東京・両国国技館で26日にあった大相撲夏場所千秋楽で、観戦を終えて退場するトランプ米大統領と、升席にいた作家の門田隆将氏、評論家の金美齢氏、ジャーナリストの桜井よしこ氏が握手したことが話題になっている。ネット上では3人は安倍晋三首相に近いとみなされており、「自腹なの?」「総理がご招待?」などの声が相次いだ。ツイッターで「升席を確保した」と明らかにした門田氏に経緯を聞いた。【大場伸也、大村健一、山口朋辰/統合デジタル取材センター】
門田氏は26日夜、「大相撲のマス席をやっと確保できたので、いつもお世話になっている金美齢さん、櫻井よしこさんをご招待して千秋楽を観戦した。退場する時、安倍首相とトランプ大統領が近づいてきて、なんとお二人と握手。隣にいた私も握手させてもらった。サービス精神旺盛のトランプ氏らしい驚きのシーンだった」とツイートした。
これに対して、「やらせだろ」「国技館のお友達席化」「彼らの主張には共感するところ大なのだけど、大の大人がコネ使って相撲観戦して大統領と握手するのはどうなんだろう」などと批判する投稿が相次いだ。
また、首相が毎年4月に新宿御苑で開く「桜を見る会」の開催費用が膨らみ、国会などで「政権に近い人が招かれている」と批判が出ていることを踏まえ、「4月は桜を見る会、5月は相撲を見る会」「大相撲まで首相に私物化されてしまった」といったツイートもあった。
夏場所のチケットは4月6日に一般発売が始まった。新大関・貴景勝への期待も大きく、その日のうちに完売した。自由席の当日券もあるが、千秋楽は「都合により販売数を通常よりも大幅に制限(約半数)」と公式販売サイトで発表していた。
かなり入手困難だったようだが、門田氏に聞くと、「升席の4人分(のチケット代)は全部、私が出しました。額は言えないけれど高かったですよ。4人で2ケタくらい」と「ご招待」を否定した。
門田氏が説明する経緯はこうだ。4月12日にトランプ氏が千秋楽に来ると報じられた際、すぐに知人で学生相撲出身の医師・ジャーナリスト、富家(ふけ)孝氏に「席を押さえて」と頼んだ。いつもは東方を取ってもらうが、今回はなかなか席が取れず、普段と違う西方の席になったという。
すぐ横の通路をトランプ氏が通ることは事前にまったく知らず、退場するトランプ氏に「ミスタープレジデント!」と大声で声をかけたところ、首相とトランプ氏が気づき、握手が実現したということだ。事前に政府や安倍事務所と打ち合わせしたことも一切ないという。
門田氏は取材に「ネットでは、安倍親衛隊が招かれたみたいに書かれていて、いかにネットがファクトを見ないで自分の主張に引きつけて書いているか、よく分かった。そもそも私は安倍親衛隊ではない。常に是々非々で、安倍政権の大批判もしている」と話した。