「雁屋哲のブログ」から記事の後半だけ転載。
私自身同じことを何度も言っているのだが、プロの文筆家だけに書き方がうまい。
これを読んでもなお原発に賛成できる人間の精神構造を疑う。しかも、我々の周りの自民党支持者や保守主義のおっさんや若者(たいていは貧乏人だ)は下のU(原発による利益)を得る立場でも何でもないのに、原発稼働に賛成するのである。お前は経団連か、と言いたくなる。
原発が無ければ電気料金が高騰する? 馬鹿、原発を維持推進するために巨額の金が要るから、それが電気料金に加算されていることも分からないのか。簡単に言えば、「原発村維持費用」が電気料金の大半なのだ。しかも、電気料金だけでなく、税金から巨額の原発諸費用は投入されている。
つまり、原発そのものが日本社会の経済を、いや、生活のすべてを蝕む悪性腫瘍なのである。しかも、海岸線にずらりと並んだ原発は、国土防衛を不可能にしている。戦争大好きな右翼の皆さんが原発も好きというのは頭がおかしいのではないか。
福島原発からいまだに毎日放射能が放出されていることについては、もはや言う気もしない。これで原発を擁護する人間は、もはや狂信者、いや狂人である。
(以下引用)
2)どうして、日本の経団連などの財界人、自民党、民主党などの政治家は単純な算数が出来ないのか。
安倍晋三氏は、
a)原発の再稼働を認める。
b)新しい原発の建設を認める
と言う方針を決定し、経団連はその決定を大歓迎し、株価も年末にかけて上昇したという。
経団連、と言えば日本全体の経済の動きを左右する団体である。
この、経団連の主だった人達は、全て日本の大企業の頭だ。
彼らは、いわゆる学歴も世間的に見れば大変な物だ。
有名大学を卒業して、それぞれにまともな知的な思考能力に優れていると思われている人達である。
そういう人達であれば、中学程度の算数の学力は身につけているはずだろう。
原発の損得勘定は、単純に中学程度の算数の問題だ。
次の算数の問題を考えなさい。
P=原発を設立するためにかかる費用。
q=原発を維持するためにかかる費用。
r=原発を建てた地元の人間に対して支払う補償費(事故以前)
s=使用済み核燃料の処理費。
t=四十年稼働した後に、廃炉にするためにかかる費用(最低三十年かかる)
u=原発を稼働して得ることの出来る利益(電気料金)
としたときに、
u≧p+q+r+s+t・・・・(A)
が成り立つかどうか、考えなさい。
文章で言えば、原発を作ることによって得られる利益が、そのための諸々の費用を合わせた出費より大きくなるかどうか考えなさい、ということである。
この算数の問題の意味は誰にでも理解出来る物でしょう。
この6個の項目の中で、原発が利益になるのは、最後の1項目uだけである。
原発の採算が取れる為には、
uはp,q,r,s,tを合わせた物より大きくなければならない。
uが大きければ、原発は上手く行く。
uが小さければ、原発は採算が取れない。
ところが、
s=使用済み核燃料の処理費、は既に巨費を費やし、可能性のめどすら立っていない。
しかも、
t=四十年稼働した後に、廃炉にするためにかかる費用(最低三十年かかる)
を、考えたら、式(A)が成立することはあり得ないことが子供にも分かる。
(この廃炉にかかる年数が凄いね。四十年使った後、最低三十年経たないと、原発に使った土地は使い物にならない。使い物になると言ったって完全に安全な物になるかどうかも分からない。しかも、それにどれだけの費用がかかるのかまだはっきりしない。この1点を考えただけでも、原発は金の亡者達が祭り上げる邪神であることが分かる)
しかも、これは、原発に何事もなく、安全に運転されていてのことである。
一旦、今回のような事故が起こると、
p,q,r,s,tとは比較にならない巨額の《大損害の項目X》が加わる。
どのように考えても、
uである。
原発を作り、動かすことによって、経済的には大きな損失をこうむる。
原発が正常に動いているとき、その間には一瞬、uが大きく見えて、原発は具合がよいように経団連の受験秀才たちは思って、「ええわい、ええわい、具合がええわい」と喜ぶ。目先のことしか見えない人達である。
最初に原発を作った人達はすでに死んでしまった。
幸せな死だった。
p,q,rについても、実際は国民にとっては損失なのだか、それによって利益を得た人は少なくない。
しかし、その後に残された私たちは、s,tの重荷を負わされた。
私たちの世代はまだ良い。
次の世代の若い人達は、sとtを押しつけられるだけで、何の利益も得られないどころか、さらに最悪の、《大損害の項目X》が加わった。
最近の報告では、東電は、福島第一原発の処理のために10兆円を援助するように政府に要求している。
国家として途方もない大損失ではないか。
経団連は経済的な利益を第一に考える人々の集まりのはずだ。
経済を第一に考える人達が、どうして、長期的に絶対的に巨大な経済的損失を生み出す事が明らかな原発を今稼働させようというのか。
それどころか、新しい原発を作ろうとまでしている。
経団連の主だった人達の年齢を見ると、みんな六十代半ば過ぎである。
彼らは、自分の属している会社の社長とか会長である今の時期の自分の利益しか考えていないのではないか。
ルイ14世の愛人、マダム・ポンパドゥールは心ある人に「そんなに無駄使いをしているとフランスの経済が破綻してひどいことになりますよ」と忠告されたときに、「Après moi le deluge」(我が亡き後に洪水は来たれ。私が死んだ後に洪水が来るなら来たらいいわ)と言ったそうだ。
経団連も安倍晋三氏も、マダム・ポンパドゥールと同じ精神構造なのだろう。
自分たちさえ良ければよい。「後は野となれ山となれ」で知ったことではない。
そういう神経構造でなければ、いま、この時期に原発再稼働、原発新設など言えるはずがない。
日本の政治経済を動かす人達が、単純な算数の問題を考えられないのは、いや、敢えて考えようとしない姿は、日本だけでなく人類の悲劇である。
ど腐れである。
今年の最後に、もう少し明るい話を書きたかった。
しかし、今の日本の状況を真面目に考えれば考えるほど、途方もなく不吉な黒い影に包まれるような気がするのである。
2013年こそ、世界中に良いことがあって欲しい。
(付記)いずれ新しく書くつもりだが、「神州の泉」経由で知ったあるブログに例の森本アナ冤罪逮捕の原因となったらしい「NHKスペシャル」の書き起こしがあったので、その一部だけ転載しておく。非常に興味深い内容のようだが、まだ一部しか読んでいない。
(以下引用)
福島第一原発で起きた、メルトダウンの発端は
電源が失われ、通常の手段での冷却が、行えなくなったことにありました
実は20年前、原子力安全委員会では
全ての電源を失ったときの対策を、
規制に盛り込むことが。話し合われました
その場には、東京電力と関西電力の社員が出席していました
電力会社からは、「そのような対策を規制へ反映することは、行き過ぎだ」と、反対意見が出されます
すると、原子力安全員会は、電力会社に対し
今後も『30分程度』で問題ないという(中長時間のSBOを考えなくて良い)理由を作文してください」
と依頼したというのです
規制をしない理由づけを
規制される立場の電力会社に作らせるという
あってはならないなれ合いが、まかり通っていたのです
国会事故調
「(全電源喪失に関する)規制化は行われなかった」
結局、全ての電源が失われても、重大事故に至らないための規制は先送りされます
国会事故調の報告書は、こう、結んでいます
「もし、規制当局と事業者の双方が安全第一に徹し、必要な備えに怠り無きを期していれば、十分に「防ぎ得た」災害である」
森本健成 (NHKアナウンサー)
安全、安全と言っていたこの裏で、こんなことが行われていたのかと
こう、怒りを覚えた方も多いと思うんですが
あの、民間事故調の報告書でも、北澤さん、この規制の在り方については、ふれていますよね、問題視していますが
北澤宏一 (民間事故調委員長)
はい、そうですね
あの、日本では、空気を読む
そういう風土というようなものが
こう組織の中に、下手をすると、正義よりも組織の方が重要といった
そういった雰囲気を作っていた面があるかと思います
森本健成 (NHKアナウンサー)
空気を読むって、ふつうは、いいことに使いますけれども
そこがいけないわけですね
北澤宏一 (民間事故調委員長)
ふつうの社会ではいいんだけれども
こういう非常に危険な原子力を扱うようなそういう規制と
それから推進する側との間に、空気を読むようなそういう部分に
相手の都合を考えてやっていくようなことではいけない
ということがあったはずなんですね
あの、日本では、もうひとつ「安全神話」というものがあってですね
100%安全なものに、これ以上の安全はない
といったような自縄自縛状態になってしまって
「改善」と言い出すことが
規制側にも、もうそれ以上のことを言うっていう勇気がなかった
そういう面があったかと思います
森本健成 (NHKアナウンサー)
まあ、当然、非常に根深い問題ですが
このままでいいわけはありませんよね
とすると、いったい、どうすればいいのかっていうの
ぜひ、みなさんから、お聞きしたいんですが
黒川さん、例えば、その、海外との関係からいくと、どうなんでしょうか
私自身同じことを何度も言っているのだが、プロの文筆家だけに書き方がうまい。
これを読んでもなお原発に賛成できる人間の精神構造を疑う。しかも、我々の周りの自民党支持者や保守主義のおっさんや若者(たいていは貧乏人だ)は下のU(原発による利益)を得る立場でも何でもないのに、原発稼働に賛成するのである。お前は経団連か、と言いたくなる。
原発が無ければ電気料金が高騰する? 馬鹿、原発を維持推進するために巨額の金が要るから、それが電気料金に加算されていることも分からないのか。簡単に言えば、「原発村維持費用」が電気料金の大半なのだ。しかも、電気料金だけでなく、税金から巨額の原発諸費用は投入されている。
つまり、原発そのものが日本社会の経済を、いや、生活のすべてを蝕む悪性腫瘍なのである。しかも、海岸線にずらりと並んだ原発は、国土防衛を不可能にしている。戦争大好きな右翼の皆さんが原発も好きというのは頭がおかしいのではないか。
福島原発からいまだに毎日放射能が放出されていることについては、もはや言う気もしない。これで原発を擁護する人間は、もはや狂信者、いや狂人である。
(以下引用)
2)どうして、日本の経団連などの財界人、自民党、民主党などの政治家は単純な算数が出来ないのか。
安倍晋三氏は、
a)原発の再稼働を認める。
b)新しい原発の建設を認める
と言う方針を決定し、経団連はその決定を大歓迎し、株価も年末にかけて上昇したという。
経団連、と言えば日本全体の経済の動きを左右する団体である。
この、経団連の主だった人達は、全て日本の大企業の頭だ。
彼らは、いわゆる学歴も世間的に見れば大変な物だ。
有名大学を卒業して、それぞれにまともな知的な思考能力に優れていると思われている人達である。
そういう人達であれば、中学程度の算数の学力は身につけているはずだろう。
原発の損得勘定は、単純に中学程度の算数の問題だ。
次の算数の問題を考えなさい。
P=原発を設立するためにかかる費用。
q=原発を維持するためにかかる費用。
r=原発を建てた地元の人間に対して支払う補償費(事故以前)
s=使用済み核燃料の処理費。
t=四十年稼働した後に、廃炉にするためにかかる費用(最低三十年かかる)
u=原発を稼働して得ることの出来る利益(電気料金)
としたときに、
u≧p+q+r+s+t・・・・(A)
が成り立つかどうか、考えなさい。
文章で言えば、原発を作ることによって得られる利益が、そのための諸々の費用を合わせた出費より大きくなるかどうか考えなさい、ということである。
この算数の問題の意味は誰にでも理解出来る物でしょう。
この6個の項目の中で、原発が利益になるのは、最後の1項目uだけである。
原発の採算が取れる為には、
uはp,q,r,s,tを合わせた物より大きくなければならない。
uが大きければ、原発は上手く行く。
uが小さければ、原発は採算が取れない。
ところが、
s=使用済み核燃料の処理費、は既に巨費を費やし、可能性のめどすら立っていない。
しかも、
t=四十年稼働した後に、廃炉にするためにかかる費用(最低三十年かかる)
を、考えたら、式(A)が成立することはあり得ないことが子供にも分かる。
(この廃炉にかかる年数が凄いね。四十年使った後、最低三十年経たないと、原発に使った土地は使い物にならない。使い物になると言ったって完全に安全な物になるかどうかも分からない。しかも、それにどれだけの費用がかかるのかまだはっきりしない。この1点を考えただけでも、原発は金の亡者達が祭り上げる邪神であることが分かる)
しかも、これは、原発に何事もなく、安全に運転されていてのことである。
一旦、今回のような事故が起こると、
p,q,r,s,tとは比較にならない巨額の《大損害の項目X》が加わる。
どのように考えても、
uである。
原発を作り、動かすことによって、経済的には大きな損失をこうむる。
原発が正常に動いているとき、その間には一瞬、uが大きく見えて、原発は具合がよいように経団連の受験秀才たちは思って、「ええわい、ええわい、具合がええわい」と喜ぶ。目先のことしか見えない人達である。
最初に原発を作った人達はすでに死んでしまった。
幸せな死だった。
p,q,rについても、実際は国民にとっては損失なのだか、それによって利益を得た人は少なくない。
しかし、その後に残された私たちは、s,tの重荷を負わされた。
私たちの世代はまだ良い。
次の世代の若い人達は、sとtを押しつけられるだけで、何の利益も得られないどころか、さらに最悪の、《大損害の項目X》が加わった。
最近の報告では、東電は、福島第一原発の処理のために10兆円を援助するように政府に要求している。
国家として途方もない大損失ではないか。
経団連は経済的な利益を第一に考える人々の集まりのはずだ。
経済を第一に考える人達が、どうして、長期的に絶対的に巨大な経済的損失を生み出す事が明らかな原発を今稼働させようというのか。
それどころか、新しい原発を作ろうとまでしている。
経団連の主だった人達の年齢を見ると、みんな六十代半ば過ぎである。
彼らは、自分の属している会社の社長とか会長である今の時期の自分の利益しか考えていないのではないか。
ルイ14世の愛人、マダム・ポンパドゥールは心ある人に「そんなに無駄使いをしているとフランスの経済が破綻してひどいことになりますよ」と忠告されたときに、「Après moi le deluge」(我が亡き後に洪水は来たれ。私が死んだ後に洪水が来るなら来たらいいわ)と言ったそうだ。
経団連も安倍晋三氏も、マダム・ポンパドゥールと同じ精神構造なのだろう。
自分たちさえ良ければよい。「後は野となれ山となれ」で知ったことではない。
そういう神経構造でなければ、いま、この時期に原発再稼働、原発新設など言えるはずがない。
日本の政治経済を動かす人達が、単純な算数の問題を考えられないのは、いや、敢えて考えようとしない姿は、日本だけでなく人類の悲劇である。
ど腐れである。
今年の最後に、もう少し明るい話を書きたかった。
しかし、今の日本の状況を真面目に考えれば考えるほど、途方もなく不吉な黒い影に包まれるような気がするのである。
2013年こそ、世界中に良いことがあって欲しい。
(付記)いずれ新しく書くつもりだが、「神州の泉」経由で知ったあるブログに例の森本アナ冤罪逮捕の原因となったらしい「NHKスペシャル」の書き起こしがあったので、その一部だけ転載しておく。非常に興味深い内容のようだが、まだ一部しか読んでいない。
(以下引用)
福島第一原発で起きた、メルトダウンの発端は
電源が失われ、通常の手段での冷却が、行えなくなったことにありました
実は20年前、原子力安全委員会では
全ての電源を失ったときの対策を、
規制に盛り込むことが。話し合われました
その場には、東京電力と関西電力の社員が出席していました
電力会社からは、「そのような対策を規制へ反映することは、行き過ぎだ」と、反対意見が出されます
すると、原子力安全員会は、電力会社に対し
今後も『30分程度』で問題ないという(中長時間のSBOを考えなくて良い)理由を作文してください」
と依頼したというのです
規制をしない理由づけを
規制される立場の電力会社に作らせるという
あってはならないなれ合いが、まかり通っていたのです
国会事故調
「(全電源喪失に関する)規制化は行われなかった」
結局、全ての電源が失われても、重大事故に至らないための規制は先送りされます
国会事故調の報告書は、こう、結んでいます
「もし、規制当局と事業者の双方が安全第一に徹し、必要な備えに怠り無きを期していれば、十分に「防ぎ得た」災害である」
森本健成 (NHKアナウンサー)
安全、安全と言っていたこの裏で、こんなことが行われていたのかと
こう、怒りを覚えた方も多いと思うんですが
あの、民間事故調の報告書でも、北澤さん、この規制の在り方については、ふれていますよね、問題視していますが
北澤宏一 (民間事故調委員長)
はい、そうですね
あの、日本では、空気を読む
そういう風土というようなものが
こう組織の中に、下手をすると、正義よりも組織の方が重要といった
そういった雰囲気を作っていた面があるかと思います
森本健成 (NHKアナウンサー)
空気を読むって、ふつうは、いいことに使いますけれども
そこがいけないわけですね
北澤宏一 (民間事故調委員長)
ふつうの社会ではいいんだけれども
こういう非常に危険な原子力を扱うようなそういう規制と
それから推進する側との間に、空気を読むようなそういう部分に
相手の都合を考えてやっていくようなことではいけない
ということがあったはずなんですね
あの、日本では、もうひとつ「安全神話」というものがあってですね
100%安全なものに、これ以上の安全はない
といったような自縄自縛状態になってしまって
「改善」と言い出すことが
規制側にも、もうそれ以上のことを言うっていう勇気がなかった
そういう面があったかと思います
森本健成 (NHKアナウンサー)
まあ、当然、非常に根深い問題ですが
このままでいいわけはありませんよね
とすると、いったい、どうすればいいのかっていうの
ぜひ、みなさんから、お聞きしたいんですが
黒川さん、例えば、その、海外との関係からいくと、どうなんでしょうか
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