ブロウシュコフ博士は、このバクテリアのヒト血液細胞への適用のさらなる研究をおこなうために、助成金を申請しているという。
がすべてを語っている、という気もする(笑)が、世の中には「嘘から出た真」ということもある。少なくとも、この記事の中には、今後の科学が目指すべき方向についてのヒントが幾つも出ていて、それだけでも貴重だ。ただし、「不老不死」は、その中でも一番疑わしいもので、あまりそれには拘らないほうがいいかと思う。
何しろ、氷や琥珀の中で350万年生き延びたバクテリアだかウィルス(バチルス)だかならば、その外部でも350万年生きていただろう。それがなぜ今まで知られていなかったのか。まあ、「酸素にさらされなかったから生きられた」という説も考えられるが、それなら、それを酸素内の環境で活用できるのかどうか。
それはともかく、私が興味を持ったことの一つは、このウィルス(バクテリア)が石油を分解する、と書かれた部分で、
もう一つの可能性として、バクテリアを与えた生物を水に返すことで、「石油の分子を破壊することができる生物」を開発できるかもしれないと科学者たちは述べる。
これは、海に流出した石油などを、新しい生物によって、短時間で除去する新しいシステムの構築を意味する。この古代のバクテリアの株は、セルロース分子を除去することが可能なのだ。
と書かれていることだ。「あっ、石油分子とセルロース分子は同じなのか」と思ったのである。そうなのかどうか、私には分からないが、石油は太古の生物の屍骸が地中の高温高圧の環境化で変化したものだ、というのが一般的な理解だと思う。その生物とは植物(植物プランクトンだとも言う。それだとセルロースは含まれているのかどうかは私には分からない。)がほとんどであるならば、石油と植物はどちらもセルロース分子を基本としているいうのもおかしくはないだろう。
逆に言えば、植物(作物の不要部分や雑草や雑木)を高温高圧で処理すれば石油に変えることも可能だ、ということだろう。いや、実際、それは可能だ、とどこかで聞いた気もする。ただ、それに要する費用とそれで作れる石油との採算が合わない、というだけのことではないか。
石油の利点は、言うまでもなく、それが液体である、という点だ。それによって、輸送機関などでの利用が容易になる。植物から石油を作るという技術は、たとえばそれに要するエネルギーを太陽熱、あるいは太陽光などの「基本的にタダの」エネルギーにすることで得れば、「太陽→植物生成→石油」というサイクルでほぼ永遠に石油が使えるのではないか。まあ、太陽熱や太陽光の発電を自動車などでも利用できるようにすれば、それでもいいのだが。
なお、人間の体にも繊維(セルロース)が発生することもあると近しい医者から聞いたことがある。動物と植物は、発生的にまったく無関係のものではないようだ。
(以下引用)
Russian scientists make progress on secret of eternal life
Siberian Times 2015.09.16
ロシア人科学者たちが「永遠の命」の秘密を進展させている
永久凍土で見つかった「 350万歳」のバクテリアが、老いた雌マウスに繁殖させることを可能にしたという「科学的衝撃」
科学者たちは、古代の永久凍土から発見されたバクテリアの DNA を解析し、現在、その異常に長い寿命を提供する遺伝子を理解しようとしている。
そのバクテリアは、バチルスF( Bacillus F )と名づけられている。
バチルスF
この研究では、生きている生物に、これまで説明不能だった影響を与えることについても同時に調べられている。
具体的には、ヒトの血液細胞、マウス、ショウジョウバエ、そして、作物に適用することで、細胞を活性化し、寿命を延ばす研究が含まれているのだ。
チュメニ科学センター( Tyumen Scientific Centre )の主任研究員であるセルゲイ・ペトロフ教授( Professor Sergey Petrov )は以下のように述べる。
「これらすべての実験で、バチルスFは成長を刺激し、免疫システムを強化しました。そして、ヒトの赤血球と白血球に対しての実験に関しても、非常に良い結果が得られたのです」
このバクテリアは 2009年に、シベリアのサハ共和国にあるマンモス・マウンテンと呼ばれる場所の永久凍土で、モスクワ大学 凍結地質学( Geocryology )の学部長教授であるアナトリ・ブロウシュコフ博士( Dr Anatoli Brouchkov )によって発見された。
同様のバクテリアは、シベリアの科学者、ウラジミール・レーピン( Vladimir Repin )氏によっても発見されている。レーピン氏は、このバクテリアを、永久凍土の中のマンモスの脳の中から発見した。
ブロウシュコフ博士は以下のように語る。
「私たちは、マウスやショウジョウバエの多くの実験を行ないました。そして、私たちは、このバクテリアの、彼らに対しての、寿命と生殖能力への持続的な影響を見出したのです」
「しかし、なぜ、このバクテリアがそのように機能するのかについては、正確にはまだわかっていないのです。とはいっても、作用のメカニズムはわからなくとも、その影響は現実であることは実験が示しています」
ヤクーツクの疫学の専門家ヴィクトル・チェルニャブスキー博士( Dr Viktor Chernyavsky )は、この発見を称して、「科学的な衝撃」、そして、「不老不死への手がかり」として、以下のように述べた。
「このバクテリアは、実験動物の免疫状態を活性化し、その生命の全体に生物学的に活性させる物質を提供するのです。その結果、年老いたおばあちゃんマウスが、忙しく動き始め、そして何と、再び繁殖を始めたのです」
「同じ物質を人間に与えた場合、それはその人の健康に有意な改善を引き起こす可能性があり、これは『永遠の命』への手がかりにつながる発見かもしれません」
現在、永久凍土で見つかった三つの異なる株のバクテリアで、生物の生命の若返りについて研究が続けられている。
もう一つの可能性として、バクテリアを与えた生物を水に返すことで、「石油の分子を破壊することができる生物」を開発できるかもしれないと科学者たちは述べる。
これは、海に流出した石油などを、新しい生物によって、短時間で除去する新しいシステムの構築を意味する。この古代のバクテリアの株は、セルロース分子を除去することが可能なのだ。
ブロウシュコフ博士は、シベリアン・タイムズ紙に以下のように語った。
「より重要なこととして、私たちはすでにこのバクテリア、バチルスFの DNA の解析を完了しているということなのです。私たちは、遺伝子の順序を完全に復元したのです」
「この DNA の研究に関しては、数年間、継続的に続けられたものでしたが、昨年末で完了しました」
「そして今、私たちは、最も複雑な課題に直面しています。それは、長寿を提供している遺伝子を見つけるための試みです。どこかのタンパク質が DNA を損傷から保護しているのですが、それを特定したいのです」
「私たちは、このバクテリアの、ゲノムの保護の仕組み、遺伝子の機能を理解したいのです」
「重要な問題は、このバクテリアの、活力と長寿を提供しているものが何なのかを突き止めることです。しかし、たとえば、人間のガンに対しての遺伝子の反応が、非常に複雑で巨大なメカニズムであるように、このバクテリアの仕組みもまた同じように複雑なのです」
この遺伝子の特定の研究は技術的に困難を伴う、と博士は言った。
博士は、このバクテリアが、シベリア永久凍土の下に何百万年も生存していたことも明らかにした。
「バクテリアの正確な年齢を述べるために、私たちは永久凍土の岩の年月を調べる必要がありましたが、これがそう簡単ではありません」と博士は述べる。
「何しろ、永久凍土の年代を正確に測定する方法は、現在でもないのです。しかし、私たちには、それがかなり古いことを信じる固い理由があるのです」
「東シベリアは、今でも暖かい場所ではないですが、350万年前も寒かった場所でした。そして、それは現在とほぼ同じ気温モードだったと思われます。そのことから、私たちは、この永久凍土が 350万年前に形成されたと確信しています」
「このバクテリアは、外の世界から隔離され、氷の中に閉じ込められていたので、私たちは、このバクテリアが、そのような長い時間、永久凍土の中に保持されていたと確信していいるのです。しかし、私たちは、なお、そのことを証明するために取り組んでいます」
このバクテリアは、他の極限環境でも発見されていることを博士は述べる。
「このバクテリアは、琥珀の中でも発見されており、また、岩塩の中でも発見されていますが、この岩塩が生成されたのは5億年前と考えられているのです。そのようなものの中にこのバクテリアがいたのです」
そして、博士は以下のように主張した。
「永遠の命を持つバクテリア、そして、不死の生き物は、この世界に存在します。彼らは、その遺伝子を自分自身を守ることができるメカニズムを持ち、それによって、彼らは死ぬことができないのです。私たち人間は、細胞の損傷を自ら守ることはできませんが、これらのバクテリアの細胞は、自分自身を保護することができるのです」
「この、老化からの細胞の保護のメカニズムを見つけ出すことは素晴らしいことだと考えています。そして、私たち自身が、細胞の損傷と老化と戦うために、それらを使用するのです」
「老化は人類の大きな謎ですが、私たちはそれを解決するために研究し続けなければならないのです。そして今、私たちは、古代のバクテリアから、その鍵を見いだせるかもしれないのです」
同時に、博士は、この発見の重要性について、説得力のある説明が必要があることを認めている。
「それについての議論は続いています。このバクテリアが本当は古いものではないと考える懐疑論者もたくさんいます」
「私たちの研究は世界的に始まったばかりです。最初の科学的な研究は、約 10年前に登場し、それが研究の第一段階でした。私たちは、この人間の不老不死の研究を、より多くの人が始める必要があると考えていますが、現時点では私たちのような研究をしている科学者は多くありません」
研究は、西シベリアのチュメニで進行している。
これまで、博士は、このバクテリアを、カイアシ類、マウス、作物やヒト血液細胞に対しての実験を行ったという。
博士は述べる。
「これらのすべての実験で、パチルスFは成長を刺激し、免疫システムを強化しました。ヒト赤血球と白血球への実験もまた非常に希望的なものでした」
「今、私たちは作物を用いた実験に焦点を当てています。このバクテリアは、作物の成長を刺激し、生産性を向上させます。今年は、実験室での研究を完了し、屋外での試験に移行しました」
「種を、このバクテリアの培養物を含む溶液に入れてから蒔くのですが、研究室では、非常に良い結果を得ました。このバクテリアは、作物の成長を刺激し、また、霜への抵抗力を増加させます。また、この種は、温度 5℃でも発芽したのです。このように、霜に強く、低い気温で発芽する作物は、私たちのシベリアのような苛酷な環境では非常に重要です」
また、博士が明らかにしたところでは、このバクテリアは、光合成を促進させるという。
「これは、日照の少ないシベリア北部地域などでは、非常に重要なことです。現時点では、確かに、この作物に対しての代謝作用のメカニズムを正確に説明することはできません。なので、このバクテリアの影響を理解するための生化学的研究を続けているのです。そして、研究室での実験では、このバクテリアの植物成長促進作用は非常に有望だと思っています」
ブロウシュコフ博士は、このバクテリアのヒト血液細胞への適用のさらなる研究をおこなうために、助成金を申請しているという。