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民主主義=資本主義?

「阿修羅」雑談板から転載。
雑談というよりは高尚な政治議論であり、昔の「阿修羅」の雰囲気が少し蘇って、懐かしい気持ちになった。あやみ氏(尾崎文美女史)は、トルコ在住の方で中東事情に詳しいだけでなく、深い知識や教養と強靭な理性を持っている方だと私は思っているが、下の議論では「彼岸楼」氏に私は肩入れしたい。
というのは、あやみ氏がなぜ「資本主義」と「民主主義」を同一視している、あるいは「民主主義は資本主義における支配階級の支配手段」と見做しているのか、その根拠がよく分からないからだ。(さらに、「民主主義」や「資本主義」に代わる、どのような政治形態や社会形態を想定しているのかも不明。)
もちろん、「ユダヤプロトコル」では、フランス革命はユダヤ支配層の操作によるものであることがほのめかされており、民主主義とはフランス革命の落し子なのだから、あやみ氏の言うことも、「ユダヤプロトコル」を根拠としての話なのかもしれない。しかし、「言うだけならどんなことでも言える」のであり、「ユダヤプロトコル」自体が偽書だという説もある。その語っている大衆操作手段は、恐るべき真実を語ってはいるのだが、そのすべての部分が真実だとは限らない。
少なくとも、私の考えでは、民主主義は欧米による中東支配の口実として利用されているとは言え、民主主義そのものは資本主義とそれほど親和性が高いとは思わない。仮にそうなっているのなら、それは不正選挙などを利用した「偽りの民主主義」だろう。
国民の間ではあれほど原発批判の声が高まっていた時期に、その原発行政の真犯人である自民党が衆院選や参院選であれほどの大勝利を得たのは、はたしてそれが民意だったと言えるのか。ならば、日本人は精神分裂症であるとしか言えないだろう。そして、あの二つの選挙が不正選挙であるならば、それは民主主義自体の非ではない。そう仕組んだ政治犯罪者たちに罪があるだけだ。
しかし、民主主義についてどう考えるにせよ、下の議論はなかなか面白い知的読み物になっているので、転載する次第である。紙上(ネット)議論とはこういうふうに礼儀正しく、丁寧な文章で行うものだ、という見本でもある。(それでも「やはり」を「はやり」などと書いてしまううっかりミスが起こるのが、ネットの危なさだ。)


(以下引用)



あやみさんは「民主主義」をどう定義しているのでしょうか。

http://www.asyura2.com/12/idletalk40/msg/571.html
投稿者 彼岸楼 日時 2013 年 8 月 27 日 00:39:38: njbqC.Mf1PyZ2
(回答先: 民主主義は犠牲を求めて彷徨う 投稿者 あやみ 日時 2013 年 8 月 11 日 07:51:48)

 
 あやみさん、ご無沙汰しております。

 早速ですが、表題の件についてあやみさんのご見解を是非ともお聞かせいただきたく考える次第です。
 以前のレスのコメント欄でも指摘させていただきましたが、はやり“選言不完全の虚偽”乃至は“論点先取の虚偽”と云った陥穽に嵌まっているようにお見受けいたします。このままではトートロジー(同語反復)を繰り返すのみで延いては読者をミスリードすることにもなりかねませんし、断じてそれはあやみさんの本意ではあらぬでしょう。
 どうか、よろしくお願いいたします。
 Auf Wiedersehen.

 <参考URL>
 新しい酒を古い革袋に入れるな(マタイの福音書第9章17節)
 http://www.asyura2.com/12/idletalk40/msg/312.html
 
  拍手はせず、拍手一覧を見る




コメント

01. あやみ 2013年8月27日 05:58:59 : oZZpvrAh64sJM : N3tClO39CQ

彼岸楼さま お久しぶりです。フォローアップありがとうございます。
>“選言不完全の虚偽”乃至は“論点先取の虚偽”
はい、おっしゃるとおりです。私もそれを実感せざるを得ないのが現状です。
しかしこれは「民主主義」自体の持つ問題ではないでしょうか。
こんなものは真理でもなんでもないのです。人の手で作り出した政治手段の一つに過ぎません。
資本主義を実現するためには世界中にそれを支持させる必要がありました。それはもちろん労働し、生産をする市民を含みます。そのためには彼らが受け入れられる条件を提示する必要がありました。すなわちそれは指導者を投票により選ぶことができるという制度です。
資本主義に化粧を施して「美しく」したものが民主主義です。
または、資本主義というプログラムを正常に起動させるためのアプリケーションが投票そして人権などのさまざまな権利です。
市民は「支配をもくろむ」側からあらゆる懐柔・煽動・洗脳を受ける可能性があります。それはメディア・学校教育・社会からの圧迫・空気、全てです。アメリカが顕著な例であると思います。それが投票結果にもろに反映します。アメリカでは大統領選挙が近づくと他国に戦争を吹っかける。すると大統領の支持率が上がります。これは民主主義の弱点というよく言われますがそうではなく、それは民主主義の目的そのものです。

アラブの春において民衆が求めているのは「民主化」といわれています。これは実は欧米が勝手に定義したものであり、現実には解釈のズレがあります。
イスラム教徒たちは教徒として生き、教徒として死ぬことを目的としています。そしてそれを阻害する存在とは命を顧みずに戦います。彼らは今の世界に浸透してしまった「民主主義」という政治システムを(しかたなく)甘受し、それに沿ってイスラームの実現を求めているに過ぎません。今のエジプトの状況はまさにそれてす。
民主主義を否定するなら何を肯定するのか、ということになります。
あくまで漠然とした方法論を申し上げれば、
根っこの資本主義をまず壊さなければなりません、そうすれば、民主主義などという概念は煙のように消えるでしょう。資本主義を壊すには、資本主義者たちが本音と建前で使い分けている世界を検証する必要があります。前者が古代ギリシア、後者が新約聖書です。私が中東地域に首を突っ込むのはそのためです。
そこまで遡り、無事に現代に戻ることができれば少しはましな世の中になると思います。
いずれ記事にしようと思っていたことです。まだ時間がかかりますが、いずれお目にかけることができると思います。ありがとうございます。

02. 彼岸楼 2013年8月28日 16:03:46 : njbqC.Mf1PyZ2 : 08yK0sKAVQ

 あやみさん、レスをありがとうございます。

 仮初めにも此処は公開の場でありますから、“雑談板”とは謂うものの個人のブログを投稿(掲載)する以上はそれ相応の応答責任があると考えるのですが、如何でしょうか。
 そして、「民主主義」に関しての概念規定が無きまま、或いは「民主政・民主制」の構造と構造それ自体が内包する問題を解明せずして、その理非を問うことには違和感を禁じ得ません。
 先ず、私は「民主主義」を人類の歴史的所産であると捉えています。さらに、あやみさんにたいしては釈迦に説法の謗りを免れないかも知れませんが、「民主主義」の今日的な定義では“人民主権に基づく共同体(国家)経営の理念(政治思想)”と謂うことができ、その実現体(政体)が「民主政・民主制」になろうかと考えます。
 勿論、現状の「民主政・民主制」にはまだまだ不備な面が多々あり、あやみさんが再三指摘されているようにそれが「市場原理主義」の隠れ蓑或いは国際金融資本家による人民支配の道具と化している側面のあることが否めないが故に、その完璧性を言い募ることは困難でしょう。
 しかし、だからと云って曲りなりにも「民主政・民主制」の中に身を置いている我々が、その機能や手続き論の十全性の可否を問うことならばまだしも、完全に否定してしまうことができるのでしょうか。
 私も戦後生まれの所謂戦後民主主義の洗礼を受けて育った人間の一人です。有形無形に少なからずGHQの占領政策即ち民主化政策(日本国憲法の制定・婦人参政権・労働組合法・農地改革等)の影響を受けていることは間違いないでしょう。
 確かに、占領政策はその歴史過程の中で育まれたEthos(精神構造)に通底するアングロサクソン・アメリカンに固有の理念が色濃く反映したものですが、当時の日本の上層部にあった者達は敗戦を契機にそれを受け入れたのです。そして、良くも悪くも今日の日本があります。
 したがって、我々が「民主主義」を対象化(論評)する場合には少なくともこの二つのAspect(アングロ・アメリカンの精神構造と日本の上層部の伝統的な精神構造)をベースにして考察する必要があるのだと思います。
 >民主主義を否定するなら何を肯定するのか、ということになります。
 >あくまで漠然とした方法論を申し上げれば、
 >根っこの資本主義をまず壊さなければなりません、そうすれば、民主主義などという概念は煙のように消えるでしょう。<後略>
 資本主義に特有な生産様式(生産力&生産関係)において生産関係の改革には、おそらく「民主主義」が本来有するベクトルの方が馴染むのではないかと想われるのですが、さらには改革の主体の形成についてどうするのかと云った問題も視野に入れなければならないでしょう。
 >いずれ記事にしようと思っていたことです。まだ時間がかかりますが、いずれお目にかけることができると思います。ありがとうございます。
 あやみさんの論考に期待したいと思います。
 Auf Wiedersehen.


03. あやみ 2013年8月28日 20:49:05 : oZZpvrAh64sJM : N3tClO39CQ

彼岸桜さま こんにちは。
>、「民主主義」に関しての概念規定が無きまま、或いは「民主政・民主制」の構造と構造それ自体が内包する問題を解明せずして、その理非を問うことには違和感を禁じ得ません。

おっしゃるように「人類の歴史的所産(神を畏れることに背を向けた人類がその汚れた手で時間をかけて生み出したもの)」である民主主義です。これは真理などでないために普遍性も完璧性も携えていません。

>現状の「民主政・民主制」にはまだまだ不備な面が多々あり…

民主主義はいくら不備欠陥を補ったとしても人の世のための政治の制度になることはありません。なぜなら資本主義のゆりかごとして生まれたものはその本質が変わることはないのです。
私がいつも強く主張しているのは、民主主義を崇高なものと妄信することは、それを大義名分に掲げる強者が弱者に対しあらゆる非道をはたらくことを肯定し支援することになるということです。
古代ギリシアやカルタゴで、あるいは中世ヨーロッパにおいて、王と司祭は神の名を騙りその名の下で圧政を行いました。そして現在、大国が民主主義の名の下に行う侵略はこれと何の違いがあるでしょう?日本の政治はどうでしょう?
中東や旧ユーゴの惨状はお聞き及びであるかと思いますが、資本主義は彼らの不幸の上に成り立つ西洋の幸福です。そして民主主義は資本主義を成立させるためのシステムです。これは誰がいくら努力したところで変わりません。日本の中で中東に似た立場にあるのが東北です。沖縄です。
「投票による選挙政治」、いま民主主義と呼ばれているものの中で遂行されるべきはこれ以上でも以下でもありません。無理に付加価値をつける必要はないのです。そして選挙で選ばれた政治家は国民のため、次世代のために政治をしなければならない。それに必要なのは理念であってイデオロギーではありません。
日本(というか民主主義を崇拝する国)に異常なほど欠けているのはこの理念です。つまり日本の理念は民主主義というイデオロギーに食いつぶされたのです。

良くも悪くも日本という国があるとおっしゃいます。
今日の日本の姿は戦後導入された民主制度の影響は大きいものの、それ以前に日本という国を国として築いたのは民主主義とは縁もゆかりもない、石と木の根だらけの土を耕し、ただ日々の糧の恵みに手を合わせて生きた先祖たちです。日本が日本としてかろうじて残っているのは我々のなかの先祖の血のおかげです。
同じように良くも悪くも地球というものがまだ残っています。人類と、その次世代のための政治が求められています。
ご教示、感謝いたします。またよろしくお願いします。



(夢人追記)

「選言不完全の虚偽」という言葉を私は知らなかったので、ネットで調べると、「山師の勧め」という面白いサイトに出会った。そこには次のような例が「選言不完全の虚偽」の例として載っている。これで大体、理解できるようだ。おそらく、ドイツ哲学の用語かと思う。「選言」とは単に「選択肢」の意味と解していいようだ。どうも教養のありすぎる人の言葉は難しい。



二分法トラップ

  まず、多数ある選択肢の中の対立する二つの意見だけを強調して「AでなければBである」という二者択一を印象づけます。そして、Aを否定することで、Bを立証なしのまま正当化してしまう、という手口です。

  この極端な例を挙げてみましょう。
 1「常識を疑うのは学問の在り方として健全なことである。」
 2「常識を疑うのは非常識である。」
 3 従って「非常識が正しい。」

 上記2にトラップが仕掛けてあります。所謂、「選言不完全の虚偽」です。
 

空籤消去法

  二分法トラップと違い選択肢を適切に網羅しますが、実は「選択肢の中に正解がある」という前提自体が虚偽という論法。他を否定するだけで自説を証明抜きのまま肯定します。
 例:
 1「Aさんの引いた籤はハズレだった。」
 2「B君の引いた籤もハズレだった。」
 3 従って「最後の一つ、私の籤がアタリだ。」
  (実は、全部が空籤。)

 所謂「選言不適切の虚偽」です。













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