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国民困窮の秋

「長周新聞」から転載。
東日本大地震・大津波と福島原発のツケが国民に回されることは必至であると見ていたが、いよいよそれが本格始動し始めたようだ。
まず弱いところから収奪する、というのが収税の基本である。
貧困階級ほど収奪され、病者、老人、障害者、身寄りのない子供への手当などが真っ先に削られる。福祉予算削減の後は増税である。
私が天の神ならば、国会と霞が関に雷を落として、政治家と官僚を絶滅させるところだが、残念ながら神など存在しない。その代わりに、生き地獄が日本国民を待っている。


(以下引用)

 11日開いた社会保障審議会年金部会で、厚生労働省が提示した案は、現在進行中の3年に1歳引き上げて65歳支給開始に統一する行程を、2年に1歳引き上げの前倒しにして、ひき続き68歳~70歳にまで引き上げてゆくというものである。これを実施すると現在、65歳支給の基礎年金部分も68歳~70歳からの支給となる。支給開始年齢を1歳引き上げることで基礎年金給付費だけで年に約1兆円の削減となる。基礎年金に上乗せする給与所得割部分を加えると何倍もの年金給付費削減となることは歴然としている。
 3年引き延ばしで10兆円以上の年金資金、労働者、勤労人民が長年月掛けた金の国による詐欺・横領にほかならない。
 年金支給開始年齢の68歳~70歳への引き上げ計画は、「社会保障と税の一体改革」と称する消費税大増税と合わせた国民収奪政策の一環である。

 協会けんぽは保険料引上げ 医療分野でも

 社会保障改悪による収奪で、医療分野では政府管掌健康保険の後身である「協会けんぽ」の保険料を全国平均で10%引き上げようとしている。医療給付の面では、病院・診療所を問わず、外来受診1回ごとに100円を上乗せ徴収する。整形外科など週2回、長期の通院が必要な診療科では月1000円もの上乗せ負担。他の診療科でも投薬は3日分ぐらいが一般的で、治るまで相当な負担となり、重い3割負担に加え「医者に行かない」ことに拍車がかかるのは歴然としている。
 さらに病院機能の再編と入院患者の早期追い出しをはかり、急性期病院の入院日数を9日間に短縮する目標を掲げて、「在宅医療」の強化をうち出している。これは、終末期の「在宅みとり」の拡大とあわせて、核家族化し貧困化する勤労者世帯にかつてない経済的・肉体的・精神的負担を強いる。このようにして多額の医療費削減を狙っている。
 介護保険法はすでに民主・自民・公明の賛成多数で改悪している。その一つの柱は、要支援1、この在宅高齢者を介護保険給付の対象から外し、有償ボランティアなどによる「総合日常生活支援サービス」の対象に、市町村の判断で移せるとした。介護保険利用の一割負担より高くつく有償ボランティア利用で、要支援高齢者を犠牲に、介護給付費の大規模な削減をはかる。
 第二に、特別養護老人ホームを中心とする介護施設を増やさず、要介護3、4、5と重度者が入所待機者のなかで増大して在宅介護の限界をこえているなかで、「24時間体制の巡回型介護・看護サービス」を新設。安上がりの「在宅」でまかなおうとしている。
 しかしこれは、看護師、介護職員不足の現実のなかで“絵に描いた餅”であるばかりでなく、重度要介護者の在宅介護への押しつけで、「介護・看病苦」による心中や肉親殺しという社会的悲劇をさらに広げる社会的犯罪との批判が高まっている。
 野田政府は、市場原理労働政策でかつてない失業と貧困を押しつけながら、「生活保護受給者204万人、地方自治体の負担を軽減する」などと称して、「職業訓練」を受けることを要件にして生活保護の停止・廃止をおこなう改悪に乗り出している。
 これは非公開でおこなっている「生活保護法改悪にむけての国と地方の協議」に厚生労働省が持ち出したものである。だが「食える仕事をよこせ」との要求にこたえていない現実の下で、協議に参加している自治体側からも「現状の雇用情勢を総合的に判断すれば、保護の停・廃止は難しい」との声が上がるありさまであった。国民生活の実情無視で、社会保障切り捨てありきを強行する政府・官僚の正体をさらけ出している。
 野田政府が乗り出している「社会保障と税の一体改革」は、ごく一握りの米日独占資本の利益のために法・制度を改悪して働くだけで、国民に対して「最低限の健康で文化的な生活」さえ保障する能力も力もないことを白日のもとにさらしている。失業も貧困も戦争もない社会、アメリカ、財界いいなりでなく社会の公益のために働く国家への立て直しが最重要課題となっていることを示している。

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