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英国瞥観行その13


写真はおなじみの「永遠に成長しない少年」である。ケンジントン公園にある。
私も、いくつになっても頭の中身は子供のようなものだから、非常に親近感を持っている。
J.M.バリーは日本では「ピーター・パン」だけが有名だが、「あっぱれクライトン」なども非常に面白い芝居で、どこかの出版社がバリーの作品集を発行してくれないかな、と思っている。概して、18世紀から20世紀初頭にかけての英国の小説や脚本は、日本で翻訳されているものが少なすぎると思う。原書さえ容易には手に入らない。ジェイン・オースティンなどはわりと訳されているが、サッカレーとかアンソニー・トロロープの翻訳など、ほとんど目にしたことがない。今の英文学者も、翻訳するのは現代作家ばかりで、読む気がしない。まあ、そういう私自身、オースティンなど、「高慢と偏見」以外は読む気にもならないのだが。ところで、「ブリジット・ジョーンズの日記」などという映画が、「高慢と偏見」の現代への換骨奪胎だ、ということは知らない人も多いのではないか。
サッカレーの「虚栄の市」など、社会の階層を登る野心に燃えた若く貧しい女性が主人公だ、と聞いただけで、面白そうではないか。いかにも現代的主題だ。まあ、そう言えば、バルザックの主人公などもそういうのが多いのだが。
何はともあれ、そういう日本語に訳されていない外国古典文学の名作、秀作というのは膨大にあるのではないか。昔のように英文学者が活躍していないというのは、日本で英語教育が声高に叫ばれているのと反比例しているようだ。出版業自体が衰退しつつあるのは歴然としているが、それも古典という「見えない財産」を疎かにしてきた結果ではないだろうか。

私程度の長さで生きてきても、世間は文化資産をずいぶん無駄にしているなあ、と思う。古典とか、古いものを大事にしない文化は、どんどん軽薄化していくのではないか。カネになるものと、価値があるものとはまったく別だ、と思うのである。価値あるものを生み出した人々がきちんと報われるような社会、世界になってほしいものだ。


さて、「英国瞥観行」は、これでいったん終わりとする。後あと思い出したことや、書く価値があると思ったことは、気が向いたときにまた書くことにしたい。












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