米軍の異動時期で、国外からの来県が増える中、在沖米軍基地で新型コロナウイルスの感染者が相次いでいる。米軍は感染拡大防止のため北谷町内のホテルを確保し、来県した関係者を14日間隔離するというが、周辺住民には説明していない。基地を抱える地元自治体には不安が募る。


米軍普天間飛行場に出入りする車両をチェックする米兵=7日午後7時半、宜野湾市大山(国吉聡志撮影)


米軍普天間飛行場に出入りする車両をチェックする米兵=7日午後7時半、宜野湾市大山(国吉聡志撮影) 

 米国は、世界最大の感染国。9月に年度が変わり、8月末までが異動時期だ。米軍関係者は嘉手納基地など、基地内に直接到着する。一定期間の隔離が必要になるが、基地内の施設だけでは収容できず、北谷町内のホテルを確保した。


 ホテルには隔離を適切にするためホテルスタッフだけではなく、海兵隊員も配置するという。


 米軍は会員制交流サイトなどで万全な対策を強調するが、普天間飛行場で5人の集団感染が発生しており、対策が徹底されているか不明。日本側が検疫できない日米地位協定の存在に加え、県への情報開示が不十分なため、感染拡大の懸念は拭えない。


 県幹部は「そもそも日本は米国からの渡航を制限しているのに、知らないうちにどんどん入ってくる。入国を百歩譲っても、基地内で隔離するべきだ」と話す。


 在日米軍は6月中旬に警戒レベルを5段階中、上から2番目から3番目のBに引き下げている。基地外のレストランでの飲食などが可能となるなど規制が緩和されている。


 今後、米軍は新型コロナウイルス感染者の情報を非公表とする。県も米軍から情報を得るため、公表しない方針だ。


 米軍基地が所在する自治体の首長は「個人情報がどうしても絡んでくる」と情報公開の難しさを理解しつつ「情報は可能な限り開示してもらわないと、県民も安心できない」と本音をこぼす。(政経部・大城大輔)