二、三日記事を更新しなかったが、書くほどのニュースや思いつきが無かったというだけである。(ネット接続がまたしても不安定になっている、という事情も半分はあるのだが)
下記記事は「逝きし世の面影」ブログからの転載だが、アベノミクスの先行きをかなり正確に読んでいると思う。
但し、途中にアベノミクスは成功して当然(本文の表現では「アベノミクスは正しい」)、という、誤解を招く表現があり、それは「安倍政権や社会上位層にとっての成功(正しさ)」の意味であり、日本国民はそれで地獄のどん底に突き落とされる、ということである。
誰にとっての成功(正しさ)か、ということを定義した上で成功・失敗は論じるべきであるが、この文章ではそれがややあいまいな感じであった。しかし、内容が有益であることは私が保証する。もっとも、中学生頭脳の人間が保証しても有難味は無いが。
(以下引用)
増えたマネタリーベース、増えなかったマネーサプライ、減った銀行融資
2013年05月12日 | 経済
『日本が陥ったデフレ経済の原因とは』
経済学の常識の範囲ならば日銀からの資金供給量(マネタリーベース)が増えると、市中に出回る通貨総額のマネーサプライ(マネーストック)も増加し、銀行からの企業向け融資も増加する。
通常ならマネタリーベースとマネーサプライと銀行融資とは連動していて、この3者には密接な相関関係が存在している筈なのです。
ところが、我が日本国だけに限れば1997年の消費税増税前後からは三者の動きが一致しなくなっている。
(アメリカも2008年のリーマンショック以後のQE1やQE2、現在のQE3では一致していない)
経済がデフレになるかインフレになるかはマネタリーベースの増減ではなくて、マネーサプライ(money supply)の増減が決定的に影響する。
日本はバブル崩壊後の20年間、マネーサプライは一定であり経済規模の拡大以下の水準なので、今のように必ずデフレになって当然であったのです。
日本の経済全体がデフレで縮小していれば当然銀行融資も減額されるので、今の状態は何の不思議も無かったのであった。
『余りにもデジャヴな光景』
2001年の小泉純一郎首相の時代に日銀の福井俊彦総裁は、今回の黒川日銀総裁の『異次元金融緩和』策に類似した、デフレ脱却の『量的緩和拡大』を行って大幅にマネタリーベースを拡大、円相場は120円に下落し円高が緩和し株価も1万8千円まで上昇している。
日本経済を根本的に破壊した小泉・竹中構造改革を今でも支持している(期待している)多くの日本国民が存在している原因とは、この時のマネタリーベースの拡大による株高と円安効果による一時的な景気の良さである。
これは今の安倍晋三人気と同じ現象である。
両者には現在の時点では全く違いがない。(小泉政権で重要な役割を果たした竹中平蔵と飯島勲が、今回の第二次安倍政権にも内閣官房参与などで加わっている)
マネタリーベースを無制限に拡大する今のアベノミクスでも円相場は100円まで下落し株価も1万4千円まで上昇していて、現時点では10年前の小泉竹中時代と同じことが起きている。
ところが10年前の量的緩和策では、マネーサプライは上昇せず、銀行融資に至っては逆に減っているのですから、一部の輸出企業や証券会社や銀行は潤ったが、デフレはますます加速して日本経済は致命的な痛手を被ったのです。
『国債金利が0・6%まで下落したアベノミクス』
現在の株価の高騰は外人投資家の買い越し(外貨の流入)が大きな原因であり、日本人では逆の売り越しになっている。
外国の投機筋は10年前の小泉竹中時代の大儲け(小泉構造改革の意味)を忘れていなかったのである。
当時、日銀から市中銀行に供給された潤沢な資金は、融資が必要な国内の中小企業には回らず一番安全な国債購入に当てられ銀行内に死蔵されてしまったのである。
増えたマネタリーベースは国家の借金(国債)を膨らませたが、市中には少しも出回らなかったのでマネーサプライが増えなかった。
10年前の小泉時代の日銀による『マネタリーベースの拡大』の中身とは、規模的にはバブル期の3倍にまで増加したが、ほぼ日本の大手市中銀行による国債の購入拡大(日本の公的債務の爆発的な増加)程度の意味しか無かったのである。
今回のアベノミクスで、多くの日本人エコノミストの『国債金利が上昇する』との予想とは正反対に、国債金利が0・6%の歴史的低金利にまで低下したのは当然だったのである。
予想を間違えた日本のエコノミストは、マネタリーベースの増減とマネーサプライの増減を混同していたのである。対照的に外人投資家は間違えなかった。
大事なのはマネタリーベースの増減ではない。
景気や金利に影響するのはマネーサプライの方であった。(通常両者は連動するので勘違いしやすいが、明確に違っている)
マネーサプライが増えれば自動的にインフレになり、逆ならデフレになる。
我が日本国はマネタリーベースが増えても(銀行の国債購入によって吸収され)マネーサプライが増えないので、20年近くもデフレ経済に苦しんでいるのである。
『マネタリーベース』
マネタリーベースとはハイパワードマネー(強権貨幣)ともベースマネーとも呼ばれ、『日本銀行が供給する通貨量の総額』のことで、現金通貨(日銀券、補助貨幣)と、民間金融機関の法定準備預金(日銀当座預金)を合計で、基本的に日本銀行が管理していて規模は100兆円弱である。
マネーサプライとはマネーストックともいい、市中に出回っている通貨の総額で現金とか銀行貯金などの今すぐに使えるもので、銀行資産を除いたもの。
現在の日本のマネーサプライの総額はマネタリーベースの10倍以上の1000兆円を超えている。日本銀行が発行した一万円札は国内で何度も重複して使われるので乗数効果が生まれるのです。
日本銀行はマネタリーベースを操作することでマネーサプライの総額を操作することが出来、結果的には民間銀行の融資も操作することが出来る仕組みなのです。
デフレの日本でマネタリーベースが増えてもマネーサプライが微増で一定なのは、マネーサプライが増えない(銀行の国債購入で賄える範囲内)程度の金融緩和額に抑えていたと見るべきでしょう。
アメリカなど主要国ではマネタリーベースとマネーサプライは連動していて、ほぼ10年未満で2倍程度に増額されるので必ず年間数%のインフレになる。
そもそも近代資本主義とはインフレが起きることを前提として全ての制度設計がなされているので日本国のように20年も逆のデフレになると社会全体が根本的にボロボロになるのです。
日本のデフレの原因とは、日銀は確かにマネタリーベースを増加させているが欧米の数分の一の水準であり、バブル崩壊の反動で『羹に懲りて膾を吹く』銀行は、日銀から供給された資金で一番安全な国債購入しか行わない。
マネーサプライは増えず銀行融資は減る程度のマネタリーベースの拡大ではインフレにはならずデフレが発生する。
日本国の場合には同時に今のように天文学的な公的債務の積み増しも発生したのである。
異常すぎる円高と、世界に例がない20年続くデフレと、GDPの2倍にものぼる公的債務は別々の話ではなくて、一繋がりの事柄であり同一の原因(消費税増税など財政再建目的の緊縮政策)から発生していた。
『日本のデフレスパイラルを生んだ不良債権処理』
バブル崩壊後の『金融機関の貸し渋りや貸し剥がし』は自民党政権による政策的なもので所謂『不良債権』処理のもっとも特徴的なやり方であった。
92年のバブル崩壊で日本の金融機関は大量の不良債権を抱えたのですが、このときに日本政府(自民党、財務省)は『不良企業には市場から退場してもらう』として意識的に企業潰しを行ったのです。
日本の景気が悪いのは『不良債権企業が潰れずに市場に残っているからだ、日本の中の悪い企業が無くなれば、後は良い企業だけになり日本経済は健全化(景気が回復)する』と思ったのです。
この方針で金融機関が抱える不良債権(企業)を片っ端から処理(倒産)したのですが、不思議なことに不良債権を処理すればするほど、最初の思惑とは正反対に不良債権は減るどころかどんどん増えていった。
これは実は当たり前で、確かにバブル期には市場に存在してはいけない悪質な不良企業も存在していたのは確かなのですが、それは商法違反とか別の処理の仕方がある。
いわゆる銀行が抱える『不良債権』の殆どは、実は優良企業なのだが日本全体の景気が悪いので業績が悪化して『不良債権』扱いされていた。
本来の日本政府による『不良債権処理』とは景気回復であった。
ところが正反対の財務省主導の緊縮財政の財政正常化路線で景気を冷え込ましたので『不良債権』は処理(倒産)が進めば進むほど余計に日本の『不良債権』は増える。
経済学に明るいはずの財務省のキャリア官僚たちには、日本経済に今何が起こっているのかの認識が根本的に間違っていたのです。
消費不況によるデフレ経済に苦しんでいる日本経済に対して、欧米では主流のIMFのインフレ対策を一生懸命行ったのですから今のような日本経済がボロボロに成るのは必然であった。
寒さに震えている人達に冷水を浴びせ続けたのですから悪くならないはずが無い。日本は悪質なデフレスパイラルに落ち込んでいった。
『科学の一分野としての経済学』
科学では一つの事柄に対して、最初は色々な仮説が考えられるのですが、検証作業を経て段々と議論が収束していって最後には一つの仮説に辿り着き定説となり『法則』として確立する。
経済学も科学の一分野である限りは全く同じで、最初は色々な種々雑多な仮説が考えられるが、最後はやっぱり一つの真理に到達する筈であるのです。ところが扱う対象が社会全体でありとんでもなく大きい。
議論が収束して最終結果が出るまで何十年単位の時間がかかってしまう。
しかもミルトン・フリードマンがチリのクーデターでアジェンデ政権を倒したピノチェトに新自由主義を押し付けて一時的には経済が上向いた例のように、短期では成功しても長期では大失敗とか、浜矩子さんが有名なユニクロ経済学で説明しているように『少数が行えば必ず成功するが、他が真似て多数が行えば全員が儲からなくて大失敗する』などの合成の誤謬が発生する。
単純構造の自然科学とは大違いで、巨大な社会全体を扱う社会科学の経済学では、短期と長期、部分と全体では答えが正反対になるなどの現象は、普通に起きるのです。
悪魔の碾臼新自由主義で我が日本国は悲惨な状態になったのは明らかな事実ですが、同じ新自由主義がお隣の中国を短いあいだに世界第二の経済大国に押し上げたのもまた明らかな事実。
世界的な新自由主義の八面六臂の大活躍が無ければ今の中国の躍進は起きていないのは確実なのです。
何れ程恐ろしいものでも経済では反対から見れば逆に素晴らしい効果があるのですね。
アベノミクスでも同じことが言えて、『円高』も『株安』も膨大な『公的債務』も、長年日本を苦しめているすべての問題点が輪転機をグルグル回すだけでアホでも簡単に解決するのですから恐ろしい。
『アホでも成功するアベノミクス』
仕組みそのものが極簡単で100%何の疑問も無く、誰がやっても間違いなくアベノミクスは成功するのです。
ところが護憲派の政治ブログで、私と同じ見解が皆無。ほぼゼロなのです。
新自由主義やTPPを批判している経済学者でも同じで、アベノミクスを批判している。その影響で護憲左派のブログは軒並み右にならえで批判している。
ノータリンの極右の安倍晋三の主張だからと条件反射的に疑っているのですね。困った話である。
政治は結果責任の世界であり、結果が良いものは正しいのです。
そしてアベノミクスの成功は1年も前の日銀の白川総裁の1%目途発言での円安で証明されている、論争にならない既成事実である。
ユニクロ経済学で有名な浜矩子教授は紙幣増刷によるインフレ発生の原理自体は経済学者として熟知している。
ところが自民党から共産党まで金太郎飴のごとく『本当に数%のインフレになる保証はどこにもないし、結局予想もしない猛烈なインフレを引き起こし生活をズタズタに破滅するかもしれません』と同じ主張。
日本では20年間も全員例外なく横並びで同一の主張を言っているが、これは何かが可笑しいと思いませんか。
不思議すぎるのです。
特に浜矩子さんは『デフレになっているのは現代日本だけだ』との驚愕的な事実を正確に知っている。
今の日本ですが、他には全く例がない異常事態中の異常事態なのです。論の前と後ろが困ったことに整合性が全くない。
この二つの事実から導かれる結論は、かなり恐ろしい。
『猫でも○○でも成功するアベノミクス』
アベノミクスですが当ブログのように『正しいのだ』と言い切っているブログは極少数。
というか護憲左派ではゼロですね。
手放しで新自由主義を賞賛していて、いつもの例なら大賛成するはずの自称マクロ経済学者の池田信夫さえ賛成していない。
今の日本が異常な円高とデフレに長年苦しんでいるのは誰でも知っている。
通貨高とデフレ経済ですが、これらは『人々の思惑』とは無関係に、紙幣の無制限の大量発行(今のアベノミクス?)で簡単に解決する程度は、経済学の初歩の初歩の知識であり、なんの間違いも無い。
歴史的にも1930年代の大恐慌のデフレ経済からいち早く抜け出したスェーデン銀行や、最近ではユーロ危機の影響での投機筋のスイスフラン買いの高騰からの脱出で、スイス銀行が無制限の紙幣の大増刷で解決したのですから、アベノミクスの成功は論争にならない既成事実である。
デフレも通貨高も、紙幣の大増刷で必ず解消されます。これはなんの疑問もない。
日本の場合には大問題だとされている膨大な公的債務も自動的に解消されることは、冷静に考えれば誰にでも簡単に理解出来ると思います。
ところが『輪転機をグルグル回してお札をすりまくる』と去年の総選挙で言っていたのはアホの安倍晋三だけなのです。
話は逆で『自民党から共産党まで』全員が例外なく20年間も同じ事『本当に数%のインフレになる保証はどこにもないし、結局予想もしない猛烈なインフレを引き起こし生活をズタズタに破滅するかもしれません』と、言っていた。
マルクスが150年前に資本主義経済では8年から10年周期で必ず景気が変動して、インフレとデフレが交互に繰り返す仕組みを科学的に解明する。
ところがケインズ政策というデフレの特効薬が発明された第二次世界大戦後の世界ではインフレしか起きていない。
その唯一の例外は日本国なのです。
デフレがバブルの副産物として起きたと日本では思われているが、日本のバブル程度の現象は世界から見れば年がら年中、何処かの国で必ず起きている。
バブル自体は不思議でないし、バブルは必ず崩壊するものなので、バブル崩壊はもっと不思議でない。
世界で日本だけが陥ったデフレですが、これはバブル崩壊が原因ではなくて、実は同じ時期に起きた冷戦崩壊が原因である可能性が高い。
アメリカが密かに第二次冷戦(日本相手の経済戦争)を始めたのではないのか。
実際の戦争でも情報戦の占める割合は大きいが、実弾が飛ばない経済戦争での主戦場は情報宣伝戦がメインなのです。
そして軍事大国アメリカの最も得意とするのが、情報宣伝や世論誘導などのプロパガンダなのである。
『今の時期にアベノミクスの「切り札」を何故切ったのか』
日本の政治家や官僚が紙幣増刷の『切り札を今まで切らなかった理由』ですが、これは簡単で日本国の経済を根本的に弱体化するデフレを仕掛けた相手がアメリカなので、わかっているが絶対に出来なかったのです。
日本で一番実力が有り、首相の椅子が目の前にあった小沢一郎がインチキ臭い疑獄事件で突然失脚して何年も刑事被告人になったが理由が不明。たぶん『日米安保は第七艦隊だけで良い』がアメリカの軍産複合体の逆鱗に触れたのです。
政権交代で人気絶頂だった鳩山由紀夫の例もあるが、米国防長官自ら世界一危険と折り紙をつけた普天間の基地の移転で首相の首が簡単に飛ぶのです。
普通の常識や判断力があれば、少しでも我が身が可愛ければ誰も怖くて口にできない。
『今、切った理由はなにか?』ですが、これは恐ろしい。
間違いなく、去年の年末に日本を取り巻く『何かの条件』が突然変わったと、アメリカが判断したのでしょう。
北朝鮮の核実験騒動に紛れて3万8千人中で小児甲状腺癌10人発症を福島県が発表するが、京大の小出助教は福島第一原発の被害者の損害保証は国家が破産しても足りないくらい膨大であると指摘しています。
半世紀前の日本国自身の行った試算でも、原発事故での日本の破産は確実なのです。
世界第三位の経済大国である日本の破産はギリシャのデフォルトなどと比べられないくらい世界に影響するので、アベノミクスで一息つく余裕を日本に与える(情けをかける)のは当然な判断でしょう。
健康診断のあとで突然女房が優しくなり、今までは駄目だった高額の道楽品を買えると喜んでいる友人の友人の話とソックリで、縁起が悪すぎて到底喜べない。
『朝青龍の荒業、恐怖の吊り落とし』
アベノミクスの成功は『消費税増税のため』との解釈が一番正しい可能性があるのですから恐ろしい。
野田佳彦の民主党政権と自民公明両党との談合で決まった来年の消費税増税ですが、自動的に2014年から増税になるのではなくて『景気の動向次第』との付帯条件が付いてい。
日本の経済指数が悪すぎると消費税の増税は見送られるが、この判断時期が今年の9月時点なのです。(具体的な景気動向の指数は4月から5月)
今、アベノミクスで円安と株高、長期金利は0・6%以下に下がり経済は絶好調なので、何かのとんでもない大事故大事件がないと、今年7月の参議院選挙でも去年の衆議院につづき自民党大勝利は、100%確実なのです。
何も起きなければ今年9月に最終決定の消費税増税も100%確実です。
それなら日本経済の崩壊もまた、100%間違いなく確実で、日本全土は敗戦の焼け野原の再現ですね。
安倍晋三が今年7月参議院で大勝利すると間違いなく次の国政選挙は3年先の2016年9月(任期満了の衆参同日選)までありません。
安倍晋三はフリーハンドで誰にも邪魔されずに、わがまま勝手にやりたい放題が可能なのですから、今年8月15日の靖国神社首相公式参拝は確実です。
それなら猛烈な中国や韓国の反発が確実なのですが、この場合にはアメリカのオバマ大統領が中国の肩を持つことが予想され、四面楚歌の日本の経済は凄まじいことになります。
今のアベノミクスによる株高ですが、モンゴル人の暴れん坊横綱朝青龍が一時はライバルだった大関の琴光喜に対して、一旦持ち上げてから土俵に叩きつける『吊り落とし』の荒業で震え上がらせた話に似ている。
普通に投げ飛ばすよりもダメージが何倍も大きいのですよ。相手が二度と歯向かわないようにダメを押しているのです。
今後確実に予想される天文学的な福島第一原発事故の損害賠償と相まって我が日本国の第二の敗戦(無条件降伏による破産)は避けようがない悲惨極まる成り行きである。
下記記事は「逝きし世の面影」ブログからの転載だが、アベノミクスの先行きをかなり正確に読んでいると思う。
但し、途中にアベノミクスは成功して当然(本文の表現では「アベノミクスは正しい」)、という、誤解を招く表現があり、それは「安倍政権や社会上位層にとっての成功(正しさ)」の意味であり、日本国民はそれで地獄のどん底に突き落とされる、ということである。
誰にとっての成功(正しさ)か、ということを定義した上で成功・失敗は論じるべきであるが、この文章ではそれがややあいまいな感じであった。しかし、内容が有益であることは私が保証する。もっとも、中学生頭脳の人間が保証しても有難味は無いが。
(以下引用)
増えたマネタリーベース、増えなかったマネーサプライ、減った銀行融資
2013年05月12日 | 経済
『日本が陥ったデフレ経済の原因とは』
経済学の常識の範囲ならば日銀からの資金供給量(マネタリーベース)が増えると、市中に出回る通貨総額のマネーサプライ(マネーストック)も増加し、銀行からの企業向け融資も増加する。
通常ならマネタリーベースとマネーサプライと銀行融資とは連動していて、この3者には密接な相関関係が存在している筈なのです。
ところが、我が日本国だけに限れば1997年の消費税増税前後からは三者の動きが一致しなくなっている。
(アメリカも2008年のリーマンショック以後のQE1やQE2、現在のQE3では一致していない)
経済がデフレになるかインフレになるかはマネタリーベースの増減ではなくて、マネーサプライ(money supply)の増減が決定的に影響する。
日本はバブル崩壊後の20年間、マネーサプライは一定であり経済規模の拡大以下の水準なので、今のように必ずデフレになって当然であったのです。
日本の経済全体がデフレで縮小していれば当然銀行融資も減額されるので、今の状態は何の不思議も無かったのであった。
『余りにもデジャヴな光景』
2001年の小泉純一郎首相の時代に日銀の福井俊彦総裁は、今回の黒川日銀総裁の『異次元金融緩和』策に類似した、デフレ脱却の『量的緩和拡大』を行って大幅にマネタリーベースを拡大、円相場は120円に下落し円高が緩和し株価も1万8千円まで上昇している。
日本経済を根本的に破壊した小泉・竹中構造改革を今でも支持している(期待している)多くの日本国民が存在している原因とは、この時のマネタリーベースの拡大による株高と円安効果による一時的な景気の良さである。
これは今の安倍晋三人気と同じ現象である。
両者には現在の時点では全く違いがない。(小泉政権で重要な役割を果たした竹中平蔵と飯島勲が、今回の第二次安倍政権にも内閣官房参与などで加わっている)
マネタリーベースを無制限に拡大する今のアベノミクスでも円相場は100円まで下落し株価も1万4千円まで上昇していて、現時点では10年前の小泉竹中時代と同じことが起きている。
ところが10年前の量的緩和策では、マネーサプライは上昇せず、銀行融資に至っては逆に減っているのですから、一部の輸出企業や証券会社や銀行は潤ったが、デフレはますます加速して日本経済は致命的な痛手を被ったのです。
『国債金利が0・6%まで下落したアベノミクス』
現在の株価の高騰は外人投資家の買い越し(外貨の流入)が大きな原因であり、日本人では逆の売り越しになっている。
外国の投機筋は10年前の小泉竹中時代の大儲け(小泉構造改革の意味)を忘れていなかったのである。
当時、日銀から市中銀行に供給された潤沢な資金は、融資が必要な国内の中小企業には回らず一番安全な国債購入に当てられ銀行内に死蔵されてしまったのである。
増えたマネタリーベースは国家の借金(国債)を膨らませたが、市中には少しも出回らなかったのでマネーサプライが増えなかった。
10年前の小泉時代の日銀による『マネタリーベースの拡大』の中身とは、規模的にはバブル期の3倍にまで増加したが、ほぼ日本の大手市中銀行による国債の購入拡大(日本の公的債務の爆発的な増加)程度の意味しか無かったのである。
今回のアベノミクスで、多くの日本人エコノミストの『国債金利が上昇する』との予想とは正反対に、国債金利が0・6%の歴史的低金利にまで低下したのは当然だったのである。
予想を間違えた日本のエコノミストは、マネタリーベースの増減とマネーサプライの増減を混同していたのである。対照的に外人投資家は間違えなかった。
大事なのはマネタリーベースの増減ではない。
景気や金利に影響するのはマネーサプライの方であった。(通常両者は連動するので勘違いしやすいが、明確に違っている)
マネーサプライが増えれば自動的にインフレになり、逆ならデフレになる。
我が日本国はマネタリーベースが増えても(銀行の国債購入によって吸収され)マネーサプライが増えないので、20年近くもデフレ経済に苦しんでいるのである。
『マネタリーベース』
マネタリーベースとはハイパワードマネー(強権貨幣)ともベースマネーとも呼ばれ、『日本銀行が供給する通貨量の総額』のことで、現金通貨(日銀券、補助貨幣)と、民間金融機関の法定準備預金(日銀当座預金)を合計で、基本的に日本銀行が管理していて規模は100兆円弱である。
マネーサプライとはマネーストックともいい、市中に出回っている通貨の総額で現金とか銀行貯金などの今すぐに使えるもので、銀行資産を除いたもの。
現在の日本のマネーサプライの総額はマネタリーベースの10倍以上の1000兆円を超えている。日本銀行が発行した一万円札は国内で何度も重複して使われるので乗数効果が生まれるのです。
日本銀行はマネタリーベースを操作することでマネーサプライの総額を操作することが出来、結果的には民間銀行の融資も操作することが出来る仕組みなのです。
デフレの日本でマネタリーベースが増えてもマネーサプライが微増で一定なのは、マネーサプライが増えない(銀行の国債購入で賄える範囲内)程度の金融緩和額に抑えていたと見るべきでしょう。
アメリカなど主要国ではマネタリーベースとマネーサプライは連動していて、ほぼ10年未満で2倍程度に増額されるので必ず年間数%のインフレになる。
そもそも近代資本主義とはインフレが起きることを前提として全ての制度設計がなされているので日本国のように20年も逆のデフレになると社会全体が根本的にボロボロになるのです。
日本のデフレの原因とは、日銀は確かにマネタリーベースを増加させているが欧米の数分の一の水準であり、バブル崩壊の反動で『羹に懲りて膾を吹く』銀行は、日銀から供給された資金で一番安全な国債購入しか行わない。
マネーサプライは増えず銀行融資は減る程度のマネタリーベースの拡大ではインフレにはならずデフレが発生する。
日本国の場合には同時に今のように天文学的な公的債務の積み増しも発生したのである。
異常すぎる円高と、世界に例がない20年続くデフレと、GDPの2倍にものぼる公的債務は別々の話ではなくて、一繋がりの事柄であり同一の原因(消費税増税など財政再建目的の緊縮政策)から発生していた。
『日本のデフレスパイラルを生んだ不良債権処理』
バブル崩壊後の『金融機関の貸し渋りや貸し剥がし』は自民党政権による政策的なもので所謂『不良債権』処理のもっとも特徴的なやり方であった。
92年のバブル崩壊で日本の金融機関は大量の不良債権を抱えたのですが、このときに日本政府(自民党、財務省)は『不良企業には市場から退場してもらう』として意識的に企業潰しを行ったのです。
日本の景気が悪いのは『不良債権企業が潰れずに市場に残っているからだ、日本の中の悪い企業が無くなれば、後は良い企業だけになり日本経済は健全化(景気が回復)する』と思ったのです。
この方針で金融機関が抱える不良債権(企業)を片っ端から処理(倒産)したのですが、不思議なことに不良債権を処理すればするほど、最初の思惑とは正反対に不良債権は減るどころかどんどん増えていった。
これは実は当たり前で、確かにバブル期には市場に存在してはいけない悪質な不良企業も存在していたのは確かなのですが、それは商法違反とか別の処理の仕方がある。
いわゆる銀行が抱える『不良債権』の殆どは、実は優良企業なのだが日本全体の景気が悪いので業績が悪化して『不良債権』扱いされていた。
本来の日本政府による『不良債権処理』とは景気回復であった。
ところが正反対の財務省主導の緊縮財政の財政正常化路線で景気を冷え込ましたので『不良債権』は処理(倒産)が進めば進むほど余計に日本の『不良債権』は増える。
経済学に明るいはずの財務省のキャリア官僚たちには、日本経済に今何が起こっているのかの認識が根本的に間違っていたのです。
消費不況によるデフレ経済に苦しんでいる日本経済に対して、欧米では主流のIMFのインフレ対策を一生懸命行ったのですから今のような日本経済がボロボロに成るのは必然であった。
寒さに震えている人達に冷水を浴びせ続けたのですから悪くならないはずが無い。日本は悪質なデフレスパイラルに落ち込んでいった。
『科学の一分野としての経済学』
科学では一つの事柄に対して、最初は色々な仮説が考えられるのですが、検証作業を経て段々と議論が収束していって最後には一つの仮説に辿り着き定説となり『法則』として確立する。
経済学も科学の一分野である限りは全く同じで、最初は色々な種々雑多な仮説が考えられるが、最後はやっぱり一つの真理に到達する筈であるのです。ところが扱う対象が社会全体でありとんでもなく大きい。
議論が収束して最終結果が出るまで何十年単位の時間がかかってしまう。
しかもミルトン・フリードマンがチリのクーデターでアジェンデ政権を倒したピノチェトに新自由主義を押し付けて一時的には経済が上向いた例のように、短期では成功しても長期では大失敗とか、浜矩子さんが有名なユニクロ経済学で説明しているように『少数が行えば必ず成功するが、他が真似て多数が行えば全員が儲からなくて大失敗する』などの合成の誤謬が発生する。
単純構造の自然科学とは大違いで、巨大な社会全体を扱う社会科学の経済学では、短期と長期、部分と全体では答えが正反対になるなどの現象は、普通に起きるのです。
悪魔の碾臼新自由主義で我が日本国は悲惨な状態になったのは明らかな事実ですが、同じ新自由主義がお隣の中国を短いあいだに世界第二の経済大国に押し上げたのもまた明らかな事実。
世界的な新自由主義の八面六臂の大活躍が無ければ今の中国の躍進は起きていないのは確実なのです。
何れ程恐ろしいものでも経済では反対から見れば逆に素晴らしい効果があるのですね。
アベノミクスでも同じことが言えて、『円高』も『株安』も膨大な『公的債務』も、長年日本を苦しめているすべての問題点が輪転機をグルグル回すだけでアホでも簡単に解決するのですから恐ろしい。
『アホでも成功するアベノミクス』
仕組みそのものが極簡単で100%何の疑問も無く、誰がやっても間違いなくアベノミクスは成功するのです。
ところが護憲派の政治ブログで、私と同じ見解が皆無。ほぼゼロなのです。
新自由主義やTPPを批判している経済学者でも同じで、アベノミクスを批判している。その影響で護憲左派のブログは軒並み右にならえで批判している。
ノータリンの極右の安倍晋三の主張だからと条件反射的に疑っているのですね。困った話である。
政治は結果責任の世界であり、結果が良いものは正しいのです。
そしてアベノミクスの成功は1年も前の日銀の白川総裁の1%目途発言での円安で証明されている、論争にならない既成事実である。
ユニクロ経済学で有名な浜矩子教授は紙幣増刷によるインフレ発生の原理自体は経済学者として熟知している。
ところが自民党から共産党まで金太郎飴のごとく『本当に数%のインフレになる保証はどこにもないし、結局予想もしない猛烈なインフレを引き起こし生活をズタズタに破滅するかもしれません』と同じ主張。
日本では20年間も全員例外なく横並びで同一の主張を言っているが、これは何かが可笑しいと思いませんか。
不思議すぎるのです。
特に浜矩子さんは『デフレになっているのは現代日本だけだ』との驚愕的な事実を正確に知っている。
今の日本ですが、他には全く例がない異常事態中の異常事態なのです。論の前と後ろが困ったことに整合性が全くない。
この二つの事実から導かれる結論は、かなり恐ろしい。
『猫でも○○でも成功するアベノミクス』
アベノミクスですが当ブログのように『正しいのだ』と言い切っているブログは極少数。
というか護憲左派ではゼロですね。
手放しで新自由主義を賞賛していて、いつもの例なら大賛成するはずの自称マクロ経済学者の池田信夫さえ賛成していない。
今の日本が異常な円高とデフレに長年苦しんでいるのは誰でも知っている。
通貨高とデフレ経済ですが、これらは『人々の思惑』とは無関係に、紙幣の無制限の大量発行(今のアベノミクス?)で簡単に解決する程度は、経済学の初歩の初歩の知識であり、なんの間違いも無い。
歴史的にも1930年代の大恐慌のデフレ経済からいち早く抜け出したスェーデン銀行や、最近ではユーロ危機の影響での投機筋のスイスフラン買いの高騰からの脱出で、スイス銀行が無制限の紙幣の大増刷で解決したのですから、アベノミクスの成功は論争にならない既成事実である。
デフレも通貨高も、紙幣の大増刷で必ず解消されます。これはなんの疑問もない。
日本の場合には大問題だとされている膨大な公的債務も自動的に解消されることは、冷静に考えれば誰にでも簡単に理解出来ると思います。
ところが『輪転機をグルグル回してお札をすりまくる』と去年の総選挙で言っていたのはアホの安倍晋三だけなのです。
話は逆で『自民党から共産党まで』全員が例外なく20年間も同じ事『本当に数%のインフレになる保証はどこにもないし、結局予想もしない猛烈なインフレを引き起こし生活をズタズタに破滅するかもしれません』と、言っていた。
マルクスが150年前に資本主義経済では8年から10年周期で必ず景気が変動して、インフレとデフレが交互に繰り返す仕組みを科学的に解明する。
ところがケインズ政策というデフレの特効薬が発明された第二次世界大戦後の世界ではインフレしか起きていない。
その唯一の例外は日本国なのです。
デフレがバブルの副産物として起きたと日本では思われているが、日本のバブル程度の現象は世界から見れば年がら年中、何処かの国で必ず起きている。
バブル自体は不思議でないし、バブルは必ず崩壊するものなので、バブル崩壊はもっと不思議でない。
世界で日本だけが陥ったデフレですが、これはバブル崩壊が原因ではなくて、実は同じ時期に起きた冷戦崩壊が原因である可能性が高い。
アメリカが密かに第二次冷戦(日本相手の経済戦争)を始めたのではないのか。
実際の戦争でも情報戦の占める割合は大きいが、実弾が飛ばない経済戦争での主戦場は情報宣伝戦がメインなのです。
そして軍事大国アメリカの最も得意とするのが、情報宣伝や世論誘導などのプロパガンダなのである。
『今の時期にアベノミクスの「切り札」を何故切ったのか』
日本の政治家や官僚が紙幣増刷の『切り札を今まで切らなかった理由』ですが、これは簡単で日本国の経済を根本的に弱体化するデフレを仕掛けた相手がアメリカなので、わかっているが絶対に出来なかったのです。
日本で一番実力が有り、首相の椅子が目の前にあった小沢一郎がインチキ臭い疑獄事件で突然失脚して何年も刑事被告人になったが理由が不明。たぶん『日米安保は第七艦隊だけで良い』がアメリカの軍産複合体の逆鱗に触れたのです。
政権交代で人気絶頂だった鳩山由紀夫の例もあるが、米国防長官自ら世界一危険と折り紙をつけた普天間の基地の移転で首相の首が簡単に飛ぶのです。
普通の常識や判断力があれば、少しでも我が身が可愛ければ誰も怖くて口にできない。
『今、切った理由はなにか?』ですが、これは恐ろしい。
間違いなく、去年の年末に日本を取り巻く『何かの条件』が突然変わったと、アメリカが判断したのでしょう。
北朝鮮の核実験騒動に紛れて3万8千人中で小児甲状腺癌10人発症を福島県が発表するが、京大の小出助教は福島第一原発の被害者の損害保証は国家が破産しても足りないくらい膨大であると指摘しています。
半世紀前の日本国自身の行った試算でも、原発事故での日本の破産は確実なのです。
世界第三位の経済大国である日本の破産はギリシャのデフォルトなどと比べられないくらい世界に影響するので、アベノミクスで一息つく余裕を日本に与える(情けをかける)のは当然な判断でしょう。
健康診断のあとで突然女房が優しくなり、今までは駄目だった高額の道楽品を買えると喜んでいる友人の友人の話とソックリで、縁起が悪すぎて到底喜べない。
『朝青龍の荒業、恐怖の吊り落とし』
アベノミクスの成功は『消費税増税のため』との解釈が一番正しい可能性があるのですから恐ろしい。
野田佳彦の民主党政権と自民公明両党との談合で決まった来年の消費税増税ですが、自動的に2014年から増税になるのではなくて『景気の動向次第』との付帯条件が付いてい。
日本の経済指数が悪すぎると消費税の増税は見送られるが、この判断時期が今年の9月時点なのです。(具体的な景気動向の指数は4月から5月)
今、アベノミクスで円安と株高、長期金利は0・6%以下に下がり経済は絶好調なので、何かのとんでもない大事故大事件がないと、今年7月の参議院選挙でも去年の衆議院につづき自民党大勝利は、100%確実なのです。
何も起きなければ今年9月に最終決定の消費税増税も100%確実です。
それなら日本経済の崩壊もまた、100%間違いなく確実で、日本全土は敗戦の焼け野原の再現ですね。
安倍晋三が今年7月参議院で大勝利すると間違いなく次の国政選挙は3年先の2016年9月(任期満了の衆参同日選)までありません。
安倍晋三はフリーハンドで誰にも邪魔されずに、わがまま勝手にやりたい放題が可能なのですから、今年8月15日の靖国神社首相公式参拝は確実です。
それなら猛烈な中国や韓国の反発が確実なのですが、この場合にはアメリカのオバマ大統領が中国の肩を持つことが予想され、四面楚歌の日本の経済は凄まじいことになります。
今のアベノミクスによる株高ですが、モンゴル人の暴れん坊横綱朝青龍が一時はライバルだった大関の琴光喜に対して、一旦持ち上げてから土俵に叩きつける『吊り落とし』の荒業で震え上がらせた話に似ている。
普通に投げ飛ばすよりもダメージが何倍も大きいのですよ。相手が二度と歯向かわないようにダメを押しているのです。
今後確実に予想される天文学的な福島第一原発事故の損害賠償と相まって我が日本国の第二の敗戦(無条件降伏による破産)は避けようがない悲惨極まる成り行きである。
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