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著作権切れ映画鑑賞会2

今日は21番から30番を書く。
27番までが例の80作セットに含まれた作品である。28番以降は、追加発注した物で、その中には私の眷恋の作品であった「魔法の剣」もある。それ一つのために「80作セット」と大部分が重複しているにも関わらず、1600円で10枚セットを買ったのである。


21 「ジャンヌ・ダーク」:監ヴィクター・フレミング 主イングリッド・バーグマン(2点) 評:2点は映像の美しさとセット、小道具係の労苦に対してである。ドラマとしては最低。バーグマン自身がこの役をやりたくてたまらなかったという話だが、この映画の出来を見たら、出なければ良かったと思っただろう。こういう大作映画が愚作になるのはよくあることである。監督が無能であったりセンスがなかったりするのは、スポンサーや映画ファンへの犯罪である。そういう監督が邦画の場合は半分以上なのだが、それで映画を撮らしてもらえるのは不思議である。余談だが、ジャンヌ・ダークが法廷(魔女裁判)で必ずしも自分の信念を貫いたわけでなく、自分の過去の行為を否定したというのは、おそらく史実だろう。これも映画のストーリーとはあまり関係ないが、「青鬚」のモデル、ジル・ドレーも出てきて、おっと思った。
22 「キング・コング」:監メリアン・C・クーパー&アーネスト・B・シュードサック 主フェイ・レイ、それともキング・コング?(6点) 評:歴史的価値から言えば、もちろんもっと高い点をつけるべきだが、ドラマとしての弱さは否めない。特撮は案外といい。もちろん、リアリティという点では新しい方のリメイク版にはかなわないが、映画のワクワク感は、実は稚拙な特撮の方が大きいのである。
23 「海賊キッド」監ローランド・V・リー 主チャールズ・ロートン(6点) 評:全体の3分の2までは素晴らしい出来だが、途中から話がいい加減な感じで収束するのが残念。チャールズ・ロートンは、イギリスの志村喬といったところである。悪役をすることが多い。「戦艦バウンテイ号」での船長役も悪役であったが、ここでも悪役。映画が途中からグズグズになったのは、主役(こういうのは主役と言うのか疑問だが、要するに二枚目とヒロインだ)の美男美女二人を無理にハッピーエンドに持っていこうとしたためだろう。主役は死なない、という鉄則を守るのはいいが、合理的説明を怠ると、ドラマは台無しになる。
24 「鉄仮面」監アラン・ドワン 主ダグラス・フェアバンクス(7点) 評:ダグラス・フェアバンクスの敏捷な剣戟を楽しむ映画である。次に書く「三銃士」は明らかにこの映画から多くのヒントを得ているようだが、映画としての品格、レベルはこちらがはるかに上である。最後の場面は、いかにもありがちなエンデイングだが、思わず涙が出てきてしまった。
25 「三銃士」監ジョージ・シドニー 主ジーン・ケリー(3点) 評:ジーン・ケリーによる、ジーン・ケリーだけのための映画である。当然、映画としての出来は最低レベル。ジーン・ケリーは映画というものを、自分を売り込むための媒体としか考えていない。それにある程度のブレーキがかかった「雨に唄えば」は大傑作だが、それでも彼の「ナルシスト・ダンス」にはビング・クロスビーの優雅さのかけらもない。ただの体操である。
26 「イワン雷帝」監エイゼンシュタイン主ニコライ・チェルカーソフ(4点) 評:歴史的名監督として名高いエイゼンシュタインの映画であるので大いに期待して見たが、まったくの当て外れ。キューブリックが「エイゼンシュタインはスタイルは満点だが内容はゼロ。チャップリンは内容は満点だがスタイルはゼロ」と言っていた言葉の正しさを実証する作品であった。登場人物の顔だけはすごい。まるで歌舞伎の大見得みたいな演技をするが、確かにある種の迫力と風情はある。それがつまり「スタイル」だろう。
27 「ジュリアス・シーザー」監スチュアート・バージ 主チャールトン・ヘストン(4点) 評:退屈な映画だが、誠実に作っている。おそらく原作であるシェークスピアの戯曲にかなり忠実に作ったのだろう。私は原作は読んでいない。I・モンタネッリの「ローマの歴史」に書いてあるシーザー暗殺の部分も映画の内容に近い。ヘストンの性格づけが今一つはっきりしないので、映画を見る快感はかなり弱い。つまり、感情移入できるキャラがいないのである。ヘストンは、最初は善人風だが、後半は権謀術数を巡らす小悪党になる。つまり、あまり魅力の無い人物である。映画としては面白くないが、勉強にはなる。
28 「魔法の剣」監バート・I・ゴードン 主ベイジル・ラスボーン(9点) 評:この評点はかなり主観的である。子供のころ、劇場でこの映画を見て、すっかり参ってしまった映画なので、そういう「思い出補正」のかかった点数だ。しかし、客観的に見ても8点はある作品だ。つまり、子供向け娯楽映画としては完璧である。まあ宮崎アニメなど、近年のアニメ映画の完成度や芸術性に比べれば落ちるだろうが、「男の子」限定ならこちらのほうがワクワクするだろう。特撮面では、最初の戦いに出てくる巨人がハリボテ見え見えなのが残念だが、その後の特撮は素晴らしい。特に、魔法で熱死する騎士の姿は、悪夢的で素晴らしい。私の書いた少年小説は、この「魔法の剣」のイメージが原点になっている。ついでながら、どこかで私は「2001年宇宙の旅」のキア・デュリアがこの「魔法の剣」の主演俳優だと書いたが、それは間違いであった。ボウマン船長の同僚宇宙飛行士役の俳優が、脇役で出ている、というのが正解のようである。多分アイルランド人の騎士の役だろう。また、お姫様が魔法使いの手の中で、小鳥から小さな人間の姿に戻るシーンがあったと記憶しているのだが、それは見当たらない。私が妄想で作ったシーンなのだろうか?ついでながら、お姫様役の女優はあまり可愛くない。まあ、子供にとってはお姫様などどうでもいいのである。お姫様など、冒険の景品でしかない。
29 「猛進ロイド」 監督 ? 主演ハロルド・ロイド(9点) 評:喜劇映画として驚くほど完成度の高い映画である。チャップリンの「ライムライト」や「独裁者」などは確かに傑作だが、「純粋喜劇」ではない。「純粋喜劇」としてはこちらに軍配が上がると思う。原題は「女性恐怖症」とでもいった題名だが、それがなぜ「猛進ロイド」というタイトルになったかというと、ラスト30分は、猛烈なアクションシーンの連続になるからである。おそらく映画史上最高のアクションシーンの一つではないか? 私はハロルド・ロイドの顔が嫌いで、食わず嫌いをしていたが、この映画には感心した。
30 「イースター・パレード」監チャールズ・ウォルターズ 主クロスビー&ガーランド (7点) 評:ミュージカル映画の最高傑作は同じクロスビーの「バンド・ワゴン」か、あるいはジーン・ケリーの「雨に唄えば」か、あるいは「マイ・フェア・レディ」かだろうが、ビング・クロスビーの映画の中では上位3位内に入るのではないか? ただし、ミュージカル映画としていいと言うよりは、クロスビーの映画としては珍しく、ドラマの部分がしっかりしているからこその高評価である。ジュディ・ガーランドは適役。歌もうまい。ついでだが、多くの人がミュージカル映画の最高傑作とする「ウェストサイド物語」は、斬新な作品だったが、ミュージカル映画の本質である「ファンタジックな幸福感」がゼロなので、ミュージカル映画としては私は高く評価しない。ただし、ミュージカル映画を幅広くとらえるなら、「ジーザス・クライスト・スーパースター」や「オール・ザット・ジャズ」と同様、高い評価をする。

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酔生夢人
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職業:
仙人
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考えること
自己紹介:
空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
それだけで人生は生きるに値します。

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