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蜘蛛の巣はいかにして織られたか

「カマヤンの虚業日記」から転載。
わりと有名ブログのようだからすでに読んでいる人も多いだろうが、ここに書かれた内容は、「いかにして庶民レベルでの右翼は増殖するか」についての貴重な体験談および分析だと思うので、保存し、拡散にも協力する。
私も丸山真男ファンであるが、確かに表マスコミでは彼を批判する言説しかほとんど取り上げられない。と言うより、むしろ完全無視に近い。その事自体が丸山真男の正しさを証明してもいるのだが、丸山真男の知名度はそのために低いレベルにとどまっているのだろう。
彼の著作自体、文庫本の中にはあまり無いし、図書館で見掛けることも少ない。右翼系思想家・作家の著作は市民図書館に溢れているのだが。
今日のブログ記事タイトルは「エルビス・オン・ステージ」中のプレスリーの歌の曲名。本来は恋の歌だが、ここではもちろん、右翼思想が社会でどう蜘蛛の巣を広げていくか、ということである。





(以下引用)



2011-03-06 保守系の政治勉強会?に参加してみた

■[政治][田舎の生活][ネット右翼]保守系の政治勉強会?に参加してみた 23:05
1
地元に私が友人を全然持たないことを老母がムダに心配し、某勉強会に参加させられた。

「論語」の勉強会だということでしたが… HP見ると、「チャンネル桜」の動画が貼ってあったり「日本創新党」の宣伝が書いてあったり。

「母ちゃん、これ、政治系の集まりですよ。母ちゃんは政治嫌いだろ? しかもこれ、差別主義者の系列ですよ」

と事前に老母に説明するが、伝わらず。「お前は地元に友人がいないから、どんな人にもいい面と悪い面があるから、いい面だけを見て…」云々と老母が反論。

別な意味で、どういう集会なのか見てみたいとは思ったので、参加してみた。

2
1;安岡正篤 → 伊與田覺 → 講師 という流派なようだ。

2;冒頭に、某元衆議院議員による「外国の脅威から日本を守ろう」イベントが某神社で開催されることのチラシが配布される。この「勉強会」の人々がイベントスタッフなのだという。

3;テキストは「仮名論語」。漢文ではなくて読み下し文をテキストにしている。学問的正しさなどは無視して、生活に即したラインで「こう読むのが正しい」みたいな講釈。その講釈の根拠は? …伊與田覺先生はこう言った、というのが根拠な様子。この講師は伊與田覺による講義は何回も聴いたそうだ。

4;頻出するキーワード「学者の先生は言っていないが」 つまり学問的正しさを無視していますよ、という弁明。それを聞きながら私が連想するのは「反ユダヤ主義者にとっては、知性はユダヤ的なものである。だから、彼は知性を〔略〕心静かに軽蔑することができる。」http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20061128/1164660641という事柄。


5;講釈に、文脈から全然乖離して突然出てくる政治批判。それも具体性を欠いた、わりと漠然とした政治批判。「政治には絶望すべきである」という暗黙のメッセージ。

6;講師は「一年前から」政治に目覚めた、との説明。これは事実なようだ。「政治に目覚め」、チャンネル桜や日本創新党が「テレビでは伝えない真実」を伝えているという講釈。…それって「ネットde真実」というやつですか?

7;前提抜きで出てくるキーワード。「日本の昔ながらの良さを潰したのは日教組だ」「私利私欲は悪だ」「日教組と教育基本法が私利私欲を教育している」 

…断言するがこの講師は教育基本法を生まれてこの方読んだことはない。前提抜きで偏見を聴衆に植え付けるのは情報操作の基本であるが、講師はおそらくそれを無自覚に行なっていると私は感じる。初めに強く偏見を刷り込んでおくと、人間は論理を積み上げて思考することができなくなり、重要な局面で思考エラーを起こすようになる。

8;前提抜きで頻出するキーワード。「『私』に囚われないのが、本来の日本の良さだ」「普通の人は自分優先(それは悪である)。論語を正しく学べば、自分がなくなる(それが良いことである)。」 

…この手のセミナーは「自律した自己を鍛えないことを善しとせよ」というメッセージを無自覚に発信する。

関連 http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20090329/1238255255 http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20101102/1288704544

9;前提抜きで出てくるキーワード。「天皇陛下を敬う心を日本人は失った」 

…現天皇陛下は即位の際に「国民と共に日本国憲法を守り、国運の一層の進展と世界平和、人類の福祉の増進を切に希望して止みません」と勅語を下されていらっしゃるが、そのことを講師は理解していないのではないのだろうか。知らないのかもしれない。

10;頻出するキーワード。「自覚が大事」 

…何に「自覚」しろと言っているのだろうね。自分自身の発言内容に関しては相当無自覚だったようだが。

11;講師は稲盛和夫を絶賛。元横浜市長の中田宏を絶賛。ワタミの社長を「軽い」と批判。[3/7 11:30 追加]山田宏を肯定的評価をしていたが、中田宏には人物として劣る、のだそうだ。はあそうですかはあ。[以上、追記] 

…こういう「勉強会」に参加する人は政治にウブな人が多いだろう。私以外に参加者は3人だった。そういう人へ「論語」をダシに政治的偏見を植え付けるという作業が行なわれる。そのことは事前に予想していた通りではあったが、講師自身が相当に政治的にウブであるのが予想外。

12;丸山真男がたしか「擬似インテリ」「擬似教養」と呼んだと思うが、それが、ここにある。「擬似教養」は不滅である。15年戦争に人々を駆り立てた「イデオロギー」の一つが「擬似教養」だ。「擬似教養」は、自然科学への「ニセ科学」と対応する、社会科学版の「ニセ科学」だ。 


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