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アメリカにおける軍隊(警察)と市民の戦いの可能性

「シフトム」から、ドミトリー・オルロフ氏の長い記事「アメリカの泣きどころ」の後半だけ転載。今年の5月頃の時点での記事のようだ。
アメリカにおける「軍隊(警察)対市民」の戦いの可能性について述べた部分である。
日本の自衛隊や警察も、いざそういう時が来たら、ぜひ「フラギング(自身の上官を撃つこと)」という言葉を思い出してもらいたい。(笑)まあ、権力の犬ども(そうでない「人間」もいると信じたいが)には無理な話か。



(以下引用)赤字部分は夢人による強調。


アメリカ人が世界中でいざこざを起こし続けるだろうことは疑いがなく、できるだけ長い間、弱くて利用できる国々に「影響」を及ぼそうとする。だが、尋ねるべき別の疑問がある。アメリカ人は自らに「影響」を及ぼすことになるのだろうか?というのは、もし彼らが自らに影響を及ぼすことになるならば、 爆撃で破壊されて荒廃した地域へと凄まじい模様替えをすることになる次の候補地がアメリカ合衆国それ自体になるかもしれないからだ。そこで、このオプションについて考えてみることにしよう。

 ファーガソンでの出来事、そして、より最近ではボルチモアの出来事が示唆しているように、アフリカ系アメリカ人と警察の緊張は爆発しそうなほど高まっている。アメリカの「麻薬戦争」とは、実質的には、若い黒人(およびラテンアメリカ人)男性との戦争である。若い黒人の3分の1ほどが獄中にいるのだ。彼らはまた警察官に銃撃される高いリスクを抱えている。公平に言えば、警察官にもまた若い黒人女性に銃撃される高いリスクがあり、警察官を神経質にして過剰反応を招いている。1億人に迫るアメリカ人が失業(細かく区別したいのならば、「労働力の外outside the labor forc」)状態にあって徐々に崩壊している経済を考慮すると、増えるばかりのその人口集団にとっては、当局者に協力することはもはや有益な戦略ではなくなっている。言うまでもなく、捕まえられるか殺されるかであり、法律を無視することで一時給付金は得られない。

 市民の暴動や反乱に関する情報を封じるアメリカ・メディアの能力には、興味深い非対称性がある。暴動が海外で起こったならば、そのニュースは注意深く編集されるか完全に黙殺される。(アメリカのテレビは、ウクライナの軍隊による市民居住区への砲撃が最近再開されたことを報じたか?もちろん、報じていない!)こういうことが可能なのは、アメリカ人は周知のこととして自己愛が強く、外の世界のことには極めて無関心であり、アメリカ人のほとんどが無知で、彼らが知っていると思っていることはしばしば間違っているからだ。だが、もしも暴動がアメリカ国内で起こるならば、より高い視聴率を叩きだして、より多くの広告収入を得るために、誰が暴動をよりセンセーショナルに扱えたかという点で、様々なメディアが互いに競争するわけだ。アメリカのメインストリーム・メディアは一握りの巨大コングロマリットによってしっかり牛耳られており、情報の独占が許されているわけだが、広告販売のレベルでは市場原理がまだ優勢なのだ。

 そういうわけで、正のフィードバックループがはたらく可能性がある。すなわち、市民の暴動が発生すればするほど、ますますニュース報道がセンセーショナルに扱われるようになり、それが次に、市民の暴動を増幅して、さらに報道がセンセーショナルに扱われるようになるのだ
。そして、同様に、第2の正のフィードバックループがある。市民の暴動が起こるほどに、ますます警察は状況を抑え込もうと過剰反応して、それによって、さらなる怒りを生み出してしまい、市民の暴動を増幅するのだ。これら二つのフィードバックループはコントロールが効かなくなるまで続くが、そのような最近の出来事では、最終的な結果は同じである。つまり、州兵からなる軍隊の投入と夜間外出禁止令および戒厳令の発布である。

 最近では、たとえ小さな町でさえほとんどの警察部門がかなりの武装化をしており、また、いくつかの学区では警備員さえ軍用車とマシンガンを備えていることを考えると、軍隊の速やかな投入はいくらか奇妙に思えるかもしれない。だが、j事態の進展は自然なことなのだ。一方、習慣的に力尽くで訴える人々はそれがうまく行かないと思うと、そういう人々は通常、十分な力を使っていないからだと考える。他方では、犯罪にまつわる司法制度がすでに茶番で修羅場だとしたら、どうしてお役所的な面倒な手続をやめないのか、なぜに戒厳令を施行するのか?

 アメリカにはあらゆる種類の武器がおそろしくたくさんあるが、資金不足によってアメリカが海外の米軍基地閉鎖を強いられるに連れて、その間ずっとさらに多くの武器が還流してくることになるだろう。やがてアメリカ人はおそらくその武器を使うようになるだろう。それは、赤レンガがボストンで用いられるようになったのと同じ理由、同じ様式によってである。御存じだろうか、多くの赤レンガはイギリス船に乗ってボストンに入ってきたのだ。船の中で赤レンガは帰路のバラストとして用いられた。このことが、レンガを使って何かする勢いを与えることになった。だが、レンガのビルを建てることは難しく、工程を要し、労働者がいつも酔っぱらっているのならば、特に難しい作業になる。そこで、解決策はレンガを歩道の舗装に使うことになった。それは四つん這いになってもできる作業だった。同様に、軍事兵器が外国からアメリカに還流してくるのだ。そして、それが使われる。なぜならば武器がそこにあるからだ。しかも最も愚かしい方法で用いられるだろう。自国の人々を銃撃することになるのだ。

 だが、軍が自国の人々を銃撃するように命じられると、悪いことが軍に起こる。遠くの国で「タオル頭」(訳註:"towelhead"は、アラブ人やインド人など,頭に布やターバンをかぶった人をさす軽蔑的な俗語)を撃つことと、あなたが育った街の通りであなた自身の兄弟分かもしれない誰かを狙撃するように命令されることは、まったく別のことだ。そのような命令はフラギング(自身の上官を撃つこと)、命令に従うことの拒否、他の陣営を守る行動、といったことを招くことになる。

 そして、事態はおもしろくなる。なぜならば、おわかりのように、銃撃したり、投獄したり、あるいは無力な市民を長い間虐待しようものならば、そのお返しは武装蜂起となるからだ。反乱を組織化するのに最も容易な場所は刑務所だ。たとえば、ISISないしイスラム国家は、アメリカ人によって投獄される前にはサッダーム・フセインのために働いていた人々によって指導された。彼らは投獄を奇貨として効率的な組織構造を練り上げて、釈放されるや、互いを見つけ出して、仕事に取り掛かったのだ。若いアメリカの黒人の3分の1を投獄しているということは、効果的な反乱を組織化する上で必要な機会を彼らに与えているも同然なのだ。

 効果を発揮するには、反乱は多くの武器を必要とする。これに関して、軍事兵器を調達するための手順があり、それはほとんどお決まりの方法になっている。どんな兵器がISISで使われているだろうか?もちろん、アメリカ製だ。バグダッドの体制へとアメリカ人が供給したもの、そして、イラク軍が戦闘拒否して逃亡したときにISISが戦利品として得たものだ。では、イエメンのフーシ反乱軍(訳註:「フーシは、イエメン北部サアダ州から発展し、北部を拠点に活動するイスラム教シーア派の一派ザイド派の武装組織」wikipedia)によって使われたのはどんな兵器か?もちろん、アメリカ製だ。アメリカ人が今となっては転覆してしまった親米政権に供給したものなのだ。では、バッシャール・アル=アサドのシリア体制で使われている兵器はどうだろうか?やはり、アメリカ製だ。ウクライナ政府がアメリカ人から手に入れた兵器をシリアに売ったものだ。ここに一つのパターンがある。つまり、アメリカ人が兵器供給し、訓練し、軍を武装するときはいつでも、その軍隊がただ解体することになり、アメリカ人の利権に反対するために兵器を使いたい人々の手の中に兵器が転がり込む、このようなことには実に高い蓋然性があるように思われる。そこで、ひとたびアメリカが自国を軍事占領下に置いたとしたならば、これと同じパターンが成り立たない理由を考えることは難しいだろう。

 事態は実に興味深いことになるだろう。とてもよく武装化され、とてもよく組織化された反乱、それはとことん過激化して憤慨した人々によって引き起こされる。彼らには失うものなどなく、家の芝生のために戦うのだ。彼らの家族は、目下、「影響」を及ぼしたすべての国で見世物的に失敗していて、士気を挫かれて敗走したアメリカ軍と戦うことになるわけだ。

 彼らは言う、「あなたがたは市役所と戦うことはできまい」と。だが、全方位に向けられる回転式砲塔があって、動くものには何でも砲撃でき、市役所の周りの四つの交差点を制圧できる重戦車大隊があればどうか?そして、すべての主要市役所職員宅のインターホンを鳴らして回るだけの十分な歩兵がいたらどうだろうか?市役所との戦いにおける勝利のオッズが変わるのではないか?

 このシナリオが現実のものになる前に、アメリカはさらにいくつかの国々に「影響」を及ぼすかもしれないが、(全面戦争の可能性を除けば)ついにはアメリカが自らに「影響」を及ぼし、先週の土曜日に赤の広場を行進した軍隊を有する国々はもうこれ以上蹴り回すべきアメリカだとは思わなくなっていることだろう。

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酔生夢人
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仙人
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空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
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