「大摩邇」所載の「in deep」記事の中に、話の本筋とは別にそういう考察ネタがあったので、転載する。
(引用1)赤字部分は夢人による強調。そこだけ読んでもいい。
米国のゼロヘッジというウェブサイトをたまに見るのですけれど、最近、「日本」に関しての記事がとても多くなっています。
たとえば、6月9日には……まだ、日本円が 2002年以来の円安( 1ドル 135.15円)を突破していなかった時ですが、以下のようなタイトルの記事が掲載されていました。
円の暴落が加速するにつれて、MMT実験の壊滅的な終焉が脚光を浴びる
As Yen Crash Accelerates, It Puts Catastrophic End Of MMT Experiment In The Spotlight
上の記事のタイトルに、「 MMT 実験」とあり、知らない言葉ですが、「現代貨幣理論」というものらしく、いろいろと難しい部分は別として、2019年4月のブルームバーグの記事にある以下のようなものらしいです。
> 日本維新の会の藤巻健史参院議員は、アベノミクスの下で異次元金融緩和を続ける日本は財政赤字を容認する「現代金融理論(MMT)」の実験場になっており、やがて財政破綻して同理論の誤りを「証明することになる」と警鐘を鳴らした。
>
> 藤巻氏はインタビューで、自国通貨建てで国債を発行する国は、財政破綻に陥ることはないとするMMTの理論は、論理的根拠が乏しい「ブードゥー(呪術)経済学だ」と批判。無制限に財政赤字を膨らませてもいいのであれば、「税金はいらない」のであり「そんなばかな話はない」と一蹴した。 (bloomberg.co.jp)
これによると、日本のように自国通貨建てで国債を発行する国は、財政破綻に陥ることはない、というような理論だそうですが、しかし、ゼロヘッジを含むいくつかの金融系サイトは、日本の破綻を最近かなりはっきりと明言し始めていまして、本日は以下のようなタイトルの記事が掲載されていました。
(考察)
藤巻健司の経済予測がほとんど当たったことがないらしいのは別として、この赤字部分のMMT批判についてはどうだろうか。
政府がカネを自ら発行する限りは「税金は要らない」というのが真実である可能性は本当に無いのか。いや、私はそれが真実である可能性は非常に高いと思っているのである。ただし、それはそのカネが現物と交換可能だという信頼性があっての話だ。その信頼性が無ければそのカネは紙屑扱いになる。これはたとえば西南の役の「西郷札」の例がある。だが、政府予算に必要なカネが絶対に税金収入でなければならないという、どんな理屈があるのだろうか。政府が発行したカネを税金として回収するなら、最初から政府が必要なカネを必要なだけ印刷して政府が使えばいいではないか。なぜ、税金という迂回路が「絶対に必要」とされているのか。単に、銀行や企業を経由する中で中抜きされ、カネがどこかへ消えていくだけではないのか。
政府は必要なカネを最小限、政府発行紙幣として印刷する。そして国に出回るカネの余剰を何かの形で吸収することで国の貨幣量を一定限度に保つのであれば、政府が吸収するカネがどういう方法での吸収であるかは問題にならないのではないか。それがなぜ、税金という形で国民を苦しめる必要があるのか。
たとえば政府が商売をしてもいいわけだ。あるいは、重要な公共事業をする場合は「超富豪たち」にカネを拠出させてもいいわけだ。江戸時代や明治時代などにはそういう手法もあったのではないか。つまり、全国民から税金を取るというのは必ずしも神が定めた規則でも何でもない、ということである。我々は「税金」というものを何か不磨の大典・神の律法とでも思っていないか。
ただし、上に書いたことは「政府の予算(国富)の濫用、私物化、企業との癒着」がこのうえなく厳重に戒められる前提の話である。
(引用2)記事末尾の赤字部分は夢人による強調。この赤字部分だけ読んでもいい。
現在のアメリカは、個人個人の状態によって異なるだろうとはいえ、体感としては、ほぼ「過去最低の景気、経済状態」となっているようです。
それらを含めて、現在のアメリカの状況を記していた米国作家のマイケル・スナイダー氏の記事をご紹介させていただきます。日本もそのうち、こうなるかもしれない、という意味でのご紹介です。
この50年間で最悪の経済不況
The Worst Economic Gloom In 50 Years
The Most Important News 2022/06/08
私たちは何十年間もこのようなものを見たことがない。エネルギー価格は前例のない高さまで高騰している。世界の一部の地域での食糧不足は非常に深刻になり始めている。横行するインフレは、世界中で次第に制御不能となりつつある。
その間、経済活動はどこでも減速している。この現在の危機を 1970年代の「スタグフレーション」と比較する人たちもいるが、それは楽観的すぎる評価だと思われる。ほぼすべての人の経済状況が急速に悪化していることを見ることができ、今後数ヶ月先に何がもたらされるかについて非常に多くの懸念がある。
発表されたばかりの新しいウォールストリートジャーナル- NORC の調査による と、米国経済の状態が「素晴らしい」と感じている人の率は以下の通りだ。
> 深刻な悲観論が米国経済を襲い、アメリカ人は少なくとも半世紀の間に彼らの財政状況に対する最高レベルの不満を報告していることを 6月6日に発表された世論調査の結果が示している。
>
> ウォールストリートジャーナル NORC 世論調査によると、アメリカ人の 83%が、現在の経済の状態を貧弱または、あまり良くないと述べている。経済の状態を「優れている」と表現したのは、わずか 1%だった。
アメリカ経済が「素晴らしい形」にあると今でも信じている、そのアメリカ人の 1%の誰かとは話をしたいと思う。
私にとって、すべての証拠がその反対方向を指している場合でも、現実を完全に否定できる人を見つけることは常に魅力的なことだ。
同じ調査によると、「財政状態にまったく満足していない」アメリカ人の割合は、 少なくとも、過去 50年間で最も高いことがわかった。
> 35%の人たちは、自分たちの財政状態にまったく満足していないと述べた。これは、1972年から数年ごとに NORC が世論調査を始めて以来、最高レベルの不満の率だ。
>
> アメリカ人の 63%は、ガスの価格について心配、あるいは非常に心配していると述べている。54%は、食料品の高値が家計の財政状況に与える影響について懸念あるいは非常に懸念していると述べた。
>
> ガス価格についてあまり心配していない、またはまったく心配していないと答えたのはわずか 13%で、食料品価格を心配していないと答えたのは 19%だった。
人々がこのように感じる大きな理由の1つは、ほぼすべての価格が上昇しているためだ。
特に、ガソリン価格はほぼ毎日全国的な見出しになっている。毎日新しい高値記録が更新されている。
残念ながら、報道などでは、これはほんの始まりに過ぎないという専門家たちの間のコンセンサスが高まっている。
> 夏の旅行シーズンが始まったばかりで、ガソリンの需要は、ウクライナでの戦争によるロシアの石油輸送の遮断と相まって世界市場で石油価格を上昇させている。
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> ガス価格を追跡している OPIS のエネルギー分析のグローバル責任者であるトム・クロザ氏によると、ガソリンの全国平均は今年の夏の終わりまでに 6ドル近くになる可能性がある。
エネルギー高騰によるさらに悲観的な状況も出ている。商品取引の巨人である Trafigura 社の責任者は、石油の価格が今後数か月で実際に 「放物線状」 の動きをする可能性があると警告した。
言うまでもなく、エネルギー価格は経済全体にドミノ効果をもたらす。 コメンテーターのアンソニー・B・サンダース氏が、引っ越し業者に、州外への引っ越しについて連絡したとき、彼は告げられた価格を信じることができなかったという。
> バージニア州フェアファックスからオハイオ州コロンバスへの引っ越しをするために、引っ越し業者からさまざまな見積もりを受け取った。その値段がすごい!
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> 4ベッドルームの家での、全国的な引っ越し会社を使用して引っ越す費用は 15,000ドル (約 200万円)から 20,500ドル (約 270万円)だ。
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> 移動コストが高い理由の1つは、トラック輸送に使用されるディーゼル燃料価格の大幅な上昇だ。バイデン政権下で、ディーゼル燃料は 117%上昇した。また、充電ステーションには天然ガスがよく使われていることが明らかになったため、天然ガス価格は 281%上昇した(ただし、電気移動トラックはまだ多くない)。
(考察)
まあ、電気自動車は要するに充電ステーションでの原油やガスの利用に支えられているのであり、脱炭素でも何でもないということだ。そして、狙いは原発の利用の促進だろう。しかし、ウランなどの埋蔵量は限られているのだから、炭素燃料以上に早々と使用不可能になる可能性もあるし、使用済み核燃料が地球の超長期的お荷物になること、原発事故の破壊力は言うまでもない。まあ、電気自動車は一時の徒花になるだろう。