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坤為地六爻(上六)と明治六年の政変

高島易断を解説した某サイトから転載。
私は高島易断については半信半疑なのだが、この易例の解釈は見事である。もちろん、自己宣伝のための虚偽である可能性も無いではないだろうが、書かれたことが事実なら、神秘的ですらある。

(以下引用)

上六
上六、龍野于戰、其血玄黄。
○上六(じょうりく)、龍(りゅう)野(や)に戦(たたか)う。其(そ)の血(ち)玄黄(げんこう)なり。
坤の君子が勢い余って龍のように振る舞えば、乾の君子が黙っていない。「坤(陰)が乾(陽)の役割を果たすことはまかりならぬ」と、乾の龍と坤の龍が決闘する。(陽の)黒い血と(陰の)黄色い血を流して、共に傷付くしかない。
象曰、龍野于戰、其道窮也。
○龍(りゅう)野(や)に戦うは、其(そ)の道(みち)窮(きわ)まればなり。
乾の龍と坤の龍が決闘するのは、坤の道も、乾の道も、共に行き詰まったのである。
(占)私利私欲をどん欲に追求し、人に被害を与え、自分もまたブーメランのように被害を蒙る時。自らの心を省みて私利私欲を取り去って柔順な心を養うべし。
血氣盛んで、直ぐに人と争う時でもある。自分の本分を守って、他から攻撃されても、争いを避けて応じてはならない。以上のように謹慎すれば、被害を免れることができるかもしれない。
○小人が善からぬ事(不善)を企てる時。
○相手も自分も共に傷付く時。
(占例)明治六年政府の氣運を占筮したところ、坤の上爻を得た。
易斷は次のような判断であった。
坤の卦は全て陰爻で陽爻は一つもない。君子の德を全く具えていない時でもある。今の政府は、多くの聖人君子が登場し、俊傑の人物が地位を得て、政務に参加している。それなのに、この卦爻が出たのは、誠に不思議なことである。
公の地位にある人々が国家を憂い、篤い忠誠の心から大事業に臨んで、威厳を隠さない(つまり、慎みが足りない)ところに、その要因があるのだろうか。
「龍(りゅう)野(や)に戦(たたか)う。坤の君子が勢い余って龍のように振る舞えば、乾の君子が黙っていない。「坤(陰)が乾(陽)の役割を果たすことはまかりならぬ」と、乾の龍と坤の龍が決闘する」とは、今の大臣や参議は、みな豪傑の才能を持つ非凡で卓越した人々ゆえ、まるで龍のように立派だが、国家の大事を論争して、意見が衝突し、互いに血で血を争うような事態に陥っていることを云う。
自分が何かを欲しても、思うようにならないのが人生の常。
それゆえ、お互い譲り合うことが大切である。
英雄豪傑が集まって、国家の大事を議論する時は、自分の意見が通らないからといって、憤慨や激怒してはならない。
占筮して、この卦爻が出たのは、大臣や参議が国家を憂う気持ちが深く、自分の意見が通らないことを憤る余り国家の体制を内側から崩し、外国から嘲笑され、国家の大黒柱と称せられながら、大衆から見放されつつあることに気付いていないのである。実に嘆かわしいことである。
そこで、この占筮の結果を三條公に伝えた。
明治維新という偉業を成し遂げた後、大臣や参議が欧米各国を視察して、近代国家としての日本の体制を定めるため、岩倉右大臣以下、木戸、大久保、伊藤、山縣という要人が欧米へ出発した。
視察に出た要人も国内に残った要人も、国家のために辛苦して日本の近代化を実現しようとしている。そこで、視察団が帰国するまでは、新しいことは行なわず、また、視察団の独断で欧米政府と条約を結ばないことを誓った。
しかし、視察団が帰国しない間、日本海軍(雲揚艦)が朝鮮国の仁川港(じんせんこう)を測量中、朝鮮国から砲撃されたことで、政府の議論が活発となり、このような国辱的な事件に対抗するため、一戦を交える(征韓論)と決定した旨、視察団に電信したところ、大久保公が帰国して制止しようとした。
だが、西郷を始めとする要人はこれに従わず、議論は激高し、岩倉右大臣以下視察団の要人も帰国した。
征韓論の可否は国家を二分する大議論となり、征韓論支持派が敗北して政府を去ることになった。
その後、明治七年に佐賀の変、同九年に長州の乱が起こった。
同十年には鹿児島の役が勃発して、(明治維新を推進してきた大久保と西郷が対決するという)国家的な不祥事を招いた。
爻辞に曰く、「龍(りゅう)野(や)に戦(たたか)う。坤の君子が勢い余って龍のように振る舞えば、乾の君子が黙っていない。「坤(陰)が乾(陽)の役割を果たすことはまかりならぬ」と、乾の龍と坤の龍が決闘する」と。
あぁ、善くも悪くも、易の将来予測は的中するのだ…。

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