元日本大使モンデールさんは、風の便りでは今もオバマの相談相手として健在だと聞くが少なくとも彼はアメリカ民主党リベラル派に残っている最後の「良心」であるかもしれないと僕は思っている。
神戸で震災があり、オウム騒ぎで大変な1995年、当時「スクープ」のディレクターだった僕は米大使館で一度彼と会ったことがあるが温和な表情の中にも強い信念を感じた覚えがある。しかし言葉には極めて慎重で何一つ情報を漏らすことはなかった記者泣かせの大使でもあった。
それから約20年、今86才になったモンデールさんによってついに日本政府の「本音」が暴露されたのである。
1995年当時、米軍普天間飛行場の返還交渉で、日本政府が在沖縄米海兵隊の駐留継続を切にお願いしてきたというのである。ご存知のように同じ年に発生した「あの」少女暴行事件の重大性を米側が認識し、海兵隊の撤退も視野に検討していたが、それを日本側が拒否し、県内移設を前提に交渉を進めてきたのである。
そして
その自民党政権の基本的なスタンスは現在もなんら変わってはいない。
モンデールさんのこの発言は米国務省付属機関の口述記録にも記載されている。確かな証拠があるのだ。
さらに
1995年の少女暴行事件について彼は「県民の怒りは当然で私も共有していた」と述べ、「数日のうちに、問題は事件だけではなく、米兵は沖縄から撤退すべきかどうか、少なくともプレゼンスを大幅削減すべきかどうか、米兵の起訴に関するガイドラインを変更すべきかどうかといったものにまで及んでいった」と言っているのである。
その上で「彼ら(日本政府)はわれわれ(在沖海兵隊)を沖縄から追い出したくなかった」と指摘し、しかたなく沖縄の海兵隊を維持することを前提に協議することになったのだという。そしてモンデールさんは「(だから)日本政府の希望通りの結果となった」のだと交渉過程を証言するのである。
また
その時のペリー国防長官は米議会で「日本の全ての提案を検討する」と発言して沖縄の反対に一定の配慮を示している。のみならず、ジャパンハンドラートとして悪名高いナイ国防次官補ですらも「兵力の本土移転も含む」と述べるなど日本側が希望した場合は本土移転も検討する意向をアメリカ側は示していたのである。
なお、モンデールさんはこの時、暴行事件で大田昌秀知事(同)に全面的に深く謝罪し、加害者の米兵らを強く非難していたという。 それゆえ翌96年4月に橋本氏と普天間返還合意を発表したのである。
さらには、同年12月2日、「沖縄に関する特別行動委員会(SACO)」の最終報告で普天間飛行場を含む11施設の返還、県道104号越え実弾演習の本土移転、嘉手納基地の海軍駐機場の移転・遮音壁の設置などを約束したのであった。
ところが、何とか在日米軍が沖縄にとどまってほしい日本政府は海上の辺野古基地の拡張案を蒸し返して提案したのである。
いまも「沖縄の負担軽減」とか「普天間基地の危険除去」という「お題目」を掲げ、それと関係なく辺野古基地拡張工事を強引に進めているのである。極東の安全を第一義的に考えているアメリカが無理に地域住民が反対している沖縄でなくても大丈夫だと考えているのに日本政府が泣いてすがって棄てないで言っている姿ほど見苦しいものはない。
あばずれ年増の深情けは個人的にはそれほど嫌でもないが、同国民を自国の官憲が暴力で抑え込んでまで外国がいらないと言っていた「進駐軍」基地を創る必然性などまったくないのであるから、これには激しい嫌悪感がある。
沖縄の負担軽減のためとかいう「嘘」を止めて自己の「利益」を確保するためだと正直にいったらどうなのか?
だってアベノミックスだって利益の拡大ということで支持されているらしいから、「金目」のためで何がわるいといえばいいのではないか。それでだめなら仕方がないが、案外目の前にニンジンをぶら下げれば滞りなく駄馬は走ってくれるかもしれないのだ。
なんとならば、
原発を再稼働させ、お札を刷ってインフレを加速させ、TPPで国を売る偉大なる将軍様・安倍晋三様にマンセーと国民は叫んでいるのだから辺野古なんぞチョロイもんだろうに。