ほとんどが大学や研究所に所属しないで一人で研究した時に大研究や大発見をなしとげたのである。日本の湯川・朝永にしても、一番良い研究は、まさに戦時中のだれも研究などできなかった時代のことである。こういう比較的自由な時期に自由にそれも長考したことが、大研究の基本だったのである。

そんなわけで、世の中はリストラの嵐で首切られて経済的には大変なのかもしれないが、科学の歴史から見れば、あるいは、人類史から見れば、こういう時にこそ大発見や大研究が生まれるという可能性も非常に高いのである。

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考えること
自己紹介:
空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
それだけで人生は生きるに値します。

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