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さらば夏の光よ

「壺斎閑話」から、壺斎氏自身の訳で、ボードレールの「秋の歌」である。
夏の終わりにふさわしい詩だろう。
「さらば、短かに過ぎし夏の光よ」という一節は有名で、映画の題名などにも使われたと思う。

(以下引用)


秋の歌(ボードレール:悪の華)


秋の歌

   Ⅰ

  やがて冷たく暗い季節がやってくる
  短かった夏の光よ さらば
  はや中庭の敷石の上では
  薪の燃えさしが音を立てて崩れ落ちる

  冬のあらゆるおぞましさが忍び入る
  憤怒、憎悪、恐怖、戦慄、そして苦悩
  太陽は極地の地獄に沈み
  わたしの心は赤レンガのように凍てついた

  薪の崩れる音が聞こえる
  首吊り台がきしむよりも鈍い音だ
  わたしの心は 仮借ない槌の一撃で
  砕け散る塔のようにはかない

  単調な薪の音を聞いていると
  どこかで棺に釘を打っているようだ
  誰のために? 夏は去り今は秋!
  この不思議な音は葬送の調べのようだ

    Ⅱ

  わたしはお前の瞳の青い光を愛す
  だが今では その美しさが耐え難い
  お前の愛も 閨も暖炉も何者も
  海上に輝く太陽には勝らない

  わたしを愛し 母ともなって欲しい
  わたしがたとえ忘恩の徒 小悪党であっても
  恋人であれ 妹であれ
  秋のひと時を慰めて欲しい

  もうすぐだ 墓穴が口をあけて待っている
  ああ!お前の膝に顔をうずめ
  炎熱の夏を惜しみつつ
  秋の終わりのかすかな光を浴びさせてくれ  

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酔生夢人
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男性
職業:
仙人
趣味:
考えること
自己紹介:
空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
それだけで人生は生きるに値します。

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