今年のノーベル平和賞は「欧米が背後で操作する民主化革命」の協力グループに、ノーベル文学賞は「反ロシア」的言説を撒き散らす小説家に贈られたようで、まさにノーベル賞の意味を露骨に顕している。(笑)
それよりも、この「孔氏平和賞」ははるかにまともではないか。
藤永茂博士の「私の闇の奥」などを読んでいる方なら、ムガベが欧米支配層と戦ったために「独裁者」イメージを欧米マスコミから貼り付けられてきたことを知っているだろう。そうした欧米マスコミ操作に惑わされず、「孔氏平和賞」委員会がムガベに賞を贈ったのは素晴らしい。これは、「欧米の世界支配」への挑戦でもあり、アジアの気骨を示したものである。同じアジア人として、同委員会の勇気と英断を讃えたい。
(以下引用)
【孔子平和賞】
村山元首相、最終選考に残るも固辞 受賞者は「独裁」で名高いジンバブエ・ムガベ大統領…
今年のノーベル平和賞はチュニジアの民主化に尽力した4団体に決まったが、同賞に対抗するため中国で設立された「孔子平和賞」について、同賞選考委員会は9日までに、今年度の賞をアフリカ・ジンバブエのムガベ大統領(91)に授与することを決定した。
同委員会関係者によると、今回、最終選考に残った候補には、日本の福田康夫、村山富市の両元首相のほか、国連の潘基文事務総長、韓国の朴槿恵大統領、米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏、台湾出身の僧侶、星雲法師など計9人。選考委員会の委員76人が投票を行ったが、過半数を獲得した候補者は誰もいなかった。
その結果、受賞者は、得票数が最も多かった村山氏とムガベ氏の2人に絞られた。しかし、村山氏は「健康上の理由で授賞式に参加できない」などと固辞。最終審査の担当委員13人による協議により、ムガベ氏の受賞が決まったという。
選考委員会は授賞理由として「1980年代からジンバブエの大統領を務め、数々の困難を乗り越え、同国の政治・経済・秩序の構築に貢献し、人民に幸福をもたらした」「91歳という高齢にも関わらず、世界各地を奔走し、アフリカの平和のため積極的に活動していること」などを挙げた。
しかし、こうした評価は国際社会におけるムガベ氏のイメージとあまりにもかけ離れているため、中国のインターネット上で「茶番だ」「これでは孔子平和破壊賞だ」などと冷ややかな反応が寄せられている。
かつては、ジンバブエを独立に導き、反植民地支配の英雄とも言われたムガベ氏だが、80年代から30年以上も同国の最高権力者として君臨。強引な政治手法でハイパーインフレを引き起こし、同国の経済に壊滅的な状況に導いたほか、白人農園を強制収用したり、国内の同性愛者を迫害するなどして、国際社会から「独裁者」と批判されることが多い。
孔子平和賞は2010年に中国の民主化活動家、劉暁波氏がノーベル平和賞を受賞したことを受けて、急遽(きゅうきょ)設立された。欧米の価値観ではなく、中国の価値観で世界平和に貢献した人物に対して、その功績を顕彰することを目的としている。
香港を拠点とする民間団体が主催している形を取っているが、中国政府の外郭団体の関与が指摘されている。これまでに台湾の連戦・元副総統や、ロシアのプーチン大統領、キューバのフィデル・カストロ元議長らが受賞している。
孔子平和賞の授賞式には、受賞者が欠席することが多かったが、選考委員会の関係者は「ムガベ大統領は今年の授賞式に出席する可能性がある」と話している。(北京 矢板明夫)