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月に刺さるロケットと自動書記人形

たまたま娘が借りてきたDVDが家にあったので、『ヒューゴの不思議な発明』を見たが、何とも微妙な作品である。面白いか、と言われれば首をひねるし、感動作かと言えば、まったく感動はできない。ところが、演出はそう悪くはないし、映像技術はある意味驚異的なレベルなのである。完全に、脚本の弱さだろう。私の見間違いでなければジョニー・デップがプロデュースに加わっていたはずなので、原作には映画人を牽きつける要素が強いのだと思うが、脚本段階で「この程度の脚本で大丈夫か」という見直しが必要だったと思う。
何より、登場人物に魅力が無さ過ぎる。主人公の少年は最近の洋画に多い自己中人間で、物語の真の中心人物であるメリエス老人は途中まではただの意地悪爺ィだ。こういうところが脚本の下手なところであり、話の最初の段階で主人公的登場人物に嫌悪感を持たせると、その作品はほぼ失敗するのである。人物の境遇によって情状酌量の余地があるだろう、と作り手側は考えるだろうが、観客の生理(感情)はそう簡単に変化はできないのだ。
最後のスタッフ紹介画面で、クロエ・グレース・モレッツが出ていたことを知ってびっくりしたが、あの「ヒット・ガール」がどこにいたんだ。まあ、その年齢の少女は一人しかいないので、あの子に決まっているのだが、あの普通の女の子が「ヒット・ガール」だとはねえ。やはり彼女はバンバン人を殺しまくらないと彼女じゃないよ。もっとも、『キック・アス』の時の彼女はほとんど仮面(アイマスク)をかぶっていたから、歯並びが悪いこと以外には顔の印象は無かった。今回の映画で初めて顔をちゃんと見たのだが、まあ、普通に可愛い。平凡と言えば平凡な顔だ。大昔の『小さな恋のメロディ』のジャック・ワイルドを女の子にしたような顔だ。トレイシー・ハイドの方ではないよ。
それよりも驚きはジュード・ロウが出ていたことにまったく気づかなかったことだ。主人公の父親役で回想シーンに出てきたようだが、ジュード・ロウのような特徴的な顔でも、メガネをかけて出たらまったく別人である。変装というものは案外簡単なもののようだ。
その他、クリストファー・リーも出ていたようだが、こちらもかなりの老齢で、もはや見分けはつかない。たぶん、本屋のオヤジがそれだろう。(後でウィキペディアを見ると、ムッシュ・ラビスとか書いてある。誰だ?)
脚本段階で登場人物に魅力が無い場合、俳優に怪優をつかう手がある。ジョニー・デップも、どうせなら出演すれば良かったのである。
マーチン・スコセッシはこういうファンタジー風味が大事な作品には向いていないようだ。何より、ユーモア感覚が乏しいので、よほど脚本に人を得ないと失敗する。一番の問題は、彼は達者な監督なので、その失敗が失敗に見えない点ではないか、と私は思う。はっきりとした失敗なら反省もできる。だが、失敗に見えない失敗には改善の可能性は無いのである。
蛇足だが、私はジャンゴ・ラインハルトの音楽が好きだったのだが、この映画の中でなぜか鉄道施設内で演奏をしている音楽家たちの一人がジャンゴ・ラインハルトであるという設定らしい。そんなことを言われても、観客には分かるはずはない、と思う。まあ、遊び心のあるところをそういう部分で見せているのだろうが、それよりは、脚本をもっと楽しい、わくわくするようなものにしてほしかったよ。
これも蛇足だが、映画の中で主人公は「ヒューゴ」と呼ばれていたが、フランス語ではたしか語頭のhは発音されないと思うので、「ウーゴ」と呼ぶべきではないだろうか。「ウーゴ・モンテネグロ」という軽音楽の音楽家もいることだし。
もう一つ蛇足だが、作中で「ヒューゴ」君は「発明」はしません。したがってこの日本語タイトルは嘘です。まあ、嘘によって何かのメリットがあるなら、興業の世界での嘘は無問題だが、この場合はべつに何のメリットもないと思う。それでタイトルが魅力的になったのなら、「ストレンジラブ博士」を「博士の異常な愛情」とするような大誤訳も悪いとは限らない。ストレンジラブ博士は石原閣下と同様に、確かに原爆に対する異常な愛情を持っていたが、ヒューゴ君がいつ発明をするかと待っていた観客はお気の毒である。


(以下「ウィキペディア」より引用)

ヒューゴの不思議な発明

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ヒューゴの不思議な発明

Hugo

監督 マーティン・スコセッシ

脚本 ジョン・ローガン

原作 ブライアン・ セルズニック
『ユゴーの不思議な発明』

製作 グレアム・キング
ティム・ヘディントン
マーティン・スコセッシ
ジョニー・デップ

製作総指揮 エマ・ティリンガー・コスコフ
デイヴィッド・クロケット
ジョージア・カカンデス
クリスティ・デムロウスキ
バーバラ・デフィーナ

音楽 ハワード・ショア

撮影 ロバート・リチャードソン

編集 セルマ・スクーンメイカー

製作会社 GKフィルムズ
インフィニタム・ニヒル

配給 パラマウント映画

公開 2011年11月23日
2011年12月2日
2012年3月1日

上映時間 126分

製作国 イギリス
アメリカ合衆国

言語 英語

製作費 $170,000,000[1][2]

興行収入 $73,864,507
$184,707,636 [3]



『ヒューゴの不思議な発明』(原題: Hugo)は、2011年のアメリカのドラマ映画。ブライアン・ セルズニックの小説『ユゴーの不思議な発明』を原作とする、マーティン・スコセッシ初の3D映画である。第84回アカデミー賞では同年最多の11部門にノミネートされ、5部門で受賞を果たした。


ストーリー [編集]


1930年代のフランス。パリのリヨン駅の時計台に隠れて暮らす孤児ヒューゴ・カブレは、父親が遺した機械人形と手帳を心の支えとしていた少年だった。機械人形の修理に必要な部品を集めるため、盗みを働くこともあったヒューゴはある日、駅の玩具店の主人であるジョルジュ・メリエスに盗みを見つかってしまう…。
メリエスの養女で読書好きな不思議な少女イザベルや、花屋のリゼットに恋する足が不自由な鉄道公安官を取り巻き、ヒューゴは父が遺した謎の追究を始める。

キャスト [編集]

役名 俳優 日本語吹替

ジョルジュ・メリエス
ベン・キングズレー
坂口芳貞

ヒューゴ・カブレ エイサ・バターフィールド
橘敏輝

イザベル クロエ・グレース・モレッツ
山口愛

鉄道公安官 サシャ・バロン・コーエン
村治学

クロードおじさん レイ・ウィンストン
辻親八

リゼット エミリー・モーティマー
高橋理恵子

ママ・ジャンヌ
ヘレン・マックロリー
野沢由香里

ムッシュ・ラビス クリストファー・リー
長克巳

ルネ・タバール マイケル・スタールバーグ
大川透

エミーユ夫人 フランシス・デ・ラ・トゥーア
立石涼子

ムッシュ・フリック リチャード・グリフィス
村松康雄

ヒューゴの父 ジュード・ロウ
加瀬康之

フーツ警官 ケヴィン•エルドン
谷昌樹

浮浪児 ショーン・アイルウォード
ラヴェルヌ拓海

映画館の支配人 アンガス・バーネット
塾一久

動く写真の呼び込み 真田五郎

機関士① マックス・ロッテスリー
樋口智透

ジャグリングの呼び込み 町田政則

助監督 玉野井直樹

ブース席の女性 慶長佑香

驚く女性① 笹田依里

本の納入業者 荻沢俊彦

ジャンゴ・ラインハルト
エミル・ラジェ

撮影技師 エドマンド・キングズレー

バグダッドの盗賊(映像) ダグラス・フェアバンクス
(ノンクレジット)
トランプ(映像) チャールズ・チャップリン
(ノンクレジット)
ジョニー・グレイ(映像) バスター・キートン
(ノンクレジット)
ボーイ(映像) ハロルド・ロイド
(ノンクレジット)
カメラマン マーティン・スコセッシ
(ノンクレジット)

製作 [編集]

2007年2月、『ディパーテッド』のアカデミー作品賞受賞直前、同作を製作したワーナー・ブラザーズとグレアム・キングはスコセッシの監督を想定して刊行されたばかりの『ユゴーの不思議な発明』の映画化権を購入し、『アビエイター』でスコセッシ、キングと組んだジョン・ローガンに脚本化を依頼した[4]。撮影はデジタル3DカメラArri Alexaを用い[5]、2010年6月29日にロンドンで開始され、以降ロンドンとパリで行われた[6]。
2011年3月、フランスの新聞『ル・パリジャン』が「ルーロー氏 (M. Rouleau) 役のジョニー・デップ」という付記とともに、くちひげを生やした男が写った映画のセット写真を掲載した[7]。しかしパラマウントは、写真の男はデップではなく、またデップは映画に一切出演していないとした[8]。

公開 [編集]

映画は当初ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントによって2011年12月9日に公開される予定だったが、キング側が感謝祭の公開を強く望んだ結果、感謝祭に『アーサー・クリスマスの大冒険』を抱えるソニーは配給を退き、代わってパラマウントが2011年11月23日の公開を決めた[9]。映画は原作の原題『The Invention of Hugo Cabret』に反し単に『Hugo Cabret』と呼ばれていたが、のちに『Hugo』とさらに縮められた[10]。
2011年10月10日、本作はニューヨーク映画祭(英語版) (NYFF) において編集が中途段階の状態で上映された。NYFFにおける未完成の映画の上映は1991年の『美女と野獣』以来であった[11]。

評価 [編集]

ジェームズ・キャメロンは2011年11月6日、全米監督協会がロサンゼルスで開いた試写の後で質疑に応え、本作を「傑作」("masterpiece")、「ようやくできた子供たちを連れて行けるスコセッシ映画」と称え[12]、また、3D技術を用いたことに関して、「今まで見た中で間違いなく最高の3D映像。それは君 (スコセッシ) の美術的表現に常に効果的に使われていて、決して邪魔になっていない」と述べた[13]。
本作は批評家から絶大な支持を集めている。映画のレビューを集積するウェブサイトRotten Tomatoesによると、集計されたレビュー98件のうち95件、97%が作品に対し好意的な評価を寄せており、評価の平均は8.4/10、批評家の総意は「『ヒューゴの不思議な発明』は、近頃の子供向け映画の多くが欠く純粋さをもつ、贅沢で洗練されたファンタジーであり、映画のマジックに対する大胆な愛を発するものでもある」であった[14]。有力媒体の批評から100点満点の加重平均値を導くMetacriticは36件の批評を基に85という「全面的支持」の値を示している[15]。
『シカゴ・サンタイムズ』のロジャー・イーバートは4個満点の星をつけ、「『ヒューゴの不思議な発明』はこれまでのどのマーティン・スコセッシの映画とも異なっており、しかもおそらく彼の心に最も近い。ビッグバジェット、家族向け、3Dの大作で、かつある意味においては彼自身の人生の鏡である。我々は偉大なアーティストが必要なツールとリソースの権限を与えられたと感じる—映画についての映画を作るために」と書いた[16]。

興行収入 [編集]

批評家から高い支持を集めた本作だが、制作費が1億8000万ドル以上という巨額を投じているのに対し興行収入は伸び悩んでいる。日本では興収10億円を超えるヒット作となったが、本国アメリカやその他世界規模では結果は芳しくなく、世界興行収入は1億8200万ドルに達したが、配給手数料などのコストが差し引かれるため、GKフィルムは8000万ドルほどの負債を抱える見込みだという[17]。

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