もちろん、大人が読んでも面白いはずだが、私と好みが合わない人には無意味なリストだ。
思いつくままに書いたリストだから、抜け落ちはたくさんある。
だいたいにおいて、リスト上位ほどお勧め度は高いが、下位の作品を軽視していいわけではない。それぞれ、読んだ後、時間をムダにした、という思いしか与えない最近の大量生産作品の何万倍もの価値があるのである。どんなに上手く書かれていても、「読むのは時間のムダ」という作品が、なぜかあるもので、私にとっては推理小説の大半はそうだ。トリックのために人物がある、というのでは、ただのパズルである。(ホームズ物は、あれはホームズという超魅力的な人物を楽しむ物語だから、私は大好きだ。チェスタトンには「奇想の驚き」や文章の魅力があるから、これも良い。)
なお、トルストイやドストエフスキーは全作品に価値があると思うが、私はもちろんそのほんの一部しか読んでいない。かなり「腹もたれ」するので、若い頃でないと読めないかもしれない。
まあ、読む本が無くて退屈だ、という人は、下の「大衆文学」か「短編集」あたりが、まずはお勧めである。ネットばかりやっていても雑情報が増えるだけだが、いい本を読めば知性の質や、感情(情操)、つまり人格というか人間そのものが少しレベルアップします。すなわち、「カルティベート」されるわけで、頭の表層を流れるだけの情報と、心を耕す教養はまさしく違う、ということだ
なお、サマセット・モームの「世界の十大文学」と、夏目漱石の「文学評論」は、文学評論として最高に面白いものである。
大島弓子は「綿の国星」より、初期短編に優れたものが多いが(山岸涼子も同様)、読む人を選ぶような作品なので、ここでは普通の人に受け入れられそうな有名作品を選んだ。まあ、絵柄だけで最初から拒否反応を起こす人もいるだろう。リストに入れるのを忘れていたが、川原泉などもそうである。
世界名作文学・長編
1 戦争と平和(トルストイ) 11 罪と罰
2 カラマーゾフの兄弟(ドストエフスキー) 12 悪霊
3 トム・ジョーンズ(フィールディング) 13 白痴
4 高慢と偏見(オースティン) 14 アンナ・カレーニナ
5 デイビッド・コパフィールド(ディッケンズ) 15 従妹ベット
6 白鯨(メルヴィル) 16 ドン・キホーテ
7 赤と黒(スタンダール) 17 ガリバー旅行記
8 ファウスト(ゲーテ) 18 パルムの僧院
9 ゴリオ爺さん(バルザック) 19 西遊記
10 レ・ミゼラブル(ユーゴー) 20 水滸伝
名作中短編
1 虚栄の塔(マルキ・ド・サド) 11 じいさんばあさん(鴎外)
2 カンディード(ヴォルテール) 12 人面の大岩(ホーソン)
3 冷たい方程式 13 野ばら(未明)
4 アルジャーノンに花束を(キース) 14 虔十公園林(賢治)
5 みずうみ(ブラッドベリ) 15 茶碗の中(八雲)
6 最後の一葉(O・ヘンリー) 16 お春(八雲)
7 マテオ・ファルコネ(メリメ) 17 菊花の約(秋成)
8 春の鳥(国木田独歩) 18 白夜(ドストエフスキー)
9 黄金虫(ポー) 19 サンチマンタリズム(リラダン)
10 夢十夜(夏目漱石) 20 クロイツェル・ソナタ(トルストイ)
大衆文学
1 風と共に去りぬ(ミッチェル) 11 虚無への供物(中井英夫)
2 夏への扉(ハインライン) 12 白衣の騎士団(ドイル)
3 Yの悲劇(クイーン) 13 後宮小説(酒見賢一)
4 吾輩は猫である(漱石) 14 長い道(柏原兵三)
5 竜馬が行く(司馬遼太郎) 15 冬の旅(立原正秋)
6 さぶ(山本周五郎) 16 陽の当たる坂道(石坂洋次郎)
7 富士に立つ影(白井喬二) 17 エジプト人(ミカ・ワルタリ)
8 宮本武蔵(吉川英治) 18 グイン・サーガ(中島梓)
9 ライ麦畑でつかまえて(サリンジャー) 19 銀河英雄伝説(田中芳樹)
10 赤毛のレドメイン家(フィルポッツ) 20 十三妹(武田泰淳)
長編漫画(短編連作含む)
1 火の鳥(手塚治虫) 11 ストップ!兄ちゃん(関谷ひさし)
2 寄生獣(岩明均) 12 ハリスの旋風(ちばてつや)
3 エースを狙え(山本鈴美香) 13 柔侠伝(バロン吉元)
4 テレプシコーラ(山岸涼子) 14 ヒカルの碁(堀田ゆみ・小畑健)
5 じゃじゃ馬グルーミングUP!(ゆうきまさみ)15 惨殺者(小島剛夕・梶原一騎)
6 トーマの心臓(萩尾望都) 16 夢幻紳士冒険活劇編(高橋葉介)
7 よつばと!(あずまきよひこ) 17 タッチ(あだち充)
8 綿の国星(大島弓子) 18 さよなら絶望先生(久米田康治)
9 カムイ伝(白土三平) 19 おおきく振りかぶって(ひぐちアサ)
10 喜劇新思想体系(山上たつひこ) 20 エロイカより愛をこめて(青池保子)
児童文学など
1 不思議の国のアリス 11 ロビン・フッドの冒険(中野好夫訳)
2 鏡の国のアリス 12 足長おじさん(ウェブスター)
3 わがままな巨人(ワイルド) 13 小公女
4 泣いた赤鬼(ひろすけ) 14 トワイス・トールド・テールズ(ホーソン)
5 クリスマス・カロル(ディケンズ)15 坊ちゃん(漱石)
6 ドリトル先生アフリカ行き 16 若草物語(オルコット)
7 赤毛のアン 17 銀河鉄道の夜(賢治)
8 秘密の花園 18 どくとるマンボウ航海記(北杜夫)
9 小公子 19 パンドラの筺(太宰治)
10 星の王子さま 20 海底二万海里(ヴェルヌ)
短編集
1 SFカーニバル(ブラウン編) 11 ウェルズ短編集
2 十月はたそがれの国(ブラッドベリ) 12 サキ短編集
3 月を売った男(ハインライン) 13 リラダン短編集
4 怪談(八雲) 14 ロアルド・ダール短編集
5 雨月物語(秋成) 15 ジョン・コリア短編集
6 筒井康隆の初期短編集すべて 16 O・ヘンリー短編集
7 アシェンデン(モーム) 17 メリメ短編集
8 コスモポリタン(モーム) 18 プーシキン短編集
9 シャーロック・ホームズの冒険(ドイル) 19 F・ブラウン短編集
10 チェスタトン短編集 20 黒後家蜘蛛の会(アシモフ)