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温かい言葉に支配された残酷な社会

私は、難病などのために自力で生きられなくなった人間には社会が自殺の便宜を図ってやるべきだという考えなのだが、「自殺幇助」は殺人との区別が困難なので(森鴎外の「高瀬舟」である)、医師に頼んでも毒薬は貰えないし、せめて苦痛を少なくしようと麻薬の処方を望んでも、それもなかなか難しいようだ。現代医学ならば、「副作用の無い麻薬」くらい開発してくれても良さそうなものだ。(「副作用の無い毒薬」が欲しい、というのは昔のボブ・ホープのコメディ映画の中のギャグだが)死ぬ時くらい、楽に死にたいではないか。
その気になれば自殺など簡単さ、と言うかもしれないが、それがそうでないから困るのである。時々見かける、インターネットで仲間を募って集団自殺をする、という奇妙な行動も、誰かと一緒なら、勢いで死ねるからである。
一人であっても、医師が毒薬を処方してくれれば、何となく「勇気を持って死ねる」ような気がするのだが、私はまだ自殺した経験は無いから、本当にそうかどうかは分からない。しかし、誰かが見守っていれば、落ち着いた気持ちで死ねそうな気がするのだ。ソクラテスなども、そんな気持ちではなかっただろうか。それに「死を従容として受け入れる俺ってカッケー」という気持ちもあっただろうから、それは是非誰かに見ていてほしいはずだ。
まあ、医者は患者を治すことで金を貰っているのであり、殺すことで金を貰うわけにはいかない、と堅いことを言う人もいるだろうが、なあに、患者の治療で恒常的に手に入る金の方が、毒薬一回だけの処方より儲けがある、という純粋に経済的な理由なのかもしれない。この世の問題の正体のほとんどは経済問題なのだから。
で、経済面から考えると、下記の記事は私の提唱する「自殺推進策」に次ぐ名案である。こちらは私のような素人ではなく、本物のお医者さんからの提案だが、私同様、世間の非難を受けそうな案である。
実際には、これは看護する側の手間と、看護される側の苦痛や不快感の両方を一気に片付ける人道的な解決案なのだが、外見的にそうは見えず、手術で肛門と膀胱を外部に作るというのが、「人間を人間扱いしていない」ように見えてしまう、という点で、おそらくもうアウトになってしまうと思う。世間、特に日本社会というものは、「うわべがきれいそうな言動」しか許容されないのである。
そして、現実に存在する非人道的な状況は、「うわべだけを飾るやり方」のために、根本的な解決が無く、不幸な人々の不幸は半永久的に続くのだ。
ところで、寝たままで排泄ができ、病人の体全体、あるいはその一部の洗浄ができるベッドなんて、簡単に作れると思うのだが、なぜ技術者たちは誰もそういうのを作らないのだろうか?


(以下「レジデント初期研修用資料」から引用)

介護と人工肛門

寝たきり老人が増えた。人生の最後の10年ぐらいをベッドの上で過ごす人は、半ば当たり前になってきた。
団塊世代の人達が、これから寝たきりになってくる。
介護の需要はいよいよ増えるはずだけれど、若い人は減ってしまうから、人手は間違いなく足りなくなる。 人手が足りない業界の給料は上がるはずなんだけれど、今はもうお金無いから、やっぱりたぶん、介護業界に投じられる予算は増えないのだと思う。
人間の「排泄」ラインは、あくまでも立って生活するのに特化していて、「寝たきり」の体位を想定していない。おむつを当てたところで、寝たままの排泄は苦痛だし、うまく出ないし、介護するほうは、だから1 日中、おむつ交換に忙殺される。
「人間らしい」介護が求められてるんだという。介護施設を外から観察する人達にとっての「人間らしさ」とは、食事の介助を付きっきりでやることだとか、日中は車いすで外を散歩することだとか、たとえ不隠のきつい人であっても、夜中も付き添って、縛ったりしないことだとか。
実際に療養病棟でやられていることは、「おむつ交換」と「体位交換」の繰り返し。 「人間らしい」お仕事は、もちろん介護を提供する側にとっても「人間らしい」お仕事だから、みんなそういうことしたいんだけれど、便汁と床ずれは待ってくれない。
見学に来る人は、食事の風景だとか、レクリエーションの時間なんかはチェックするけれど、スタッフが4 人がかりで便まみれのシーツ交換している風景だとか、茶色が染みた紙おむつの山を バケツに放り込んだ台車が廊下を何往復もしている風景だとか、あんまり見てくれない。
「おむつ」の問題が解決できれば、寝たままトイレに行ったり、排泄できたりするベッドが作れれば、 介護は画期的に楽になる。おむつ交換に回す人手が減らせれば、お互いもっと「人間らしい」ことができる。そこにはすごく大きな市場が在るはずだから、今はもちろん、世界中の寝具会社が開発に全力挙げてる はずなんだけれど、未だに何も出てこない。
寝たきりになった高齢者に「人工肛門」と「膀胱瘻」を作ってしまうと、問題は解決する。へその左右に、袋が一つずつつく形になる。
これをやると、肛門側からは何も出ないから、おむつ交換は理論上必要なくなる。 便とか尿が背中に漏れないから、シーツの交換頻度も減らせるし、お尻が便で汚染されないから、 床ずれも治りやすい。
介護の仕事は、食事の介助、体位交換、おむつ交換と便の始末がほとんど全てだから、 人工肛門を作った患者さんについては、食事の介助以外、ほとんど全ての作業が不要になる。 人的リソースが節約できるから、みんなが大好きな「人間らしい」仕事に、余力を割けるかもしれない。
これからは在宅介護が主流になるらしい。絶対無理だと思う。24時間、4時間おきに体位交換とおむつ交換とか、一人でそれをやり続けるのは無理だから。

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