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ローマ帝国のキリスト教公認の意味と「パンとサーカス」

私は市民図書館から子供向けの本を借りることがよくあるが、小中学生向けの学習参考書を借りることもある。面白いかどうかは別として、昔は理解できなかったことが、ある程度優しく(「易しく」の間違い!)書いてあるので、昔からの謎が解けたりする。
たとえば、私はローマ帝国が初期にはキリスト教を迫害していたのに、途中から公認し、ほとんど国教化したのが不思議だったのだが、それは、学生時代には「政治と宗教」の関係というのがピンと来なかったからである。現在の日本のように統一教会が政治を侵食する状態や、アメリカとイスラエルを結ぶのがユダヤ教だということが明瞭になると、政治に対する宗教の異常な力も理解でき、秀吉や家康のキリスト教禁圧や鎖国政策の意義も理解できるが、学生時代にはまったく鈍感だったわけだ。
ところが、学研まんがの「世界の歴史4」の中には、はっきりと

「313年、ローマ皇帝コンスタンティヌスが帝国内でのキリスト教を公認して以降、神以外にいっさいの権威を認めなかったキリスト教はかわっていった。」
「かつて迫害されていた聖職者や信者たちは、今度はほかの宗教を迫害する立場になり、ローマ皇帝の絶対的な権力をささえる道具となったのだ。」

と書かれている。つまり、宗教と政治の野合である。それが「子ども向け」の参考書にはっきりと書かれているのである。教会キリスト教が「偽キリスト教」であることも分かる。
だが、それが心から理解できるのは、やはり大人になって「現実の政治」のありさまを知ってからだろう。多くの子供は、自分の持っている参考書の意義を知らないまま忘れるのである。

ついでに、そのすぐあとに書かれている一節を紹介する。あなたは、これまで「パンとサーカス」という言葉を何百回も聞き、あるいは自分でも使っていただろう。だが、その「サーカス」が何か、知っていただろうか。象やクマが曲芸をし、芸人が綱渡りやブランコ乗りの軽業をし、ピエロが笑わせる、そうしたサーカスのことだと思っていただろう。だが、ローマ時代の「サーカス」の意味がこうであることを知っている人は少ないのではないか。引用する。

「市民は支給される食物(パン)で腹をみたし、円形競技場(サーカス)で行われる戦車競走の応援にきょうじていた。」

おそらく、この「サーカス」が英語の「サークル」の語源だろう。あなた、「パンとサーカス」のサーカスが「円形競技場」の意味だと知っていましたか?


ついでに、ハイティーン向け、あるいは若い女性向けの小説という印象だと思われそうだが、令丈ヒロ子(「若女将は小学生」の作者)の「ハリネズミ乙女、はじめての恋」という、男や高齢者が借りるのは勇気の要りそうな題名の小説をお勧めする。最近借りた、あるいは買った、あるいは貰った小説の中で、唯一「一気読み」したほど面白い小説である。まあ、題名どおり乙女の初恋物語だが、対人関係というものをテーマとして、これほど読ませる小説を書けるのは、大学教授とも思えない才能である。主人公の娘はお笑い芸人の家系だが引きこもり的性格(つまりハリネズミ)で、中に書かれたお笑いの描写も自然である。
なお、本は買って読むものだ、というお金持ちのために追記すれば、出版社は角川書店(1400円)である。親戚の女の子へのプレゼントにもいい。まあ、本屋にあればだが。中高生は図書館から泥棒はしないこと。図書館には一冊しかないはずだ。つまり、他の人は読めなくなる。




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