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骸骨の隠れているのは、寺か

「ギャラリー酔いどれ」から転載。
最初にぱっと見て、妙な印象の絵だな、と思い、しばらくその理由を考えた。
きれいな絵のようにも見えるが、そうとだけも言えないのである。
一番目立つのは、画面近景中央のやや右にある「白骨が手足を左右に伸ばしている」「白い妖怪か亡霊が踊っている」かのような枯れ木だ。なぜ、この自然の中に枯れ木を置く必要があるのか。枯れ木自体が美しくないというのではないが、自然の持つ生命感を否定するものではあるだろう。
次に目につくのは、中景の野原の渦のような模様だ。この渦(を半分にしたもの)の意味も分からない。実際にそういう景色だったからそう描いたのかもしれないが、このためにムンクの「叫び」を印象派風に描いたような雰囲気が生じている。中景右手の川(?)の色もおかしい。なぜ肌色なのだろう。道かもしれないが、中洲のようなものも見えるから川だろう。しかし、川の色ではない。曇り空の下だから青や水色や緑色ではなくてもいいが、肌色の川は異常だ。
最後に、全体の色使いである。全体が、くすんだような色だ。近景には青が多く、中景は黄色、後景には褐色が目立つ。空の色は灰色に近い青だ。つまり、生命感のある色がほとんど使われていない。
画面中央に立つ、後ろ手を組んだ若い女性は、顔を見せていない。風景を眺めている女性の後姿、という設定だから顔が見えないのは当然だが、彼女の顔が見えないことも絵を見る者に不安感を与える。
作者は、これらのことを意図的に描いたのなら、達者なものだ、と思うが、自宅には絶対に飾りたくない絵である。
題名も奇妙だ。なぜこの絵の題が「寺」なのか。
「寺」という題名を知ってこの絵を見直すと、最前景の花々が仏花に見えてくる。あるいはこの後姿の女性も死者かもしれない。

(編集画面と掲載画面で、絵のサイズが違うので、掲載画面では絵の右側が見えなくなっているようだ。興味のある方は、元記事の方に行かれたい。)

 画は ARON WIESENFELD アーロン・ウィーセンフェルド

 Aron (born.1972, Washington D.C.) currently lives in San Diego, California.

 人間の暗い側面を表現し続け、U.S.の終末を見据えるアーティスト。

 ☆http://www.aronwiesenfeld.com/              作


  「The Temple 2014」です。

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空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
それだけで人生は生きるに値します。

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