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東大話法(小論文にも応用可)

「原発危機と東大話法」という新刊書の一口コメントから引用。筆者は内藤順という人のようである。(直接には竹熊健太郎のツィッターで知った記事だ。)
「東大話法」はインテリ話法か知識人話法と言い換えてもよさそうだ。たしかにアカデミズム系の知識人にはこの手の話法を用いる人間が多い。そして実はその言っていることのほとんどは無内容で、糞である。他人の意見を偉そうに批評するだけで、自分のオリジナルな考えはゼロなのだから。大学入試で使用される現代文評論にはこの手の書き手が多い。入試問題でもなければ誰も読まないような文章だ。
そして、鋭い人は、この話法は「官僚作文」の話法でもあることにすぐに気が付くはずだ。となれば、これが「東大話法」と名づけられたのは実に適切だということになる。

自分は賢い。(他の人間は皆馬鹿だ)
自分は分析力がある。(他の人間は皆分析力がない)
自分は客観的である。(他の人間は皆主観でしゃべっている)
要するに、俺が一番偉い(だから俺の言うことを聞いていればいいのだ)

というのが東大話法である。実際、東大入試の国語では「分析力」と「客観性」をアピールするのがポイントなのだが、それはすべての大学入試国語に共通ではある。東大はその最高峰なのだから、東大話法が「俺が一番客観的で一番分析力がある」となるのは当然なのである。でも、実はその能力は、データの整理と要約しかできない事務屋の能力にしかすぎないんだけどね。東大から本当にユニークな学者が出ないのはそのためだ。
ついでに言うと、引用文の最後に挙げられた東大話法規則8の4つのステップは、「大学入試に合格する小論文」の秘伝でもある。このやり方を使えば、高評価を受けるのはほぼ確実だ。なんせ大学教授というのは客観性信仰の信者だから。

(以下引用)

世界は、人類が地球環境と調和しつつ平和で豊かな暮らしを続けるための現実的なエネルギー源として、原子力発電の利用拡大を進め始めていました。このような中で、東日本大震災および福島第一原子力発電所の事故が起こりました。我が国は、事故終息に向け最大限の力を発揮しなければなりません。
(※東京大学大学院工学系研究科 原子力国際専攻
「震災後の工学は何を目指すのか」の一節より)

このような文章が「東大話法」の典型であると、いきなり切り捨てられている。まず、「世界は」と言うことによって責任関係を曖昧にしていること、そして「我が国は・・・しなければなりません」という一文に見られるような、自分たちが「国」を代表しているいう意識。この話法こそ間違いの元凶であるというのが、著者の主張だ。しかも、切り捨てているのが現役の東大教授であるというから面白い。
本書では東大話法規則というのが全部で20個紹介されているのだが、最も興味深いのは以下の規則だ。

東大話法規則⑧

自分を傍観者と見なし、発言者を分類してレッテル貼りし、実体化して属性を勝手に設定し、解説する。
この話法は、以下のステップによって構築される。

1. ある問題について書かれたものを大量に集め、幾つかに分けて分類する
2. それぞれの代表的論者を二、三取り上げて、主張を整理する
3. 自分の意見はどれにも属さないで、全体を相対化するものだというスタンスを取る
4. どれかに属する人は、その外側に立って「冷静に観察」している人よりもレベルが低いと捉える

このようなものが、傍観者的態度の典型であるそうだ。う~ん、心当たりあるな。

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