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先進国での雇用減少

「JB press」から転載。
ヨーロッパでの若年失業者数はドイツ以外のほとんどの国で大幅に増えており、中には40%もの若年失業者を抱える国もある。ギリシャ、イタリア、スペインなどの南欧諸国が失業率が高いが、イギリス、アイルランドなども似たようなものだ。
つまり、ほとんどの「先進国」はかつてない失業率の上昇に苦しんでいるのである。就職できない若者は親と同居し、親に養われることになる。これは日本でも同様だ。では、その親も失業状態ならどうなるか。死ぬしかないだろう。親が年金暮らしなら、そのわずかな金で家族全員が食いつなぎ、最低生活を送ることになる。
これが現在の世界の姿なのである。つまり、先進国の失業率上昇と貧困化が進んでいる。
私が何度も書いているように、IT革命による企業合理化から来る雇用削減と、貿易自由化による中・後進国への産業移転によって、先進国での雇用はどんどん失われることになる。ところが、それに対して先進国は有効な対策を何一つ持たないというのが事実だ。要するに、安い賃金で使える労働力がある国に産業が移転するのは当然の話で、貿易自由化は先進国側の雇用減少とセットなのである。
それに対して各国の政府は解決手段を持たない。だからアメリカもヨーロッパも日本も国家的な貧困化が進んでいくだけだ。もちろん、一部の超大富豪は存在するが、国としては貧しくなるばかりだ。
下記記事にあるように、「若者の職業教育」をやれば問題が解決するかのような幻想は、日本でも見られる。いや、ほとんどの「識者の意見」は、失業問題に対しては「失業者の職業訓練をやれ」というものばかりである。というのは、こうした「職業訓練施設」は役人の天下り施設にもなり、利権の一つにもなるからだろう。だが、仕事が無いのに職業訓練をするということの馬鹿馬鹿しさをなぜ誰も言わないのか。誰も言わないなら私が言う。

現在の世界の問題は「先進国では仕事そのものが無い」ということなのである。
もちろん、そんなのは馬鹿げた話であり、仕事など、本当は、作ればいくらでもある。問題は、硬直した許認可システムによって、新しい仕事の創造が庶民の手ではほとんど不可能になっていることなのである。あなたが何か面白い仕事を始めたら、おそらくそれは法律違反になるだろう。たとえばあなたが画期的な癌治療の方法を発見して、それを実行したら薬事法違反、医療何とか違反になるだろう。金が儲かる可能性のある仕事はすべて許認可と役人利権で雁字搦めになっているのである。
まあ、国家としての慢性病が、こうした利権体系に伴う動脈硬化だと言える。日本の場合は、東日本大震災が、逆に日本再生の大きなチャンスでもあったのだが、為政者も経済界も「日本が緩慢に死につつある」という事実を見ていないようである。


(以下引用)

一部の国、特に南欧諸国では、政府が重点的に取り組むべきは、若年労働者を締め出す労働市場の開放だ。労働市場が比較的柔軟な国では、若者の「スキルアップ」に重点が置かれる傾向がある。それは万能薬ではない。
 大学は技能の源泉になり、不況をやり過ごす場所になり得るため、学生はどんどん大学に進学し、とどまるようになっている。米国の大学院では2008年以降、願書が少なくとも20%増えている。だが、こうした学生が学費で借金を積み上げる一方、すべての学生が雇用の見通しを改善させられるわけではない。
 今でも大学の学位を持つことは就職の機会を高めるとはいえ、米国の大卒者の失業率は1970年以来最も高くなっている。
 職業訓練にも危険が潜んでいる。今年公開された英国の職業教育に関する報告書「ザ・ウルフ・リポート」は、間違った訓練は逆に雇用見通しに害を及ぼすと指摘した。
 英国の16~19歳の3分の1近くが労働市場では無価値かほぼ無価値の低レベルの職業訓練コースに通っているという。調査結果は、企業が主体の見習い訓練と組み合わせた制度でない限り、1~2年かけてこの種のコースを終了することは生涯所得の減少につながることを示唆している。

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