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生活保護に関する世間の誤解

前の記事に書いた私の意見自体は、本気であり、本当に「国立貧困老人殺処分施設」を作ってほしいと思っているが、それを作ると世界中から日本政府は「人道的」非難を浴びるから、この案が実現することはまず無いだろう。だから、これまでどおり、貧困老人は見殺しされ、死ぬよりつらい悲惨な境遇のまま生きていくことになるはずだ。
では、どうすれば彼らのその状況が改善されるか、といえば、「生活保護」を受けることだろう。下の記事には生活保護についての世間の誤解(政府は、わざとその誤解を野放しにし、むしろ助長しているのだが)が幾つか書かれていて、非常に有益である。先にその部分だけピックアップしておく。この知識は大いに世間に広めるべきものだと思う。


例えば、以下の生活保護に関する噂は誤りである。


「年金を受けていると生活保護は受けられない」


「持ち家があると生活保護は受けられない」


「車があると生活保護は受けられない」


「近くに家族や親族がいる場合は生活保護が受けられない」


「仕事をして収入があると生活保護が受けられない」


このような言葉は、私が相談を受けるときに質問されるものだが、どれも生活保護を受けることができる。


(以下引用)


「NHKスペシャル 老後破産」を防ぐためには…

藤田孝典 | NPO法人ほっとプラス代表理事、社会福祉士


NHKスペシャルなどで老人漂流、老後破産が話題になっている。


高齢者の貧困問題だ。


生活保護基準以下で暮らす高齢者が大勢いらっしゃることが明らかになっている。


わたしの所属するNPO法人ほっとプラスには、生活困窮状態にある人々からの相談が日常的に寄せられている。


当然、65歳以上の高齢者からの相談も多く寄せられる。


この背景にあるのは、年金支給水準の低さや無年金、預貯金の枯渇、医療や介護負担の重荷などさまざまである。


高齢者は、基本的に働くことは難しい場合がほとんどである。


そのため、収入はこれまでの預貯金や年金、仕送りなどに頼らなければ生活ができない。


生活保護受給世帯の45,2%が高齢者世帯である(平成25年7月:厚生労働省・被保護者調査)ことからも理解できるように、高齢期は貧困のリスクが高まる。


そのような高齢者の貧困を防ぐために、先進諸国の社会保障制度は整備されてきた。


だから、社会保障制度を活用すれば、一定の改善策はある。


しかし、老後破綻と呼ばれる現象の多くは、高齢者が必要な社会保障制度に結びついていないために発生している。


例えば、日本の生活保護制度は、捕捉率が極めて低い。


日本弁護士連合会は、生活保護の捕捉率が15,3%~18%しかないと指摘している(日本弁護士連合会生活保護Q&Aパンフレット)。


ドイツ64,6%、フランス91,6%と比べても異常な低さだ。


捕捉率とは、その制度を受けられる人のうち、どれくらいの人が捕捉(制度利用)できているかを表す数字である。


だから、日本の高齢者が必要な社会保障制度、特に生活保護制度を利用できていない。


生活保護制度が高齢者の貧困に対応できていない、機能不全に陥っているといっても過言ではない。


この利用割合の低さは、高齢者の生活保護に対する誤解が根強いことも背景にある。


例えば、以下の生活保護に関する噂は誤りである。


「年金を受けていると生活保護は受けられない」


「持ち家があると生活保護は受けられない」


「車があると生活保護は受けられない」


「近くに家族や親族がいる場合は生活保護が受けられない」


「仕事をして収入があると生活保護が受けられない」


このような言葉は、私が相談を受けるときに質問されるものだが、どれも生活保護を受けることができる。


生活保護制度は、収入が最低生活費に満たない場合、受給することができる非常にシンプルな制度だ。


足りない収入を補う制度だといえる。


その足りない分の生活費はいくらなのか、計算方法は、【収入が足りない場合に社会手当を受ける方法!~家庭の最低生活費を計算して申請しよう~】を参照いただきたい。


要するに、生活破綻する前に早めに生活保護を利用してほしい。


相談窓口はお住まいの役所の福祉課である。


一方で、生活保護に頼らないで生活することが素晴らしいと、美談のように語られてしまうこともある。


それは大きな間違いだ。


必要な人が社会保障制度を受けずに我慢すると、制度はどんどん弱体化・縮小していく傾向にある。


社会保障制度は、誰もが普通に暮らせるように、あるいは暮らせなくなったときのために用意された人類の叡智といえる。


人間だけが持っているとされている社会全体がみんなで支える仕組みである。


この機能があるから、私たちは日本という国に住み、みんなで協力しながら経済発展など繁栄を謳歌できている。


そのため、社会保障制度が機能しなくなるということは、国・社会が集団を構成している意味の大半を失うことであるともいえる。


だからこそ、無理せず、多くの高齢者の貧困を改善するために、積極的に生活保護制度を活用していただきたい。


藤田孝典

NPO法人ほっとプラス代表理事、社会福祉士



1982年生まれ。埼玉県越谷市在住。社会福祉士。首都圏で生活困窮者支援を行うソーシャルワーカー。生活保護や生活困窮者支援の在り方に関する活動と提言を行う。NPO法人ほっとプラス代表理事。反貧困ネットワーク埼玉代表。ブラック企業対策プロジェクト共同代表。厚生労働省社会保障審議会特別部会委員。著書に『ひとりも殺させない』『反貧困のソーシャルワーク実践』など。

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