正月早々であるが、或る、死についての詩を紹介したい。クリスチナ・ロセッティの「歌」という詩である。
昨日、ここのところずっとネットテレビで見ている「名探偵モンク」の中にこの詩が思いがけなく出てきたので、あちらでは結構有名な詩だと思うのだが、日本ではこの詩が訳されているのを私は見たことが無いので紹介する次第である。「千の風になって」が、この詩のイメージに近いように思うが、あるいはこの詩の影響を受けているのではないか。
なお、私が別に持っていて主に資料倉庫にしている別ブログで、私自身によるこの詩の訳を載せているが、お笑いなことに私は下記の詩中の「haply」を「happily」と勘違いして訳していた。全体にthouとか wiltなど古英語の出てくる詩なので、これもその一つと思ったのかもしれない。しかし、偶然ではあるが、その誤訳も、詩としては結構うまくつながっている気がする。と言うより、面白い気がするので、誤訳の方もお目にかける。
まあ、誤訳は誤訳だから、その部分だけ訂正した訳も誤訳の後に載せておく。ただし、私の貧弱な英語力による訳であるから、まだ誤訳があるかもしれないのはもちろんだ。
なお、原詩は新倉新一氏の『英詩の構造』(名著だと思うが、引用された詩は全部英語であり、訳はついていないので、まだ全部は読んでいない。)から採った。
Song
When I am died, my dearest,
Sing no sad songs for me;
Plant thou no roses at my head,
Nor shady cypress tree.
Be the green grass above me
With showers and dewdrops wet;
And if thou wilt, remember,
And if thou wilt, forget.
I shall not see the shadows,
I shall not feel the rain;
I shall not hear the nightingale
Sing on as if in pain.
And dreaming through the twilight
That doth not rise nor set,
Haply I may remember,
And haply may forget.
CHRISTINA ROSSETTI
歌 クリスチナ・ロセッティ
もしも私が死んだらあなた
悲しい歌は歌わないで
お願い 楽しい歌を……
私の枕元にバラや
陰深い糸杉を植えないで
雑草の生い茂るままにして
通り雨や露の濡らすにまかせ
そして
あなたが望むなら思い出して
そして、あなたが望むなら忘れて
私は影を見ることはないでしょう
雨を感じることもないでしょう
苦しむように鳴く夜鶯の声を聞くこともないでしょう
永遠の夕暮れの薄明かりの中で夢見て
幸せに私は思い出すでしょう
そして、幸せに忘れるでしょう
(訂正訳)
歌 クリスチナ・ロセッティ
もしも私が死んだらあなた
悲しい歌は歌わないで
お願い 楽しい歌を……
私の枕元にバラや
陰深い糸杉を植えないで
雑草の生い茂るままにして
通り雨や露の濡らすにまかせ
そして
あなたが望むなら思い出して
そして、あなたが望むなら忘れて
私は影を見ることはないでしょう
雨を感じることもないでしょう
苦しむように鳴く夜鶯の声を聞くこともないでしょう
永遠の夕暮れの薄明かりの中で夢見て
もしかしたら私は思い出すでしょう
そして、もしかしたら忘れるでしょう