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誰もが見ることを見ないという姿勢

今日はちょっと趣向を変えて、変な引用記事を先に書く。
「JBプレス」の「人気記事」つまり、もっとも読まれた記事「ベスト5」である。






1位 【国防】
ついに本性をさらけ出した人民不在の中国帝国   2012.10.09




2位 【世界の中の日本】
ポツダム宣言まで捻じ曲げる中国の歴史操作   2012.10.15




3位 【The Economist】
日本のナショナリズム:ポピュリストに要注意   2012.10.15




4位 【Financial Times】
BMWの「中国パーティー」を警戒する投資家   2012.10.15




5位 【The Economist】
格差と世界経済:真の進歩主義   2012.10.15



上位1位から4位までが中国関係記事である。3位は日中関係の悪化に伴う現象だから、これも中国関係記事。そして、記事内容は、中国を蔑視したり、中国の弱さを嘲笑って喜んだりするものがほとんどだ。
で、こういう記事を読む人間は、そういう記事を読んで「自分は情報を手に入れた」と思うわけだが、はたしてそれは情報だろうか。自分が読みたい傾向をくすぐるような「太鼓持ち記事」を読んでご満悦になっているだけではないか。
まあ、私も、自分が嫌悪する傾向を持っている、と推定できる記事は読まない方だから他人のことは言えないのだが、少なくとも「情報」を手に入れるつもりなら、そういう「読者傾向に合わせて書いた記事」の価値が低いことは言うまでもないだろう。
もう一点、「はたして中国は現在のもっとも注目すべきトピックか」ということに注意してもらいたい。
もちろん、中国への輸出が激減していることは日本のビジネス界にとっては大問題だろうが、それは中国蔑視記事や中国批判記事を書いたり読んだりして解決できることではない。すべて政治のやるべき仕事である。

そして、何より注意したいのは、我々の目が中国の方を向いている間に、もっと重大な出来事が世界経済の上で起こっている可能性がある、ということだ。

それは中東戦争の拡大の問題であり、今日の「徽宗皇帝のブログ」に書いた「アメリカの新ドル発行」の問題である。このことについて、大マスコミがほとんど触れないことが、この問題が意図的に触れられないようにされていることを逆に示している。
そして或る日突然、「大事件」は発生する。しかし、その兆候はずっと前から現われていたのである。ただ、誰もそれを見ていなかっただけだ。
チェスタトンの「ブラウン神父」物の或る短編で、群衆の前で大事件が起こるのだが、ブラウン神父はその瞬間、人々が目撃するその大事件とまったく逆の方向を向いて、何かを見ようとするのである。
私は、この作品を読んで以来、自分もその姿勢を身につけようとしてきたようだ。
「誰もが見ること」は、そう見るために仕組まれたことにすぎないのである。


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考えること
自己紹介:
空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
それだけで人生は生きるに値します。

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