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少年マルス 43

第四十三章 テーブル上の戦い

もはや勝敗は決していた。
残るグリセリード軍は、イルミナスの野の中央で泥に足を取られている千人そこそこだけであり、戦場にはグリセリード軍の屍が累々と横たわっていた。一つの戦闘で、一万人近くが死んだのは、この国の歴史始まって以来である。しかも、この戦闘でのアスカルファン軍側の死傷者は、千人にもならなかった。そのほとんどは、アドルフ大公の裏切りによるものであり、それがなければ、被害はずっと少なかっただろう。
戦場から逃走した兵士たちに取り残された者たちは、とうとうアスカルファンに降伏した。捕虜の数は、負傷者を含めて二千五百人ほどであり、この捕虜の数も記録的なものである。
バルミアに引き上げる国王軍とレント軍を、市民たちは、歓呼の声で迎えた。
帰還した軍の兵士の中にマルスを見つけたジーナは、駆け寄ろうとして、足を止めた。先に一人の美しい少女がマルスに駆け寄って抱きつき、マルスと祝福を交わしていたからである。
群集の中にジーナを見つけたマルスは、その側に急ぎ足で近づいた。
「ジーナ、無事だったんだね。お父さんやお母さんも無事かい」
「ええ。マルス、その方は?」
「オズモンドの妹のマチルダだ」
オズモンドも近づいてきて、ジーナに挨拶した。
マチルダとジーナは、一瞬互いを値踏みするように見たが、ジーナはマルスへの淡い思いを忘れようと、この瞬間に決心した。それは、マチルダの目の中にあるマルスへの強い愛情を認めたからであった。
「マチルダさん。初めまして。ジーナと言います」
「知ってますわ。マルスがお世話になった方ですよね」
「いいえ、こっちの方がマルスには世話になったのですわ。命の恩人なんです」
「その話は聞いてないな。まあ、道で立ち話もなんだ。皆、僕の家に行って、積もる話をゆっくりしようじゃないか」
オズモンドが話に割り込み、全員でローラン家に行くことになった。
その夜は、トリスターナやジョンも含めて、長い旅の話や戦争の話に花が咲き、戦の疲れも忘れ、夜が明けるまでマルスたちは笑ったり騒いだりして語り明かしたのであった。

一方、シャルル国王の宮廷でも祝勝会が開かれ、アンドレはレント代表としてそれに出席しなければならなかった。
その席上では早くも老練な貴族たちによって、戦の論功行賞の根回しが行われていたのである。貴族同士の仲間ぼめで、戦で大した働きもしていない誰それの働きが大げさに論じられ、マルスらの名前は少しも出てこなかった。
アンドレは業を煮やして、国王に向かって、今回の戦の一番の働きは、イルミナスの戦いの前に、敵に夜襲をかけて、敵の矢を燃やして敵の戦力を減らし、更に、アドルフ大公の裏切りで窮地に陥った国王軍を敵への奇襲で救ったマルスだ、と言ったが、王は
「しかし、マルスとやらは貴族ではないからなあ。貴族でないものを武勲第一にするわけにはいかんのだよ」
と言うだけであった。
アンドレはあまりの情けなさに涙がでそうなほどであった。
こんな連中のために、俺たちは命を賭けて戦ったのか……。
アンドレはこの不潔な連中と同席するのも嫌になって、無礼を承知で退席し、そのままローラン家に向かった。
アンドレと共に祝勝会に出ていたオーエンも彼に着いてきた。
「これからどうします、アンドレ」
「マルスたちの顔を見て、しばらく一休みしてから、一度レントに戻り、アルカードに帰ろう。グリセリード軍を破った今なら、スオミラの町をグリセリードから救えるかもしれない。レント国王が兵を貸してくれたらだが」
「そうですね。やっぱり俺たちにはスオミラが一番だ」
オーエンは嬉しそうに言った。
ローラン家に入ったアンドレは、そこにトリスターナがいるのを見ると、やにわにその手を握り、
「トリスターナさん、結婚してください」
と言った。
周囲の者たちはあきれ顔でそれを見ていた。
「あの、アンドレさん。これは何かのご冗談でしょうか」
トリスターナはぼうっとした顔で言った。
「いいえ、冗談ではありません。先ほどまで、獣たちの中にいたもので、今、美しく清らかなあなたを見て逆上したのですが、本気です。どうか僕と結婚してください」
「ちょっと待った」
オズモンドが二人の間に割って入った。
「この結婚は、トリスターナさんの後見人である僕が許さん」
「いつ君が彼女の後見人になった」
「彼女はこの屋敷で預かっている以上、僕が後見人だ。後見人として言わせてもらえば、彼女と結婚するには、少なくとも百万リム以上の資産を持ってないと駄目だ、彼女に貧しい不幸な暮らしをさせるわけにはいかん」
それくらいの金はある、と言いかけてアンドレは口をつぐんだ。アルカードはグリセリードに占領されており、今の彼は無一文同然なのであった。

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少年マルス 42

第四十二章 救援

「何と、アドルフが寝返ったと?」
シャルル国王は青ざめて、傍らのアンドレを見た。
「すぐに全軍に伝えて、救援を西に向かわせましょう。この知らせの真偽も確認しておきます」
アンドレは冷静に言って、副官を西に走らせた。
ほどなく副官は戻ってきて、アドルフの裏切りが真実である事を報告した。アドルフ軍はグリセリード軍の先頭に立って、西側の弓矢部隊や歩兵部隊を蹂躙しており、その被害はすでに数百人に上っているとのことである。
「ルルドのビアンコ公爵の軍は全滅です。アルプのジルベルト公爵の軍は敗走しました。間もなく、アドルフ公の騎馬隊がこの中央まで来るでしょう」
「何という事だ。この手に勝利を収めかけていたのに……」
国王は涙を流してうなだれた。
「まだ大丈夫です。ここには近衛兵百人がおりますし、私の部下も二十人います。しばらくは守れるでしょう。その間に、全兵力を西に向けて攻撃すれば、なんとかなります」
アンドレは王を励ました。そして、クアトロを呼んで言った。
「いいか、間もなく敵がここに現れる。その時はお前が王をお守りするのだぞ」
クアトロは、「分かった」と短く答えた。
彼は普通の鎖帷子を幾つもつないだ特製の鎖帷子を羽織り、その上に板金をつないだ急ごしらえの肩当と胸当てを着ている。そして、普通人の身長くらいある大剣を持っていた。この剣は、神殿の神像の飾りであったものを、ジョーイがクアトロにちょうどいいと言って王に願って持たせたもので、像の飾りだが、本物の剣である。クアトロはいいオモチャを貰ったと大喜びであった。

グリセリード軍は、西に突破口が出来たという知らせを受けて、全軍が西に移動し始めた。
アンドレは弓兵隊に指示して、戦場の中央に進出し、西に向けて矢を射掛けるように命令した。しかし、問題は、その移動が終わる前に、敵がアスカルファンの本陣まで攻め込んでくる可能性が高いことだった。そして、実際、間近に敵が迫る声がし始めていたのである。
シャルル国王は両手で顔を覆った。
だが、その時、敵の喚声の様子が変わった。
「何が起こったのだ?」
アンドレは再び副官を走らせた。
戻ってきた副官は、満面の笑みを浮かべていた。
「救援です。西の山から駆け下りてきた騎馬隊が、敵軍を散々に蹴散らしています」
報告を聞いて、アンドレは、マルスの軍だ、と直感した。
「国王、我々は助かりましたぞ。あれは、マルスと言って、アスカルファンの若者です。ここではまだ庶民ですが、レント国王から、騎士に叙せられた者です。おそらく、アスカルファン一の勇士でしょう」
「ほほう、そんな者がおったのか。いずれにしても、助けが来たのは有難い。だが、間に合うかのう」
「間に合わねば、我々は死にます」
言って、アンドレはにやっと笑った。

マルスたちの騎馬隊は、西の高台の急斜面から降りて、林の中からグリセリードの歩兵部隊の中に突入した。
 思いがけない所から現れた騎馬部隊に、グリセリードの兵士たちは逃げ惑い、戦う者は、騎馬兵の槍や剣で突き殺され、切り殺された。
 マルスたちはアスカルファンの本陣に入った敵軍を追って、中央部に馬を走らせた。
これまで優勢に攻撃していたグリセリード軍は、前方と後方から挟み撃ちされる形になり、一挙に不利な状況になった。
その間に、戦場の中央に進出したレントとアスカルファンの弓部隊は、グリセリード軍を弓の射程内に捉え、射撃を始めた。縦に長く伸びたグリセリード軍は、横から狙えば弓にとってこれほど狙いやすい的はなく、西側に進出したグリセリード軍は、あっという間に全滅した。残るのは、まだ湿地帯に残った千数百人である。

その間に、アドルフ大公の騎馬隊は、アスカルファンの本陣に入っていた。
国王の近衛隊が応戦したが、囲みを突破され、ついに国王の陣幕に敵の騎馬数頭が入った。
そこに待っていたのはクアトロであった。
彼は、大剣を横に薙いだ。先頭の馬は両方の前脚を切り飛ばされ、物凄い勢いで転倒した。上に乗っていた騎士は放り出されて気を失い、他の近衛兵の手で刺し殺される。
陣幕に入ってきた騎馬兵は、次々にクアトロの手で、馬を切断され、あるいは馬上にいるまま鎧ごと体を両断された。
国王も、アンドレも他の味方兵士たちも、クアトロのこの殺戮ぶりに呆然とするばかりである。
「国王、御無事ですか」
陣幕に入ってきたマルスをクアトロは誤って切ろうとしたが、アンドレが慌ててそれを止めた。彼は、彼には珍しく顔一杯に笑って言った。
「マルス、よく来てくれた。御蔭で助かったぞ!」

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少年マルス 41

第四十一章 決戦

マルスは、例によって自ら斥候として前方の様子を確認しに馬を走らせた。もともと軍馬ででもあったのか、それとも農業に使われていたからか、グレイは上陸以来の酷使にもよく耐えている。
適当なところで河を渡り、バルミアに近づく。アラスの丘を越えると間もなくイルミナスの野である。
見晴らしのいい高台にでると、北の方にグリセリード軍の姿が見えた。南には一面に柵を張り巡らせたアスカルファンの防御陣が見える。なおも注意してよく見ると、イルミナスの野の中央が周辺部の草の色に比べて一面に黒っぽい。湿地帯の特徴だ。おそらく、グリセリード軍が中央に進んできたら、泥に足を取られて苦しむだろう。
さらに、マルスの鋭い目は、イルミナスの野の東と西に隠れたアスカルファン軍の伏兵も捉えていた。野の中央を避けて東西に回った敵軍は、伏兵に遇うわけだ。
布陣は完璧だ、とマルスは思った。さすがにアンドレである。
これなら、マルスたちの騎馬隊は、無理に戦場に突入するよりも、戦機を見て、形勢の不利な場所を助けに向かった方がいい、とマルスは考えた。おそらく、敵の石弓部隊の矢は、それほどは続かないだろうから、矢による被害はそう多くはない。敵の歩兵部隊の中で、湿地帯を抜けて野の南側まで進む相手にはレントの弓矢部隊で十分に対抗できるだろうし、乾いた場所なら、アスカルファンの騎馬隊が敵の歩兵部隊より有利である。
だが、戦は何が起こるか分からない。いつでも不測事態に対応できるように、マルスの軍は備えておくのが一番である。
マルスは、急斜面になったこの高台の前方を見下ろした。角度はかなりあるが、馬で下りられないほどではない。木の生え方もまばらであり、馬で通り抜けて下りる事はできそうだ。おそらく、戦場からは、この斜面から馬が出てくるとは思えないだろうから、完全に視界の開けたグリセリード軍の背後、つまり北から近づくよりはかえって安全である。騎馬で近づく間に敵に矢を射掛けられたら、半分くらいは、敵に近づく前に死ぬだろう。
マルスはグレイの首を廻らせて、もと来た高台の西側から下りていった。

戦は正午に始まった。戦いの合図のラッパが響き渡り、双方の石弓部隊が互いに盛んに矢を射掛ける。
よく晴れた青空が暗くなるほどの矢の数である。アスカルファン軍の石弓も、飛距離でグリセリード軍に劣っていない。連射能力はむしろ勝っている。グリセリード軍は紐と歯車を使った巻き上げ機で石弓の弦を張っているのだが、ジョーイの考案した「引き棒」は、単純な一動作で弦が掛けられるので、数倍早いのである。しかも、掛ける役割の人間が何人もいる。弓兵が交互に弦を掛けているグリセリードの石弓部隊は実質的に半分しか稼動しておらず、数では劣勢のアスカルファン軍の弓部隊の方が、この射撃戦では相手を圧倒していた。敵の勝っている点は、矢の質だけである。急造のアスカルファンの太矢に比べ、念入りに作られたグリセリードの矢は、矢尻も矢羽も見事であった。
石弓による射撃戦は、およそ二時間続いた。だが、実際には、後半の一時間は、アスカルファン軍だけが一方的に矢を射掛けたのである。二十万本用意してあったグリセリード軍の矢は、マルスたちにその大半を焼き払われ、兵士がそれぞれ所持していた二十本程度ずつしか矢はなかった。
グリセリードのオロディン将軍は、最初は、兵士に命じ、こちらに飛んできたアスカルファンの矢を拾い集めさせて、それを射返させたが、いつまでもアスカルファンの矢が止まないので、しびれをきらし、歩兵部隊に敵の矢の雨の中を進撃するように命じた。
射撃戦の間に、グリセリード軍の死者と重傷者は二千人に上っていた。対照的に、アスカルファン軍の方は、防御塀に相手の矢のほとんどは防がれて、死傷者は僅かに数百人でしかなかったが、それでもまだグリセリード軍が数では上回っている。
オロディン将軍が突撃命令を下したことで、グリセリード軍の被害は急速に増えていった。それまで、まがりなりにも盾の陰に隠れて矢を避けることが出来たのが、遮るもののない野原を進んでいく兵士は、アスカルファンのいい的であった。
今はアスカルファン軍の石弓部隊も防御塀の前に出て、思うがままに敵に向かって射ることができた。
アンドレは、敵の矢があっという間に尽きたことに驚いていた。始めは、何かの罠かと思ったが、敵の歩兵部隊が進軍してきたことで、敵にはもう矢が無い事を確信した。
野原を進んでくるグリセリードの歩兵たちは、ぬかるみに足を取られ、アスカルファンの矢の前に、一人、また一人と倒れていく。
湿地帯をやっと抜けた兵士も、アスカルファンの矢の為に次々と倒れていく。アスカルファンの方も、石弓用の太矢はさすがに残り少ないが、通常の矢は無数にある。弓兵たちは、弓を換えて次々に矢を射る。慣れた弓の方が、かえって命中率は高い。
もはやアスカルファンの勝利は目前かと見えたその時、西の山の下から時ならぬ喚声が起こった。
「あれは?」
シャルル国王が側近に聞いた。
味方の報告を受けた側近が、「敵が西から侵入した模様です」と告げる。
「西はアドルフ大公が守っておるはずだが」
「アドルフ公が、敵に寝返ったとのことです」

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少年マルス 40

第四十章 決戦の前 

自宅に戻ったマチルダは、まず、トリスターナに一室を与えて、そこで休ませた。ジョンは執事の服装に戻り、
「やれやれ、この方がずっと気楽です。ずいぶん長い旅でしたなあ」
と、満足そうに溜め息をついた。
マチルダの両親は、マチルダを見て、涙を流して喜んだが、母のジョアンナは、オズモンドが一緒でないことを知ると、それがマチルダのせいででもあるかのように非難した。
「何であの子だけが戻ってこないの。あの子は戦争などできるような子じゃないのに」
わっと泣き伏す妻を、夫のローラン侯は、持て余したように慰めたが、こちらは可愛い娘が帰ってきただけでも満足であった。
熱い風呂に入って長旅の疲れを癒した後、トリスターナはローラン候と面会して、居場所を与えてくれたことを感謝した。
「ところで、オルランド家は、今、どのようになっているのでしょうか」
「確か、次男のアンリ殿が家督を相続して、結婚して子供も嫡出児だけでも五人いるそうだが。……アンリ殿も、この戦に従ってポラーノの戦いに出たようじゃが、どうなっておるかは分からんな。戦死者の中には入ってなかったと思うが。ところで、あんたはオルランド家の娘か。ずいぶん美しい方じゃな。わしが十年若かったら、放ってはおかんが」
「まあ、私はもう、とうが立ってますわ」
「いやいや、シャルル国王の后たちの中にも、あんたほどの者はおらん。あの女好きの国王には顔を見られんようにすることだな。はっはっはっ」

 バルミアの町は、敵の侵攻に備えて、慌しい。
ケインの店は、マルスの作ってあった弓や槍の在庫がすっかり売り切れてしまい、大儲けをしたが、物の価格も跳ね上がっており、今、一番高いのは食物だった。
「なあに、この戦が終わったら、物の値段は元通りになる。そうなれば、我々はしばらく左団扇で暮らせるぞ」
ケインは家族の者にはそう言っていたが、果たしてアスカルファンがグリセリードに勝てるのか、心許なかった。
「ところで、聞いた話だと、あのマルスが騎士の身分になったというぞ。この戦で大きな働きをしていると言うことだ」
実はケインのところには、マチルダが訪ねてきており、何か不自由があったらいつでもローラン家に援助を求めるようにと言われていた。ケインがその事を家族に言わなかったのは、マチルダを一目見た瞬間、彼女がマルスと恋仲であることが分かったからである。
(こんなきれいなお嬢様じゃあ、残念ながらうちのジーナは相手にならん。身分から言っても、マルスはもともと名家の血を引いているからな。ジーナがこのお嬢さんの事を知ったらどんなに悲しむだろう)
ジーナは、マルスが騎士になったという事を無邪気に喜んでいた。
「この戦争で、マルスが怪我しなければいいんだけど。いいえ、少しくらい怪我しても、生きて戻ってさえくれたら」
そう、ジーナは祈るように言った。
そうするうちに、いよいよグリセリード軍が、バルミアの北に近づいてきたと言う情報が流れた。
国王軍はアンドレの率いるレント軍と共に、バルミアの町を出発した。
何百頭もの軍馬の蹄の音がかつかつと町の道路の敷石に響く。その後には弓兵や歩兵の歩むザッザッという音が続く。武器を載せた荷車のガラガラと言う音もする。

アスカルファン軍は、イルミナスの野の南に陣取った。
南側一面に、木の板で作った防御塀を引き回し、弓兵はその陰から敵軍を射る予定だ。
防御塀には細い隙間があって、そこから覗いて弓を射ることができるが、敵の矢の大部分は、塀に当たって、遮られるはずである。さらに、イルミナスの野の中心は、三日前から、近くの川から水を引いて、湿原状にしてある。敵がこの湿原を越えてくるのは困難だろう。右と左に迂回する敵に対しては、それぞれ要所に伏兵を潜ませている。
だが、一番大きな新戦力は、市民である。
市民たちの中の男は皆、戦場の後方で、様々な支援活動を行うことになっている。たとえば、石弓のセットも、弓兵ではなく、市民たちが行い、次々に兵士に手渡していく。兵士はセットされた弓をどんどん射ればいいのである。これだと、飛躍的なスピードで、相手に矢を射掛けることができる。まさしく人海戦術である。市民たちは、戦場で負傷した兵士を後方に素早く運んで、女たちの治療を受けさせる役目もある。そして、いよいよとなれば、市民も武器を取って戦うだろう。これは市民全員の生命を賭けた戦いなのである。
こうした状況を見ても、ゲールのアドルフ大公はまだ、グリセリード軍の勝利を信じていた。彼にとっての問題は、いつ如何なるタイミングで味方を裏切るかであった。
彼は左翼の山の下を任されていた。弓の射撃戦が一段落し、歩兵や騎兵による肉弾戦が始まったら、ここから出て行って戦うのである。しかし、戦う相手はグリセリードではなく、アスカルファンになるだろう。その事は、すでに密使でもってグリセリード軍の総大将、オロディン将軍には伝えてある。その返事によれば、グリセリード軍が勝った暁には、アスカルファン支配の要職を、ポラーノのカルロスと共に与えられるはずである。
とうとう、グリセリード軍の姿がイルミナスの野に現れた。野の一端が埋め尽くされるような大軍勢である。見ていたバルミラの者たちは皆、さすがに恐怖で毛が逆立った。
アドルフは自分の軍勢五百人に向かって大声で言った。
「見ろ、あの軍勢を。あれに勝てると思うか。わしはお前らを無駄な負け戦で殺したくない。わしは、グリセリード軍に味方することに決めたぞ。よいな!」

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少年マルス 39

第三十九章 天才ジョーイ

マルスはバルミアに向けて急使を送り、戦果を伝えると共に、更に決戦の時にはグリセリード軍を背後から突くことを伝えた。
一方、バルミアに着いたアンドレは国王シャルルと会見し、レント国王からの親書を手渡して、援軍を申し出た。シャルル国王は非常に感謝し、レントとの永遠の友好を約束した。国王軍は、先のグリセリード軍への敗北のため、諸侯の兵を合わせても二千人に減っており、一万のグリセリード軍のバルミア侵攻を前に、滅亡を覚悟していたのだから、喜びは当然だった。
アンドレは、バルミアの住民に命じて、石弓の矢を作らせた。男たちは近くの山から木材を切って運び、それを割って細くした角材の角を女たちがナイフで削り、丸くして、矢羽と矢尻をつける。貴族や騎士を除く二万四千人の住民が、一日一人当たり二本作っただけで、二日で十万本近い矢が集まった。
問題は、弓の弦を張る機械である。人間の力で満足に弦を引けない石弓では、たとえこちらに何万本の矢があろうと、向こうに連射の速度で劣る。それに、もともと石弓部隊の数は向こうが圧倒的に多いのである。
思い余ったアンドレは、住民に告示した。
「石弓の弦を張り、引き金に掛ける良い方法を考えた者には一万リムの賞金を出す」
その告示が出てすぐに、一人の少年がアンドレの前に現れた。
ジョーイであった。
彼は、ポラーノが戦場になってすぐ、父親がポラーノ軍に武器職人として徴用されようとして、それを断ったために切り殺されたのを見て、使用人のクアトロと共にそこを逃げ出し、バルミアまで流離って来たのである。
「簡単な話じゃないか。こうしたらいい」
ジョーイが紙に書いて見せた図面を見て、アンドレは感嘆した。
それは、二本の棒の端を木ねじで留めてV字状にしただけのものであった。
アンドレはその図を見ただけで、それが使えることが分かった。何と単純な解答だろう。
「梃子の原理だな」
「そうさ。これなら、女でも石弓の弦が引けるぜ。ただし、弓に掛ける各部の長さを間違えると、使えないから、石弓の実物を見せな。ちゃんとした図面を引いてやる」
 ジョーイは、石弓を見て面白がった。
「へえ、ちゃんと見たのは初めてだが、こうなっていたのか。でも、形が今ひとつだな。この位置をこうすれば、もっと強力になる」
 ジョーイの設計図に従って、石弓が組み立て直され、弦を張る道具、それは単に「引き棒」と呼ばれたが、が大急ぎで作られた。もともと細い木材は大量に余っていたので、引き棒を作るには、何の手間も要らなかった。
「アンドレさん。ついでだけど、俺の子分のクアトロって黒人を、あんたの部下にしてくれんかね。あいつは、頭は悪いが、馬鹿力がある。鎧を着せて戦わせたら、一人で兵士十人分以上の働きはするぜ」
ジョーイが連れてきたクアトロを見て、アンドレはびっくりした。
背丈も横幅も普通人の二倍はある。確かに、大力がありそうだ。
「こいつは凄い男だな。よし、部下にする。ところで、君はずいぶん頭が良さそうだ。君も僕の家来にならんか」
アンドレはジョーイに向かって言った。
「俺は、人の家来になるのはいやだ。だけど、今は戦だから、グリセリードを倒すまでは家来になってもいいぞ。でも、俺は力は無いから、戦場に出て戦うのは無しだぞ」
「もちろんだ。僕も同じさ。僕たちは頭で戦う人間だ」
アンドレはジョーイと握手した。
こうして、アンドレらが敵を迎え撃つ準備を進めている間に、マルスらは河に沿って南下し、バルミアに向かった。同じく河の向こう側では、グリセリード軍もバルミアに進んでいるはずである。
だが、この時マルスたちは知らなかったが、マルスがアンドレに送った急使は、途中で、国王軍に加わっているゲールのアドルフ大公の兵士に捕まって、その前に連れて行かれていた。
使者は大公に必死で訴えた。
「私は、アスカルファンの救出の為にレントから来た者です。国王への伝言で参るのです」
「何の用で、バルミアに向かうのだ」
「それは国王にしか申せません」
「ならば、ここは通さぬ。怪しい者をバルミアに入れるわけにはいかんからな」
使者は迷った末、人払いを願って、マルスからのアンドレへの伝言を話した。
「その話が本当かどうか分からぬでは、そちを行かせるわけにはいかん。もし本当なら、わしから王やアンドレとやらには伝えておこう。この者を捕らえておけ」
使者が縛られたまま連れて行かれると、大公は考えに耽った。
 もともと、この戦いに勝ち目は無いと彼は考えていた。なにせ、相手は東側世界をほとんど統一している超大国である。今回送ってきた軍勢は、グリセリード軍の、ほんの一部だろう。たとえ奇跡的にこの戦いに勝ったとしても、次にはもっと多くの軍勢を送ってくる可能性もある。そうなれば、アスカルファンは滅亡し、グリセリードの支配下に置かれることになる。
彼はポラーノのカルロスからの申し出の事を考えた。あの時は、グリセリード軍が山を越えてやってくるかどうか半信半疑だったので、返事をしなかったのだが、その言葉どおりにグリセリード軍はやってきた。今の使者の話が本当なら、グリセリード軍は矢の大半を失って、戦力を落としているということだから、そこに味方を申し出れば、恩を売るいい機会というものかもしれない。……アドルフは、にやりと笑った。

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少年マルス 38

第三十八章 アラスの夜襲

マサリアはアスカルファンの西北端の郡である。
マルスたちは船からマサリアに上陸し、馬に乗った。ここからはほとんどずっと馬に乗り詰めになるはずである。あまり馬に乗りなれていないオーエンには過酷な行程になるが、バルミアを敵の手から救うにはそれしかない。二百人の騎部隊は、普通なら咎められるはずの関所をほとんど何の誰何もなく走り抜けた。マサリアのデュトワ伯は国王軍に加わっており、その軍勢もほとんどバルミアにいるからだ。
疾風のように馬を走らせて、やがてマサリアの東の端、ポラーノとの境界に来た。ここには大河があり、ここを越えれば、まもなくグリセリード軍と出会うはずである。
マルスはここでいったん、兵士たちを休ませ、自分はオズモンドと二人で河を越えて、前方の情勢を探りに行くことにした。体は疲れているが、今のうちにしておかないと、機会を失うからである。
やがて、ある丘の上から見渡したマルスは、その超人的な視力で、地平の端の砂塵を捉えた。軍隊の行進の徴である。
「あそこは?」
マルスが指差すところを見たオズモンドは、
「アラス平野だ」
と言った。
 マルスは、手元の地図を見て、敵の位置を確認した。今の時刻から見て、敵は現在位置からそう進んでない所で宿営するだろう。
 マルスは空を見上げた。空は曇りはじめており、西の方から雨雲が広がってきている。もしかしたら、雨が降り始めるかもしれない。これは吉兆だった。もしも雨が降れば、雨音で騎馬の足音が隠せる上に、騎馬の姿そのものも、ある程度隠れるからである。 
 味方のところへ戻る途中で、マルスは一軒の農家に入って、獣脂の灯油を一樽買い込んだ。
「何にするんだ?」
「これがアスカルファンを救うのさ」
オズモンドの問いに、マルスには珍しく、答えをはぐらかす。
オズモンドの好奇心はそれほど長くは待たされなかった。
味方の陣営に戻ったマルスは、兵士たちに言った
「今夜、グリセリード軍に夜襲をかける。だが、狙うのは、敵兵ではない。もちろん、殺せる相手はどんどん殺していい。しかし、一番の狙いは、敵軍の弓と矢だ。敵軍は、戦に使う矢を車で運んでいるはずだ。その矢に火をかけて、燃やすのが、今夜の夜襲の目的なのだ。だから、矢が燃えている間、敵に火を消させないことが一番大事なんだ。分かったか。この作戦が成功すれば、敵の石弓部隊は、まったく使えなくなる。そうなれば、戦はこちらにとってぐんと有利になるんだ。いいか、敵の兵士を何人殺すよりも、大将を討ち取るよりも、相手の弓と矢を燃やすことが、大きな手柄なんだぞ」
一人の兵士が手を挙げて聞いた。
「ほかの物も燃やしたほうがいいのかね。槍とか、盾とか」
「いい質問だ。何でもいい、敵の武器を燃やせば燃やすほどいいんだ。分かったな」
兵士たちは、分かった、と大声で答えた。
マルスは、綱を短く切った物を灯油の樽に漬けて、それを兵士のうち十人ほどに持たせた。そのほか、念のために乾いた麦わらを皮袋に入れたものも持たせる。
マルスたちは夕闇が迫り始めた中、出発した。川沿いにさらに北に進み、薄暗い夕日が雲の後ろに沈む頃、河を渡ってグリセリード軍の夜営地に向かって馬を走らせた。その頃から、雨がぽつぽつと降り始め、やがてそれは大粒の雨になった。
「天は我々に味方しているぞ。この雨で、奇襲は成功する!」
味方の気勢を揚げるために、マルスは叫んだ。
グリセリード軍の歩哨は、マルスの想像どおり、雨の音と、視界の悪さのために、陣営の真っ只中にマルスたちが駆け込んでくるまで、その接近に気が付かなかった。しかも、マルスたちは闇の中を進んで来たため、闇に目がなれているのに、寝入っていたグリセリード軍は、闇に目が慣れるまで時間がかかり、その間に何人もの兵士が殺されていった。
大混乱の中で、マルスの騎馬隊は、慌てふためく敵の兵士たちを倒していったが、その騒ぎの一方で、背後からこっそり武器輸送の荷車に近づいた一隊は、警護の兵士を槍で倒した後、荷車の中の矢の束に、火のついたロープを投げ込んで歩いた。雨を避けるために粗布の覆いがしてあったことがグリセリード軍に災いし、覆いの布が燃え上がるまで、彼らは矢に火が放たれたことに全く気づかなかった。気づいた時には、矢の大半は失われており、燃え残りは僅かに一万数千本にしか過ぎなかったのである。
矢に火をつけた事を確認し、それが十分に燃えたことを確信して、マルスは騎馬隊に引き上げの合図をした。
グリセリード軍は、その後を追ったが、僅かな馬しか持っていず、しかも夜の闇の中では、マルスたちに追いつくのは不可能だった。
安全な場所まで逃げ延びた後、味方の被害を数えたところ、行方不明が二人、負傷者は重傷が三名、軽傷は十五名いたが、死んだ者はいなかった。行方不明の二人も、闇の中ではぐれただけであり、ずっと後になって、その生存は確認されたのである。一方、敵の被害は、死者が百三十名、負傷者が二百名、燃やされた矢が十二万本、弓、槍、盾などが何百丁と燃やされており、この夜の奇襲だけで、明らかに実質的に戦力の何割か、おそらく五割近くを失ったのであった。このことの意味は、後でこの事を知ったアンドレには良く分かったが、一般の兵士は自分たちがどんなに大きな手柄を立てたのか、あまり良く分かっていなかった。だから、自分たちが働くのはこれからだと、まだまだ張り切っていたのである。

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少年マルス 37

第三十七章 不利な戦況

「その石弓という奴は、つまり、マルスさんが何千人もいるようなもんですかね」
ジョンがオズモンドに言った。
「実物を見ていないから何とも言えんが、石弓は連射が利かんというから、その点ではマルスにかなわんようだが、人数が多いと、マルスを何千人も集めたのと同じかもしれん」
オズモンドが言ったのを、アンドレが補足した。
「正確さと言う点でもマルスには及ばないだろうな。ただ、距離と威力はマルス並みだということだ。とにかく、これで戦いがやりにくくなってきたのは確かだ」
「その石弓というものを手に入れることはできんかな」
マルスが考え込んだ後で、言った。
「手に入れるまでもない。昔、書物で見たことがある。その頃は戦などに興味は無かったから存在を忘れていたが、仕組みは覚えているから作らせることは出来る。だが、弓兵に今から石弓を訓練する時間はないぞ」
「大丈夫だ。慣れた弓兵なら、弓が変わっても、すぐに使いこなせるはずだ。それに、アンドレの下の弓隊隊長はエドモンドだろう。彼なら、石弓向きだ。彼に指導させればいい」
 すぐさまアンドレは図面を引き、近くの木を切ってこさせて、マルスに石弓を作って貰った。作られた物は、確かに弦さえ引ければ、通常の弓よりも威力のある矢が飛ばせそうではあったが、弦を引くのに男二人がかりで四、五分かかり、弓兵たちは不満を言った。セットにこんなに時間がかかったのでは、弓を引くリズムが失われ、当たらなくなる、ということであった。
「まだ、この石弓は完成品ではない。もっと威力があるはずだ。それに、弦を引くための機械がどうしても必要だ。そいつがどんな仕組みのものかが分からん」
アンドレには珍しく、行き詰まったようである。
「とにかく、石弓を兵数の五倍作っておこう。それに、おそらく、この石弓で飛ばす矢は、普通の矢とは違うはずだ。もっと太い矢でないと、石弓の威力に負けて、矢が空中で跳ねながら飛んでしまい、的に当たらんだろう。これくらいの太矢を沢山作らせとこう」
マルスはアンドレにそう言い、兵士を総動員して、石弓と太矢を大量に作らせた。
とりあえず戦場に行き着くまでに船の中で組み立てられるように、石弓の木の部品だけを大量に作っておいたのである。材料が、木しかないので、引き金部分なども、穴にはめ込んだ木の小片を紐で縛っただけの単純な構造のものである。
翌日、マルスはオズモンド、オーエンと共に騎兵二百五十人を率いて北に向けて船を出した。マサリアに上陸した後は、馬に乗りつづけの強行軍になるので、マチルダとトリスターナはジョンと共にアンドレに預け、バルミアに送り届けて貰うことになった。
マチルダやトリスターナは、マルスやオズモンドと離れ離れになる事を悲しんだ。しかし、この場合、それしか方法はない。
「マルス、絶対に死なないでね。必ず、バルミアに来るのよ」
マチルダは、今は慎みも忘れて、マルスにしがみついた。
「大丈夫だ。そっちこそ気をつけて」
浜辺で手を振って見送るマチルダとトリスターナの姿が見えなくなるまで、マルスはその方角をずっと見ていた。
二人の姿が見えなくなると、マルスは二人の事を無理に頭から追い払って、戦いの構想に集中した。
マルスは騎兵隊の全員を連れているが、戦場で正面から敵の石弓隊にぶつかったら全滅するだけだろう。
マルスは地図を広げて、イルミナスの野の周囲の地形を眺めて考え込んだ。北から来るグリセリード軍はおそらく、南に布陣するアスカルファン軍と正面から対峙するだろう。西には小高い山があり、西から向かうマルスたちは、通常ならそこを避けて北から回ってグリセリード軍の背後を突くことになる。しかし、北は広く開けており、マルスたちの接近は一目瞭然である。接近する間に、反転した石弓隊に矢を射かけられることは、ほぼ確実だろう。
方法は二つ。一つは夜襲であり、もう一つは西の山越えの奇襲である。夜闇の中で不意打ちを受ければ、敵の石弓隊は、ほとんど応戦できない。敵の真っ只中に飛び込むには勇気が要るが、効果は確実だ。しかし、敵も常に夜襲に備えて警戒しているだろう。
アンドレは、マルスたちの方がアンドレらよりも到着は遅れると見ていたが、マルスは、必ずしもそうではない、と考えた。確かに、騎馬による一日の通常の行程を少し早めた程度なら、アンドレの言うとおりだが、もっと早く行くことは可能である。それは、イルミナスの野ではなく、北方のグリセリード軍に真っ直ぐ向かって進んでいくことである。アンドレは、西から来たマルスの軍は、イルミナスの西の山を迂回して北に回り、グリセリード軍を追う形で南下してその背後を突くと想定している。だが、真っ直ぐ北東に進めば、逆にアンドレらの軍より二日前にグリセリード軍にぶつかるのである。そこで夜襲をかけることができたら、戦況を有利に運ぶことができるだろう。
もちろん、これはアンドレが想定していない作戦であり、いや、想定していたかもしれないが、あまりに危険なのでマルスに言わなかったのかもしれないが、とにかく独断専行であり、失敗したら戦の全体を崩壊させかねない危険性はある。しかし、いずれにしても、このままではアスカルファン軍の勝ち目がほとんどないことも確かである。
マルスは心を決めた。
「我々は、真っ直ぐにグリセリード軍に向かって進み、アンドレらやアスカルファンの主力軍に先駆けて敵を奇襲する。それによってのみ、この戦は勝てるのだ」
マルスが兵士たちにそう告げると、兵士たちは、
「マルス様がそう言うのなら、それが一番なんでしょう。一丁やりましょう」
と答え、互いに大声で気勢をあげた。

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