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ネット言論者のスクリーニングとしての都知事選

「櫻井ジャーナル」から転載。
今日の徽宗皇帝のブログと同趣旨だが、こちらの方が、より具体的なところがあるので、こちらもお目にかけるわけだ。
私がもっとも敬愛するサイト、またはブログがこの「櫻井ジャーナル」と「マスコミに載らない海外記事」の二つである。この二つに関しては、その内容が有益であるのはもちろんだが、管理人の人格識見ともに日本の最高峰の知性である、と私は考えている。他にも「晴耕雨読」など、素晴らしいサイトやブログはあるが、それは私がしばしば引用することから分かるだろう。ただし、「晴耕雨読」などはユーモアセンスはゼロだし、文章が面白く、情報が豊富な素晴らしいブログでも思想的には偏狭頑迷なものもたくさんある。たとえば「東海アマ」ツィッターなど、原発関係の情報量の豊富さでは並ぶものはない、と思うが、管理人氏の性向はかなり偏狭なものだと思いながら見ている。まあ、私自身、偏見の塊かもしれないので、他人のことは言えないのだが。
さて、どうでもいい前置きはこれくらいにしておこう。
東京都知事選は、選挙結果がどうあれ、各ブログ筆者(管理人)の性格(知的体質)や思想、知的限界を浮き彫りにしたところが、なかなか有益であったと思う。


(以下引用)





「一線を越えたまま」の「脱原発コンビ」にすり寄る人びとは自分も一線を越えるつもりなのか?


カテゴリ:カテゴリ未分類

 安倍晋三首相が民意を無視できる最大の理由は、有権者の激しい物忘れにある。公約を守らなくても、庶民の利益に反する政策を実行しても、次の選挙では忘れてしまう。少なくとも政治家は、そう高をくくっている。

 東京都知事選で細川某と小泉某のコンビを支援している人びとがいる。消費税率の引き上げ、つまり庶民からカネをさらにむしり取ろうとして反発を受け、総理大臣の職を投げ出した細川、郵政民営化と称して国民の資産をアメリカの巨大資本へ贈呈しかける一方、強者総取りの仕組みを強化し、深刻な貧困問題を生み出した小泉。こうした政策を支持しているならわかるが、そうでもないらしい人が支援声明を出しているから驚く。

 細川と小泉は「脱原発」を訴えているから支持するのだというが、これは「目的のためなら手段を選ばない」という類いに話。そもそも問題のコンビが公約を守れるのかどうかが疑問だ。それほど信頼できる人物ではなく、首相時代に小泉が推進した強者総取りの新自由主義についても、またイラクへの先制攻撃に賛成したことについてもほとんど語っていない。

 政府、議会、司法から国のあり方を決める権利を奪うTPPについてはどうなのかも曖昧だ。TPPの核心はISDS条項。この条項によって企業活動や金融システムに対する規制、食糧の安全、環境汚染の防止、労働者の権利保護などをどうするかは国境なき巨大資本が決めることになる。つまり、各国の庶民は政策決定に関与できなくなる。「脱原発」も巨大資本が「ノー」と言えばできない。

 「脱原発」を実現するためには、かつて「一線を越えた」悪党とも手を組む必要があるという人たちもいる。実際に遣ろうとしていることは、「一線を越えたまま」の連中にすり寄るということだ。

 そうした人びとの中には、南アフリカのネルソン・マンデラを引き合いに出す人もいる。アパルトヘイト時代にはヨーロッパ系が支配階級、先住民が被支配階級を形成していたが、アパルトヘイトの廃止後に大統領となったマンデラは人種間の対立を解消するため、報復ではなく宥和を打ち出している。細川/小泉にすり寄る自分たちを、このマンデラに準えようとしたわけだ。

 しかし、この主張は少なくともふたつの意味で間違っている。

 まず、マンデラが大統領になったのは、アパルトヘイトの廃止という国のあり方が根本的に変わる過程でのこと。日本で言うなら、東アジアを侵略した過去を真の意味で清算し、天皇制官僚国家から共和制へ移行し、官僚から特権を取り上げるようなものだ。つまりマンデラの宥和政策と細川/小泉へのすり寄りは根本的に違う。

 また、マンデラの政策に大きな問題があったことも忘れてはならない。アパルトヘイトの廃止という形で政治的には大きく前進したが、経済の仕組みは大きく変えていない。つまり欧米資本の利権を温存し、植民地的な支配構造が残ったことから、被支配階級だった人びとの生活環境はほとんど改善されていない。

 1994年に大統領となったマンデラは99年に退任してしまうが、経済面の支配構造が温存されたことから庶民の生活が改善されないことは見通せたはず。だからこそ大統領のポストに執着しなかったのだろう。その結果、欧米の政治家やメディアからマンデラは高く評価されているわけだ。

 もし、マンデラが欧米の巨大資本から利権を取り上げ、自立した国を作ろうとしたならば、全く違った評価を受け、「西側」からは「独裁者」と呼ばれ、場合によってはムアンマル・アル・カダフィのようなことになっていただろう。





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