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金が得られないなら金をかけるな

知ったばかりのサイトだが、「マガジン9」の「ニッポンの社長インタビュー」からコミュニティネットという会社の社長のインタビューである。

今後の日本を考える上で示唆的な内容だと思うので、備忘的に転載しておく。

これからの事業は「経費をかけない」「高齢者を有効に使う」の二点が大事だということ、そして「第一次産業の再生」を国家の基本方針とすることが今後の日本のグランドデザインになるのではないか。


 

 

 

(以下引用)

 

 

 経済が破たんし、企業は海外へ移転して国内産業の空洞化が進み、失業者が増える。年金は借金だらけの日本の財政によりどんどん減っていき、高齢者の生活は苦しくなっていく。エネルギーも湯水のようには使えない。そんな沈んでいく社会のなかで再生の拠点はどこかと考えると、それは地方の農村ではないか。外国から食料を輸入するお金がありませんから、自給自足的な生活をする。お金がなければ支え合うしかありませんから、ひとつのものをみんなで分かち合う。これまでお金で買っていたものを他のものとの交換で補っていく。元気な高齢者は「老後はのんびり暮らす」なんて言っていられません。でも、それが結果的に寝たきりや認知症を防ぐ。そうした生活の知恵みたいなものを支えていくのがコミュニティです。
 たとえば商店街の活性化は、高度成長期のイメージを拭えないからできないんです。年金生活者が増えて人口が減れば、売上が上がるわけがないじゃないですか。だから売上が上がらないという前提に立ち、経費をかけないために、商店の経営は高齢者に任せる。年金生活者に働いてもらえば人件費は下がります。そうしたら売上がなくたって成り立つでしょう。しかも高齢者は元気が出るし、そこの商品は安いから人が集まるかもしれない。

 

 

(中略)

 

 ぼくは年に何回か「1日500円生活」というのを実践しています。そうすると路上生活者の気持ちに近づけるし、たとえば新聞を買うか、酎ハイを買うか迷う。つまり自分にとって大事なものを意識するので、必要のないものは捨てられるようになります。ぼくは、ある意味で社会的弱者や低所得者の人たちに期待をしているんですよ。人の痛み、温かみがわかるから。あえていうなら、ぼくらの事業そのものが社会的弱者を基準にしていて、それは日本を変えていく大きなパワーになると思っています。
 いまぼくたちの生活のあり方を変えないと社会が立ち行かなくなる。自給自足的な方法で環境を大切にしよう、歳をとってもできるだけ仕事をしよう、一緒に支え合おうといった、高度成長時代とは違う生活のあり方が求められているのだと思います。超高齢化社会の到来は「問題」ではなく、優しい社会をつくるチャンスなのです。ぼくは限られたパイを取り合うような弱肉強食の世の中から、生活者が互いに支え合って暮らせるそれへと変えていきたいと思っています。

 

高橋英與(たかはし・ひでよ) 1948年岩手県花巻市生まれ。設計事務所勤務を経て、(株)連空間設計を設立し、代表取締役就任。コーポラティブハウスづくりを手がける。1987年、株式会社生活科学研究所(現在の社名:株式会社生活科学運営)を設立し、高齢者住宅や有料老人ホームづくりに携わる。2005年、生活科学運営の経営を若手に移行。2003株式会社コミュニティネット代表取締役就任。現在に至る。著書に「街の中の小さな共同体」(中央法規)他。

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