生徒B「次行きます。『He knew everybody in Puddleby,and he knew all the dogs and all the cats.』」
生徒C「『彼はパドルビーのすべての人間とすべての犬や猫を知っていた。』」
生徒A「次行きます。『In those times being a cats-meet-man was a regular business.』」
生徒B「『その当時、猫肉屋はありふれた商売だった』」
生徒C「次行きます。『And you could see one nearly any day going through the streets with a wooden tray full of pieces of meat stuck on skewers and crying ,“Meat! M―e―a―t!”』」
生徒A「『そして、ほとんど毎日のように、その猫肉屋が、木の盆の上に『stuck on skewers』された一杯の肉を手にして『肉! に、い、く、う!』と叫びながら大通りを行くのを見ることができた』」
先生「苦心の訳だな。でも、『skewers』は、多分荷車か何かだな。つまり、木の盆の上にあるものじゃなくて、逆に木の盆が『skewers』に『stuck』されているわけだ。」
生徒C(辞書を引いて)「先生、間違ってます。『skewer』は『串に刺す』ですね」
先生「あれ、そうだっけ? 僕の頭の中には猫肉屋が荷車を引いているイメージがあったんだけどな。じゃあ、そういうことで訳して」
生徒A「『そして、ほとんど毎日のように、その猫肉屋が、木の盆の上に載せた、肉の串刺しを持って『肉! に、い、く、う!!』と叫びながら大通りを行くのを見ることができた』」
生徒B「次行きますよ。『People paid him to give this meat to their cats and dogs instead of feeding them on dog biscuits or the scraps from the table.』」
生徒C「『人々は自分たちの猫や犬に犬用のビスケットやテーブルの残飯をやる代わりに、彼に金を払ってその肉を買うのだった。』」
先生「いい訳だね。『買う』という言葉は原文にはないけど、確かにここでは、それを入れた方が原文の意図を伝えている。『犬用のビスケット』は、現代なら『ペットフード』となるところだけど、時代色を出すためには、『犬用のビスケット』の方がいいね。『scraps』を『残飯』としたのもいい」
生徒A「次行きます。段落が変わります。『My third great friend was the Luke the Hermit.』」
生徒B「『私の三人目の友達は、ルーク・ザ・ハーミットであった。』……先生、『Hermit』って何ですか?」
先生「さあ、何だろう。辞書を引いてみようか。『隠遁者、隠者』とあるな。『隠者のルーク』とでもしておくか」
生徒C「先生、隠者って何ですか?」
先生「世を逃れて孤独に住んでいる人間だ」
生徒C「乞食ではないんですね?」
先生「乞食は生活の手段だから、関係ないね。まあ、隠者が乞食をすることもあるだろうけどね」
生徒C「段落が変わります。『I did not go to school,because my father was not rich enough to send me.』」
生徒A「『私は学校には行っていなかった。なぜなら、私の父は、私を学校にやるほど金持ちではなかったからだ。』」
生徒B「先生、この話はいつ頃の話なんですか?」
先生「さあ、19世紀の終わり頃じゃないかな。つまり、シャーロック・ホームズと同じ頃だ。20世紀初め頃かもしれない」
生徒B「イギリスでは義務教育制度はなかったんですかね」
先生「まあ、そうかもしれないね。後進国の日本が義務教育制度を実施したのは英断だったと思うよ。そのおかげで日本は20世紀に先進国の仲間入りできたんだ。それより、もう少し進めておこうか」
生徒B「『But Ⅰ was extremely fond of animals.』」
生徒C「『しかし私は特別に動物が好きだった。』…うーん、あまりいい訳じゃないな。」
先生「悪くはないさ。『でも、私はとても動物が好きだった』とすれば口語的な自然な感じにはなるけどね」
生徒A「『So Ⅰ used to spend my time collecting bird‘s egg and butterflies , fishing in the river , rambling through the countryside after blackberries and mushrooms and helping the mussel-man mend his nets .』」
生徒B「『だから私はいつも鳥の卵や蝶々を集めたり、川で釣りをしたり、田舎でブラックベリーやマッシュルームを探してぶらぶらしたり、貝掘りが彼の網を修繕するのを手伝っては時間を過ごしていた。』」
先生「いいところとわるいところがあるね。全体的にはこなれた訳だけど、『countryside』を田舎とするのはおかしいだろう。子供の足でいきなり町から田舎に行くのは変だから、ここは『町のひなびたところ』くらいがいいんじゃないかな」
生徒B「『ひなびた』ってどういう意味ですか?」
先生「田舎じみたところってことさ」
生徒B「うーん、あまり変わらないような気がするけど……」
先生「そうかい? まあ、じゃあ今日はここまでにしておこう」