第11章 エイハブ船長
船はしばらくは厳冬の海を進んでいったが、南に向かうに連れて天気も和らぎ、風は冷たいものの、暖かな太陽が顔を覗かせるようになってきた。
ある日、私が午前の当直に甲板に上がり、船尾に目をやった瞬間、私は何か前兆めいた戦慄を体に感じた。確かに、私は、それを見る前に感じていたのである。
エイハブ船長が後甲板に立っていた。
背が高く、老年ながら筋骨たくましいその体は、ベンベヌート・チェリーニのペルセウス像さながら、他人を寄せ付けない厳しい雰囲気は、荒野を歩むリア王さながらである。
彼の灰色の頭髪からは、溶けた鉛が流れたような一本の白い傷跡が顔を縦に走り、首筋を通って服の中に消えている。まるで、雷に打たれた巨木である。
彼の片足は象牙か鯨骨で作られたらしい義足だったが、彼はその骨の棒を、後甲板に掘られた穴に差し込んで、波に揺れる船の動きから身を守っていた。
やがて彼は自分の船室に姿を消したが、この日以来、彼はしばしば人前に姿を現すようになった。
船はしばらくは厳冬の海を進んでいったが、南に向かうに連れて天気も和らぎ、風は冷たいものの、暖かな太陽が顔を覗かせるようになってきた。
ある日、私が午前の当直に甲板に上がり、船尾に目をやった瞬間、私は何か前兆めいた戦慄を体に感じた。確かに、私は、それを見る前に感じていたのである。
エイハブ船長が後甲板に立っていた。
背が高く、老年ながら筋骨たくましいその体は、ベンベヌート・チェリーニのペルセウス像さながら、他人を寄せ付けない厳しい雰囲気は、荒野を歩むリア王さながらである。
彼の灰色の頭髪からは、溶けた鉛が流れたような一本の白い傷跡が顔を縦に走り、首筋を通って服の中に消えている。まるで、雷に打たれた巨木である。
彼の片足は象牙か鯨骨で作られたらしい義足だったが、彼はその骨の棒を、後甲板に掘られた穴に差し込んで、波に揺れる船の動きから身を守っていた。
やがて彼は自分の船室に姿を消したが、この日以来、彼はしばしば人前に姿を現すようになった。
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