批判者の立場を推測するに、下の記事のどこが問題かと言うと、政治家が天皇の「お気持ち」を忖度して行動することは天皇の政治行為であって、それは憲法で禁じられたものだ、という理屈だろう。だが、それはその「天皇発言」を受け取った政治家の側の問題であり、自分がその言葉に対してどう行動するかは、自分で決めるだけの話ではないか。つまり、政治問題に関して天皇が「命令権」を持たないのは憲法の内容からして明確であり、その発言は命令ではない。ならば、その発言を忖度するかどうかは政治家本人の責任だろう。
天皇の戦争責任は明らかだが、だからと言って、坊主憎けりゃ袈裟まで憎い式の天皇批判は卑怯卑劣だと私は思っている。
要するに、下の出来事を批判する連中は、政府のNPT批准が天皇の言葉で「後押しされた」ことが気に食わないということなのだろうが、ならば日本は唯一の被爆国でありながら、NPTを永遠に批准しないままでいたほうが良かったとでもいうのか。
もしもそうだったら、日本の後の幾つかの右翼政権が核兵器を所持して、韓国や北朝鮮や中国との戦争に狂奔していただろう。
先に、その種の批判者のツィートを載せておく。
(以下引用)
日本が核兵器を持たない法的義務を国際社会に負うことになる核不拡散条約(NPT、核防条約)の国会承認について、昭和天皇が発した言葉が衆院議長に「やる気」を起こさせていた――。そうした三木武夫首相(当時)の発言を、同首相の秘書だった岩野美代治(みよじ)氏(85)がメモに残していた。国政に関する権能を有しないと憲法が定める天皇の問いかけが、発効後6年間未加入だったNPTの国会承認に影響を与えたことを裏付けるものだ。
岩野氏がメモしていた三木氏の発言は、前尾繁三郎(まえおしげさぶろう)衆院議長(当時)についてのもの。前尾議長がNPT承認に積極的に動いたのは昭和天皇の「ご意志」があったからだとの話は、国会職員として前尾議長の秘書を務めた平野貞夫氏が2004年の著書「昭和天皇の『極秘指令』」(講談社)で明かしている。岩野氏のメモが明らかになったことで、衆院議長の秘書だけでなく、首相の秘書によっても昭和天皇がNPT承認に果たした役割が裏付けられた格好だ。
日本政府は1970年にNPT…
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