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「サピエンス全史」と「ホモ全史」

女房が「サピエンス全史」というベストセラーを買ってきてあるのだが、中身は読んでいない。表紙の折り返し部分に書かれた簡単な内容説明を読めば、内容の大筋は分かるし、あちらの学者や作家は無意味に長大な本を書く傾向があるので、読むまでもないという判断だ。
ちなみに、折り返しに書かれたのは、こういう文章だ。これだけでも長すぎるが我慢して引き写す。

「アフリカでほそぼそと暮らしていたホモ・サピエンスが、食物連鎖の頂点に立ち、文明を築いたのはなぜか。その答えを解く鍵は「虚構」にある。
我々が当たり前のように信じている国家や国民、企業や法律、さらには人権や平等といった考えまでもが虚構であり、虚構こそが見知らぬ人同士が協力することを可能にしたのだ。
やがて人類は農耕を始めたが、農業革命は狩猟採集生活よりも苛酷な生活を人類に強いた、史上最大の詐欺だった。
そして歴史は統一へと向かう。その原動力のひとつが究極の虚構であり、最も効率的な相互信頼の制度である貨幣だった。
なぜ我々はこのような世界に生きているのかを読み解く、記念碑的名著!」


「はい、全部知ってました」と言いたくなる人が多いのではないか。ただし、私に関して言えば、農業を「史上最大の詐欺だった」と断言するのはなかなか大胆だな、と感心した。とは言っても、縄文時代の世界では人間対人間の闘争の形跡がほとんど無い、ということは知っていて、稲作による財産の蓄積とその結果としての奪い合い(闘争)が生じるのは弥生時代になってからだ、というのは古代日本史の常識だろう。定地居住者である農民への牧畜者の略奪文化でもある牧畜(これはカウボーイと農民の対立を描いたウィラム・ワイラーの「西部の男」を見ればよく分かる。)は日本では発達しなかったわけだ。つまり、上記の「農業革命は狩猟採集生活よりも苛酷な生活を人類に強いた」というのは日本人の歴史家こそが最初に言うべきアイデアだったのである。その「農業革命」は安定的な食生活をもたらした半面、財産蓄積による社会の階級化、特に「働かない階級」を生み出したのである。
で、私が疑問に思ったのは「なぜ『ホモ・サピエンス全史』ではなく『サピエンス全史』という書名にしたのか」ということで、念のために調べると「ホモ・サピエンス」は「賢い人」の意味のラテン語で、「サピエンス」だけでも人類の意味にも使われるが、本来は「サピエンス」が「賢い」の意味で、「ホモ」が「人」の意味であるようだ。つまり「サピエンス全史」は「賢い全史」というアホなタイトルだということになる。では「ホモ全史」としたらどうか。言うまでもなく「ホモにあらずんば人間にあらず」となって、これも困るわけだwww


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酔生夢人
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空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
それだけで人生は生きるに値します。

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